ごっこ遊びに精を出す大人の話
私が会社に行く時は「真人間のOLのコスプレ」をしていると友だちに言ったら、めちゃくちゃ気に入ってくれた。
そもそも、自分の本来の姿がなんなのかわからないけど、仕事をしている時の姿は別人格であることは間違いない。同期だけでなく先輩やら上司とInstagramを交換している陽気な人たちの気が知れない。
わたしは元々レイヤーをちょびっとだけやっていたこともあるくらい、変身願望が強い方だと思う。
コスプレイヤーの話に触れているのはこちら
コスプレというか、自分ではない別の存在になりきる、というのは、ある意味ごっこ遊びだと思っている。そして、それが結構好きだ。
私が今までやってきたごっこ遊びについてメモがてら思い出して書いていくことにする。
男子大学生
友達と、「男装したくない?!」とある時盛り上がり、せっかくならば男装した格好で街を歩きたいという話になった。
ただ、さすがに男装した自分をあまり仲良くない同級生に見られたりなどしたら、恥ずかしさのあまり死んでしまいそうなので、どうしたらよいのか考えた。
結果、知り合いのいない街に行くしかない!となり、わざわざ、東京から京都まで旅行に行くことになった。
京都のホテルで、朝から私たちはイケメンになるべく、メイクを頑張っていた。
テーピングで丸顔を誤魔化し、眉毛を黒々と凛々しく描き、唇の血色感を消した。
そして茶髪のロングの髪を1つにまとめて、上から黒髪のベリーショートのウィッグをつけた。
東京で、事前にユニクロに行きメンズ服を買いに行って揃えた男子大学生のような上下一式を身にまとい、インソールをいれたシークレットブーツで身長を盛った。
この段階でちょっと2人ともクールな感じになる。なりきっているので、キャッキャしない。
あまり笑わず、「へ〜悪くないじゃん」みたいなテンションでお互いを褒めた。
そのまま、とりあえず京都の街の観光に繰り出した。
正直、最初の方はなんか気恥ずかしいのだが、社会の人間というのは思っている以上に自分以外の他者のことについて興味が無いものなので大丈夫である。
誰もこちらのことなど気にしていないのだ。
我々は男子大学生の見た目をした観光客なので、それなりにはしゃいでもいいが、スイーツを見て黄色い歓声をあげることはNGとしており、イケメンとしての自覚を持って行動していた。
記念にプリクラに行き、どの角度が1番かっこよく見えるか、いつもの「盛る」のとは違う研究をしながら何枚も撮影した。
イケメンのしそうなポーズをしようとすると、不思議に首が痛いポーズやポッケに手を突っ込むポーズになってしまい、しょうもない写真が出来上がって、落書きするのも楽しかった。
ただ、時期がとにかく悪く、真夏の京都は殺人的に猛暑で、暑くて暑くて死にそうになってしまった。
私たちは結局夕方くらいに諦めてカラオケボックスにいき、冷房をガンガンにして、ウィッグを壁に引っ掛けて、イケメンは諦めた。
もし男装して京都に行く人は、涼しい時期がオススメである。そんな人はいないかもしれないが。
ギャル
いたって真面目に生きていたが、中学生の時の愛読書はpopteenだった。しかもくみっきーとかが表紙の時代の、まだ全然ギャルがギャルであった時代である。
ずっとギャルになりたかった。(なんなら今もなりたい)
ギャルとはなんなのだろう?
