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花相の読書紀行№.75『黄金雛 羽州ぼろ鳶組』

松永源吾、はじまりの物語

【黄金雛 羽州ぼろ鳶組 零】/今村翔吾
<あらすじ>
英雄たちの若かりし日々を描く、はじまりの物語•••十六歳の新人火消松永源吾は、逸る心を抑えられずにいた。同世代には才気溢れる火消の雛たちが台頭しつつあった。そんな折、毒を吐く戦慄の火炎が発生。熟練の火消すら生還叶わぬ毒煙に、若輩は出動を禁じられる。反発する源吾は、加賀鳶の御曹司、最年少の火消頭取、町火消の新星などくせ者揃いの面々と共に命を救うため立ち上がる!
 
★感想
羽州ぼろ鳶組シリーズスピンオフ。
新庄藩定火消頭領の松永源吾の若き頃の物語、表題の“黄金雛”は、若鳶の源吾の二つ名です。

火消しとして憧れた尾張藩火消頭取“伊神甚兵衛”、火付け事件を追いながら育まれる友情、無鉄砲な源吾達若鳶を守る頭たち、登場人物の多さにもかかわらず、個々の魅力が十二分に描かれています。
だからこそ、物語がどれをとっても面白い!
そして、作者“今村翔吾”さんの鬼気迫る描写や震えるほど心打つ文面が、堪らなく好きです。
 
その一途な頑固さ、その気質は父から息子へしっかりと受け継がれているように思います。

「人の強さは、人の弱さを知ることだ。それを喰らって、人は強くなる。」
「喰ってやれ」
父“重内”が最後に放った一言が、火消しとしての源吾を支えています。
 
終章がまた良い。😊

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