花相の読書紀行№.96『アウトサイダー』
疾走する警察小説 八神瑛子シリーズ3
【アウトサイダー】/深町 秋生
<あらすじ>
警視庁上野署の八神瑛子は、自殺と断定された夫の死の真相を求め、暴力も癒着も躊躇わない激烈な捜査で追い続けていた。
ついに事件と深く関わっていたとされる人物に近づくが、見えざる敵の執拗な妨害に遭う。
やがて事件の暗部と対峙した時、目の前に立ちはだかったのは予想外の人物だった……。
多過ぎる犠牲を払った八神がたどり着いた真実とは――。
★感想
八神瑛子シリーズ三部作の最終となります。
いよいよ夫の死の真相が解明されるとなると、読むほうも期待大で頁を捲るスピードがより速くなってしまいました。と、なるとどうしても時間を忘れて一気読み。
敵は直ぐそばに‥‥読む前に前作の伏線を思い起こし、概ね予想通りの展開でしたが、この小説は推理を楽しむというよりも、八神の悪を背負いながら正義を貫く闘争心に趣を置いていると思います。
男顔負けのアクションも、敵との駆け引きも、映画のワンシーンのように構成されています。
その中で、ラストシーンで見せた富永署長の我を忘れた行動が、姫を救出に行く騎士のようで、微笑んでしまいました。
そもそも一作目から、そのストーカーまがいの行動に兆候が有ったので、やっぱりね!と納得。
この作品で、一応の終結を見せますが、きっと再び八神瑛子が世に出てくる気がします。
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