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底辺SEな上司のリモートワーク

私は都内のSier企業につとめる、しがないSE(システムエンジニア)である。

Sierというのは"System Integrator"(システムインテグレータ)と言う意味で、クライアントのシステム開発を請け負う仕事をする企業のことだ。

・・・なんていうとかっこよく聞こえるけど、普通に言うと"外注"で、ひどいときは"害虫"なんて蔑まれることすらある。おおざっぱにいうと、大企業のつかいっぱしり、どーでも良い、スキルが身につかないような雑用っぽい仕事が回って来るのがウチの会社だ。

要するに、業界内ヒエラルキーの最下層に属する会社に私は務めている。

おそらく、平均的な"SE"と呼ばれる人たちの中ではかなりスペックが低い部類に属すので、私は自分自身のことを底辺SEと呼んでいる。初めて会う人との自己紹介も、「SEです。」と言うと「え~すご~い!プログラミングとか出来るんだ~!」と言われてしまうので、あらかじめ「底辺のSEです。プログラミングとかは出来ないです、あははは~。」と笑ってごまかすのが習慣になっている。なるべく職業の話はしたくない。

ウチの会社のSEの実態については、ずっと前にnoteに書きなぐったが、

最近、底辺SEはリモートワークでもやはり底辺だということが発覚した。

1月から一緒に働くようになったK氏。K氏は新卒で入社して勤続30年ほどの大ベテラン。ということで、初対面は緊張したけれど話してみるとものすごくおっとりしていて、喋るペースもゆっくりで、絵にかいたような好々爺。質問もしやすいし、こりゃ安心だ、と思った。

しかし1月の中旬くらいからリモートワークになったことでK氏の底辺っぷりがいかんなく発揮されることになった。

まず、Skypeに全く応答してくれない。業務中ずっとSkypeをつなげて何かあったら発声できるようにしているのであるが、質問したくて「Kさ~ん!」と呼びかけても十中八九応答してくれない。K氏はその好々爺な雰囲気から、お客さんからもけっこう使いっぱしりにされているのでK氏が呼び出されることはしょっちゅうなのに、一回目の呼び出しで応答してくれることはめったにない。それで、みんなのイラっと感がちょっとたまったところで、「はぁ~~い、Kで~す。」とおっとりした返事で応答するものだから、ますますみんなのイライラが募るのである。

また、たとえばK氏がオペレーターとなり私が作業者であるというシチュエーションなんかもあって、「〇〇番、実行してください」とK氏が言って、私が作業する、みたいな手順なのに、途中から何の指示も聞こえなくなって、気づいたらマイクオフにされてる、みたいなこともざらだ。無言のままチャットツールに作業項番が送られてくるものだから心霊現象かと思う。

またはその逆で、マイクオフにしておいてほしいのにオンになっていて、マウスのホイール部分を回すグリグリグリグリ・・・という音を響き渡らせることもある。ついでに奥さんとの会話も聞こえてきた。どんな文脈かは分からないが、K氏は「それはさぁ~、カフェインの問題でしょ?」と言っていた。

さらには、「ちくしょー・・・」という、普段からは想像もできない悪態も聞こえてきて、ビクっとした。

挙句の果てに、一人だけカメラオンになっていた。このときはさすがに笑ってしまった。画面を険しい顔でのぞき込むドアップのK氏の顔が映っていたのだ。


今日はWifiの接続が悪かったのか、たびたび退出して周りをイラつかせていたK氏。

そんなK氏、私は嫌いじゃない。




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