花相の読書紀行№.133『インビシブルレイン』
竹内結子さんを偲びながら・・・完読
【インビシブルレイン】/誉田 哲也
<あらすじ>
姫川班が捜査に加わったチンピラ惨殺事件。暴力団同士の抗争も視野に入れて捜査が進む中、「犯人は柳井健斗」というタレ込みが入る。
ところが、上層部から奇妙な指示が下った。捜査線上に柳井の名が浮かんでも、決して追及してはならない、というのだ。隠蔽されようとする真実――。警察組織の壁に玲子はどう立ち向かうのか?
シリーズ中もっとも切なく熱い結末!(「BOOK」データベースより)
★感想
姫川玲子シリーズの中でも、最も心に残る作品かも知れません。
勿論、引き起こされる惨殺事件や暴力団の抗争、そして犯人と目される人物の背景、複雑に絡み合う捜査の中で、警察組織の隠蔽と言う悪しき思惑まで勃発、一人孤独に捜査を進める玲子。それを支える上司と仲間たち。
いつにも増して物語にのめり込み、一気に完読してしまいました。
真相を探る中で、男として初めて強くひかれた相手が、その捜査対象となる組の頭である“牧田”。
中でも玲子と牧田の場面が、成熟した大人の関係としてではなく、何処か青臭い初恋にも似た描写に魅了されました。
ちょっと可愛そうなのは菊田巡査部長でしたが、この圧倒的な存在感と魅力には到底及ばないので、仕方がないかぁ~と…。
切なく終わるラストは、「何故?」という思いも有りましたが、今後のシリーズを考えれば致し方ないのかも知れませんね。
実はこの作品『インビシブルレイン』は、先に映画を観ていました。
劇場版『ストロベリーナイト』として2013年1月26日に公開され、姫川玲子役を“竹内結子”さん、牧田役を“大沢たかお”さんが演じています。
本にもあったワンシーン、二人が雨の中を歩く姿が、何とも素敵です。
ちなみにこの時の菊田役は“西島秀俊”さんでした。
この作品を見たとき、あ~姫川玲子は、 “竹内結子” さんしか考えられないって思う程、イメージにぴったりだったと思います。
ころころ変わる不思議な眼差しも、子供っぽい仕草も、何もかもが玲子そのものだったと感じます。
そしていま彼女は、天の人となりました。
本当に惜しくてなりません。
もう一度スクリーンで彼女の…姫川玲子を見たかったと強く思います。