【本】2020年7月のまとめ
今月からひと月ごとに読んだ本のまとめを行っていきたいと思います。
今月が最初で最後にならないように頑張りたいです。。。
私は年100冊を目標にしています。今月は久しぶりに10冊以上読むことが出来ました。新書など軽く読める本も多かったからだと思います。ではかる~く一言くらいでまとめていきます。
今月の本一言レビュー
「三体」劉 慈欣
→中国発のSF超大作。異星人との交流という壮大なスケール。でも語彙、科学的な説明が多すぎ難易度高過ぎた。
「服従」ミシェルウェルベック
→フランスにイスラム政権が誕生したらどうなるという小説。テーマはすごく面白そうだが読んでみるとこれまた難しかった。。
「沖縄から貧困がなくならない本当の理由」樋口耕太郎
→同調圧力が強くて抜きん出る企業、人材が育たない。おもしろい。
「素数たちの孤独」パオロジョルダーノ
→精神的な異常を持つ子たちが幼少期から大人になるまでの孤独を描いた小説。イタリア人作家。ん~、"イタリアで200万部の記録的ベストセラー"みたいだが、ありきたりな話と感じてしまった。
「空を行く巨人」川内有緒
→福島県いわき市のおじさんと世界的アーティスト蔡國強との絆の話。
「バウルを探して」川内有緒
→バングラディシュに存在するといわれる"バウル"という歌を探る旅。
「ガダラの豚」1~3 中島らも
→アフリカの呪術研究家のドタバタ劇。
「一人称単数」村上春樹
→The 村上ワールド炸裂!!相変わらず最高です。
「やまゆり園事件」神奈川新聞取材班
→2016年に起きた戦後最大の刃物による殺傷事件。
「鉄路の果てに」清水潔
→シベリア抑留にあった父の軌跡を追う。
「ウイグル人に何が起きているのか」福島香織
→中国による民族浄化の衝撃的ルポ
「具体と抽象」細谷功
→具体→抽象、抽象→具体と転化出来ることが知性
私的7月ベスト!
川内有緒さんとか中島らもさんとかハマりそうな作品に出会えたことが大きな収穫だった7月でした。お二方の作品はとてもとても素晴らしく、今後もどんどん読んでいこうと思います。また、村上春樹の6年ぶりの小説にもとてもテンション上がりました。
良書が拮抗し一冊選ぶのはとても難しいですが、今月のベストは「やまゆり園事件」を選びます!ちょうど、嘱託殺人やBlack Lives Matterなど話題になっており、それに伴い、優生思想ついての話もちらほら見かけますのでこのタイミングで読んで正解だったなと思ったからです。
先日事件から4年が経ちテレビでも多少取り上げられていました、「相模原障害者施設殺傷事件」。この事件の犯人である植松の人物像だけでなく障害者が置かれている現状にまで言及しています。
ちなみにこの本の帯の植松の写真、事件直後に本人がTwitterにあげた写真だそうで、本当に不気味です。
正直、植松の人物像と、なぜここまでの強い優生思想を抱くに至ったかは読んでもはっきりしませんでした。トランプの発言に影響を受けたりイルミナティカードに心酔したりとオカルト的な面もあったようですが、死刑判決が下ってしまった現状、面会もできず取材が出来ないみたいなのでこれ以上追求していくことが出来ません。
ただ、この本を読んで、彼の抱く優生思想というものが決して特別なものではなく、多くの日本人が実は心の奥底で抱いてしまっているものではないのか、というのが非常に怖くなりました。国民の代表であるはずの政治家MずたMおさんが「LGBTは生産性がないから~」などと公の場で述べる始末です。今日本には、「社会に貢献しない奴は存在価値がない」という思想が蔓延しつつあるのではないか、この事件は今後いつ繰り返されてもおかしくないのではないかと思うとただただ恐ろしいです。
この本では、障害を持った人やその家族にまで取材をしており、彼らの苦悩、または世間の冷酷さも知ることが出来ます。たとえば、障害者施設を近所に建てる計画が上がったときに多くの近隣住民が反対し、道に「障害者施設建設反対」などという張り紙をはりました。それを障害者の方が見てどう思ったでしょうか。
私自身、日常生活の中で障害を持つ方と接する機会が皆無なので、分からない人達に抱く恐怖、不安というのは認めざるを得ません。電車で近くに障害を持った方が座ったら、どうしよう、暴れられたら嫌だな、ってなります。それは彼らに対する無理解から引き起こされる、私の内に潜んだ差別感情だと思います。
近所に障害者のための施設が建つとしたら?出生前診断で異常が見つかったら?といろいろ考えました。100%正しいといえる答えは無いと思います。
でもそれならば、少しでも障害者や社会的弱者について知る機会を作ること、例えばインクルーシブ教育で健常者も障害者も一緒に学ぶとか、子供のころから分け隔てなく一緒に過ごすことで先入観などを持たないようにするとか出来ることもあるということを知りました。
事件から4年が経ち、世間の悲しみはどんどん薄れ、凄惨な事件もどんどん忘れ去られていく世の中ですが、過去の過ちから学んで少しづつ良い世の中になれば良いのにと思いました。