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コロナ禍のイタリア留学 《17》 新年スタートと新たな先生、ルームメイト


カーラのレッスン

新年が明けてまだ数日だが、レッスンは早々に再開した。

久々にZoomを開くと、画面には白髪の上品な女性がニコニコしていた。
この学校はいつも予告なしに先生が交代するらしい。

先生の名はカーラ。
なんとなく1番最初の先生モニカに雰囲気が似てるなぁ…
と思っていたら、なんと2人は幼馴染み!同じシエナ出身で、昔から仲良しらしい。
これは新年早々うれしい出来事だった。

カーラが私やアシーを含む生え抜きメンバーに「モニカがよろしく言ってましたよ」と伝えてくれて、モニカとのレッスンはほんの少し前のことなのに、とても懐かしい気持ちになった。
たぶん他の生え抜きメンバーも同じ気持ちだったに違いない。みんな嬉しそうに笑っていた。

別に対面レッスンが再開すれば先生には学校で会えるのだし、みんな近所に住んでいるのだろうが、コロナ禍という特殊な状況に異国の地から参加する多国籍なオンライン授業はまるで、それぞれ別の惑星から交信しているようでなんだか現実味に乏しく、心もとなかった。


まずはみんなで年末年始の報告をし合う。

先述の通り初級レッスンのスタートからずっと一緒の生徒もいれば、年末で最後だったのだと今知る生徒もいて、ちょっと寂しかった。
まさに一期一会である。

そして話題はやはり、パンデミックのことに。
相変わらず先行きは誰にもわからないけれど、少なくともロックダウンは解除され、トスカーナ州もこれからゾーン規制が少し緩まることがわかった。

さらに、なんと…
再来週から対面レッスンが再開するとのこと!

オンラインがもっと長く続くと覚悟していたので、驚きと嬉しさが入り混じった。入国してから2カ月半後ということになる。


それにしても、カーラのレッスンはとても丁寧だ。
日本が好きなようで、日本人の性質をよくわかってくれている感じがした。
話しかけるときは全ての生徒にまんべんなく、それぞれのお国柄を考慮した質問をしてくれる。
説明もわかりやすくて、カーラの授業は大人気だった。

文房具屋さんで買った可愛いノート


しかし、内容はどんどん難しくなる。私は付いていくのに必死だった。
教科書たった1ページの中にも知らない単語が山のようにあるので、授業中に細かく調べている暇はなく、その場は適当にやり過ごして午後に調べて、書いて、暗記して…のくり返し。

こういう勉強法があまり効率よくないのはわかっているけれど、結局単語を覚えないと話の意味もわからない。

後から思うと、この頃が詰め込み式勉強法の限界だったかもしれない。
始めて3カ月というのも、一般的にキツいとされるピーク第一弾というところであろう。


ルームメイトがやって来る

そんなこんなで奮闘していたある日の夕方…
突然大家さんがやってきた。

新年の挨拶をして少し話していると、なんと、次の日曜日から新しい生徒がこの部屋をシェアするとのことだった!

私の住むアパルタメントの同じ階には、私の部屋ともう1つ小さい部屋があるのでそこを使うらしい。バストイレは付いているが、キッチンと洗濯機は私の部屋のを共用するそうだ。

驚きと嬉しさ混じりで詳細を聞くと、大家さんもあまり情報がないらしく、アラブ系の国でたぶんイスラエルから来るだろう、とだけ知らされた。

イスラエル…?
アラブ系…?

私の頭には、白い民族衣装に身を包んだ堀の深い人々と砂漠とラクダが浮かんだ。

日本で普通に暮らしていると中東の人と関わる機会が少ないため、どうしてもアラジンの世界をイメージしてしまう。
偏見は持つのも持たれるのも嫌なのに、日本人と聞いたらサムライを思い浮かべる欧米人と変わらないではないか。


このときの私はまだイスラエルのこともよく知らなかったし、何よりずっと1人だと思っていた快適な生活がいよいよ終わってしまうのかと少し残念に思った。

私の寝室はキッチンのすぐ隣なので、毎晩スパイスの効いた本格アラブ料理をされたらどうしよう…などと、変な心配までしていたのだった。




18につづく

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