金髪でつけまとカラコンを入れたらギャルなのか?違う。そんなこと言ったらアニメのレイヤーもドラァグクイーンもギャルになってしまう。ギャルとはマインドである。
マインドからなりきって、ギャルになることにした。一日だけ。
とりあえず、ネットで金髪のロングのウィッグを買った。
手持ちの服で最もミニスカートを選び、つけまと着色直径がバカでかいカラコンを用意。
そして、信じられないくらい濃いメイクをして、ギャルになった。
ただ、この時もやはり、知り合いにバッタリ会ってしまうことに怯えていたため、自分たちが心の底からはしゃぐためにも、場所を変え、ピューロランドに行った。
マイメロとクロミちゃんのカチューシャを着けて、量産型オタクが若干入ったギャルになることになった。
「えーーー、かーわーいーいー❤︎」
みたいな喋り方をずっとしていた。一人称「あーし」だった。ずっと自分たちの写真を撮っていた。アホすぎて爆笑していた。
爪も長いので、自然と手先の動きも普段よりも洗練されていく。
スマホを打つ時にあのカチカチした音が鳴るのもそれっぽくて楽しい。
ギャルになれたのか?わからない。この日はかなり満足度が高かったが、まだギャルになりたかった自分の気持ちは成仏していない。
この日の後、大学生の間に、全頭ブリーチもしたしエクステもつけたしピアスもめっちゃ開けてスカルプネイルもしたけれど、ギャルになれたかというとどうだろうなぁという感じだ。
なりたくてなるものじゃなくて、自然となるものなのかもしれない。
中学生でグレたいけどいい子ちゃんを貫いてしまったが故にこんな拗らせた大人になってしまって、困った困った。
全く教育とは難しいものだ。
地雷系女子
地雷系メイクが流行り始めた頃、もう私は25歳になってしまっていた。
もっと早く流行れよ〜〜〜と思った。
素でその格好をするのは痛々しさが勝ってしまう。とはいえ、地雷っぽい可愛い格好をしたい!という欲がむくむくと沸いた。
そして、結論、自認年齢18歳になりきり、ギリギリアウトだなぁと思いながら地雷系女子の格好をしてまた某遊園地に行くことになった。
その時私は茶髪で前髪が無いロングの綺麗目お姉さんを目指していたが、例によって今回は漆黒の黒髪ロングでパッツンヘアのウィッグをつけた。
生まれてこの方着たことの無いピンクのブラウスに黒のフリフリなジャンスカを合わせて、黒いリボンをつけ、有り得ないくらい厚底の靴を履いた。
この厚底の靴が1番それっぽく、地雷系女子気分を盛り上げてくれた。
メイクは、縁がめちゃくちゃくっきりしていて自然とはかけ離れたカラコンを用意し、真っ赤なアイシャドウで目を囲み、黒のアイライナーでタレ目を形成した。
5しゃいちゃんとハウスダストちゃんのYouTubeを穴が空くほど見つめて真似をした渾身の出来だった。
幸い、まだピアスの穴が塞がっていなかったので、軟骨にもシルバーのいかつめのピアスをつけて、黒いナイロンのマスクをつけたら、完璧な地雷系女子の出来上がりである。
オプションでピンクのモンスターにストローを刺して持ち歩いた。
この時も、なぜか顔を隠したポーズだったり、ハートのハンドサインをつくったりして、それっぽく写真を撮りまくった。
地雷系女子はちょっと声が小さくわがままなイメージなので一日中そんな感じで喋っていた。
地雷系女子をやった時は本当になりきっていたので楽しかったけど、初めて履く厚底の靴で遊園地を回るのは無理があり、最終的に捻挫をしてしまい無念の帰宅をした。
普段していないけど地雷系女子をやる予定がある人は、履き替える用の普通の靴を持つことをおすすめする。
今回は3種類あげたけれど、なんかもっとたくさんやっている気がする。
大人のごっこ遊びは誰にも迷惑がかからないのに満足度が高いアクティビティなので結構おすすめしたい。
(たった1日のために一式揃える資金は必要だけど、まあ売ればいいしね)
自分とは異なる人格になって生活を送ってみるだけで、見える世界も変わるし、リサーチして準備する期間も含めて結構楽しめる趣味だと思う。
周りの目が気にならない強靭なメンタルをお持ちの方はぜひ。
おしまい。