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花相の読書紀行№.73『DASPA(国家防衛安全保障会議)-吉良大介-コールドウォー』

コロナVS国家。日本は生き残れるか?

【DASPA(国家防衛安全保障会議)-吉良大介-コールドウォー】/榎本憲男
<あらすじ>
2019年の暮れ、DASPA(国家防衛安全保障会議)インテリジェンス班サブチェアマンの吉良大介は、ダークウェブの賭博サイトに“2020年 東京オリンピックは開催されるか”という不吉な賭けを発見する。そして、年が明けると同時に、新型コロナウィルスによる感染は急速に拡大し、ついにオリンピックの年内中止が発表され、日本社会は緩やかなロックダウンによる「自粛」生活へと突入する。そんな中、この空気に抗い、あるベテランミュージシャンは、“浅倉マリと愚か者の集い”という大規模ライブを開催しようとする。
ここで大惨事が起きれば、来年のオリンピック開催さえも危ぶまれると判断した吉良はある作戦を思いつく。感染阻止か、経済優先か。「日本をバージョンアップする」が口癖の吉良は、未曾有のコロナ禍にどう立ち向かうのか。『インフォデミック 巡査長 真行寺弘道』とリンクする超リアルエンターテインメント小説。

★感想
本作を読み終えて先ず初めに感じたのは、“巡査長・真行寺弘道シリーズ”の「ワリキューレ」しか読んでいなかったことの後悔でした。
他の真行寺作品も読んでいたら、もっと楽しめたと思います。

この作品が書かれたのは2020年、まさに新型コロナ渦中の日本を進行系のように書かれた1冊です。

今の私は、いくつもの工事現場を持つ中小企業の事務員として、感染に対して厳しく対応せざる負えない事情を抱えています。
それでも自粛、自粛と言われることに、少なからず抵抗を感じずにはいられないのも事実。

『DASPA-コールドウォー』、このお話がフィクションだって分かっていても、リアルに浸透し、その世界に自分が生きているように錯覚してしまうほど、現実味がありました。
あらゆる情報を駆使して、未曽有の危機に立ち向かう警察官僚”吉良”の活躍は、自分とはかなりかけ離れた場所に位置しているのですが•••。

完結できない結果の中に、何かが有るように思わせるラスト。
様々な行き着く先を想像しながら、心は次の作品へ••••。

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