脂質・コレステロールについて①
先日、チョコレートって体に良いっていうテレビ放映をみて、なるほどなぁと思うことやへ~っと思うことがたくさんありました。調べてみたことも、また、どこかの機会でこちらのブログに載せてみたいと思います。
では、今日は、以前から、生活習慣病で話題となっている「コレステロール」についてお話しします。
コレステロールが高い、中性脂肪が高いという話で、20年ほど前は、まったく気にもされなかったですが(今も気にしていない人多いですが)、最近かなりの人に注目されています。
コレステロールってなんだ?という話から、治療って本当に要るの?っていうところまで理解を深めていこうと思います。内科での治療では、「コレステロール高いから薬出しておくね」っていうように処方されている患者さんも多くいらっしゃると思います。実際、必要な患者さんも多いです。今回から、ゆっくり4~5回くらいに分けて話していきます。かいつまんでしまうと「コレステロール高くてもいいやん」となりかねないので、読むときは十分に気を付けて読んでください。
皆さんの中には、脂質、中性脂肪やコレステロールも一緒に考えておられる方が多いと思います。コレステロールが高いと薬もらっているという方で、中性脂肪が高いのを放置されているケースをかなり多くみています。「え?コレステロールの薬もらってるから大丈夫でしょ?」と。このあたりの誤解が広まっており、実際、開業医の先生方の中にも、中性脂肪については意に関せずという先生が多いです。
ではまず、脂質について解説します。
脂質というのは、いろんな種類があります。中性脂肪やコレステロールもその類ですが、今回のテーマにターゲットを絞って説明します。
中性脂肪というの脂肪酸とグリセリンの複合体と考えてください。
分解され、脂肪酸とグリセリンになり、体のエネルギー源として役に立ちます。
一方、コレステロールは、
コレステロールは体に必要!!
コレステロールっていうのは、体を構成する部品のようなものです。
①細胞膜、②脳神経細胞、③ホルモン、④消化液(胆汁)、⑤ビタミンD
を作るのにコレステロールは欠かせません。
コレステロールがなければ、そもそも人として形をなさないし、話すことも動くこともできないわけです。脳の働き、免疫、抗酸化などにも関係する、必須かつ重要なものです。
コレステロールの原料は脂質、タンパク質、糖質です。コレステロールは1日に約1~2gが肝臓で合成されますが、その合成量は食事からの摂取量により決定します。
コレステロールとはなんぞや?というとそれだけです。
コレステロールの種類?について
よく悪玉コレステロール、善玉コレステロールという表現を耳にしませんか?コレステロールにはLDLコレステロールという“悪玉”コレステロールと、HDLコレステロールという“善玉”コレステロールがあると言われ、検査の結果、悪玉であるLDLコレステロールが高かった場合、たいていコレステロールを下げるための食事指導とともに、スタチン系薬(アトルバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチンなど)が処方され、コレステロールを下げなければならないと指導されます。
しかし、実際はコレステロールに”悪玉“や”善玉“があるわけではなく、LDLとかHDLとかいわれるものについては、脂質を体内輸送する際に必要な「リポタンパク質」という運搬タンパク質の種類なんです。
ここではこの「リポタンパク質」について以下で簡単に述べておきます。
我々人間を含めた高等動物においては、体内で血液に不溶性のコレステロールが単独で輸送されることは決してありません。コレステロールは、トリグリセリドなど他の脂質と共に「リポタンパク質」という運び屋と結びついて運ばれます。つまり、水にほとんど溶けないコレステロールを全身に運ぶために、リポタンパク質がミセルを形成し、コレステロール(やトリグリセリド)をタンパク質内部に収納する形で輸送している、ということです。
この体内でのコレステロール輸送に関わる「リポタンパク質」は、密度よって分類されており、カイロミクロン(Chylomicron)・超低密度リポタンパク質(Very Low Density Lipoprotein: VLDL)・中間密度リポタンパク質(Intermediate Density Lipoprotein: IDL)・低密度リポタンパク質(Low Density Lipoprotein: LDL)・高密度リポタンパク質(High Density Lipoprotein: HDL)の5種類が存在しています。
リポタンパク質の密度は、順に「カイロミクロン<VLDL<IDL<LDL<HDL」です。
密度の小さいリポタンパク質ほど脂質を多く含んでいます。
ちなみに、大きさは順に「カイロミクロン>VLDL>IDL>LDL>HDL」となっています。
これらリポタンパク質は構成要素のアポリポタンパク質にも違いがあり、それぞれのリポタンパク質の役割を決定しています。
例えば、HDLは細胞内に蓄積されたコレステロールを肝臓に戻す働きがありますが、LDLは逆に細胞内にコレステロールを供給する働きがあり、この供給の過程で過剰となったLDLは酸化されてしまうという点が、LDLは悪玉コレステロール、HDLは善玉コレステロールと呼ばれる所以になっています。
結構ごちゃごちゃになってきたと思いますので、まとめます。
まとめ
① コレステロールは体の部品。中性脂肪はエネルギー源。
② LDLとかHDLはコレステロールを運搬するリポタンパク質のこと。
③ LDLは悪玉?というのは冤罪!
次回は、これら脂質が運ばれる過程について、お話しします。
では、また。