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花相の読書紀行№.52『追憶の夜想曲』

御子柴礼司シリーズ 第2作

【追憶の夜想曲】/中山七里
<あらすじ>
少年犯罪の過去を持つ、「悪辣弁護士」御子柴礼司が甦った! 岬検事との法廷対決の行方は?
豪腕ながらも、依頼人に高額報酬を要求する“悪辣弁護士”御子柴礼司(みこしばれいじ)は、夫殺しの容疑で懲役十六年の判決を受けた主婦の弁護を突如、希望する。対する検事は因縁の相手、岬恭平(みさききょうへい)。御子柴は、なぜ主婦の弁護をしたのか? そして第二審の行方は?

★感想
「贖罪の奏鳴曲」を読んで少し間が空きましたが、やっとシリーズの2作目を読むことが出来ました。
やはり御子柴礼司シリーズは面白い!
法廷闘争のやり取りもそうですが、御子柴弁護士が持つ独特の雰囲気が、ワウトロー好きの私の嗜好をくすぐります。まして今回の法廷での相手は、なんと「さよならドビュッシー」に登場する岬洋介の父ですもの、面白くないわけはないです。

このシリーズは要潤さん主演でドラマ化され、本作も放送された作品ですが、小説として読むことでもっと深く御子柴の思いが読み解けます。
ミステリはいつも、作品のところかしこにヒントが散りばめられています。その一つ一つを拾い集めて、真犯人や真相を推理していくのですが、それを十分に楽しめる作品です。
ラストのどんでん返し部分では、やられた感が否めません。
それだけではなく、礼司の優しさも垣間見えます。
真実を明かすことは、被疑者“津田美津子”や家族にとって最悪な結果をもたらす。それを知っていながら、礼司が岬検事に語った真相は、もしかすると被疑者の娘である“倫子”を守るためとも思わずにはいられない。

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