「THANK FULNESS 感謝脳」読書感想文
1.はじめに
この本は、「感謝」がいかに今の時代に必要なものか、感謝することで良いことがたくさん起こるし、人生だって変わってくるよ、と教えてくれる本である。精神科医の樺沢先生と感謝研究家の田代政貴さんによる共著で、たくさん感謝脳仲間の事例が紹介されており「感謝の力」の偉大さを知ることができる。さらに、本書が他の「感謝に関する本」と一線を画しているのが、感謝のすごい効果を科学的根拠をもって説明してあるところである。
感謝すると脳内に幸福物質が分泌されることが科学的に証明されている。具体的には、セロトニン(健康の幸福)、オキシトシン(繋がり愛の幸福)、ドーパミン(成功とお金の幸福)、エンドルフィン(苦痛緩和)。本書を読めば、これらがいかに私たちの心身にプラスの効果をもたらしているのか驚かされ、感謝せずにはいられなくなるだろう。
2.私の「うんうん!納得!」&「おお!っ目からウロコ!」ポイント4つ
・感謝ワーク
約3年前に発売された「3つの幸福(樺沢紫苑著)」でも紹介されて、当時から取り組んでいたので、それは後述する。
・感謝の3つのステップ
①親切への感謝(何かしてもらったらありがとう)②日常への感謝(当たり前のことにありがとう)③逆境への感謝(何が起きてもありがとう)
この③は人間ができていないと難しいと感じた。
・幸せの基準を低く設定する
以前、茂木健一郎さんの講演を聞いたとき、ホリエモンが刑務所に入っていて、茂木さんが面会に行った話を思い出した。それは、ホリエモンが刑務所の食事で初めて、1本の半分のバナナが出たことを心底喜んで話したというものだった。あんなにお金持ってた人が、半分のバナナでこんなに喜ぶのか?!と、茂木さんが驚いていたのが印象的だった。その時、私もホリエモンは小さな喜びを見つけることができる人なんだなと思った。
・心の3つのステージ
①不安のステージ(他責・愚痴・不平不満)②自立のステージ(使命・受容・穏やか)③太陽のステージ(愛と感謝)
私自身、なんとか「不安のステージ」を抜け出すことはできていると思う。そして「太陽のステージ」にも少しずつ近づきながら、人を驚かせたり喜ばせることを楽しんでいた。けど、その過程で、自分の行動を妬まれるという初めての経験をした。
3.鬱になりかけた時期(自分の経験)
それは職場でのこと。入職時から何かにつけて文句ばかり言う先輩がいて、その態度にちょっと辟易していた。しかし、同じ部署の先輩という立場もあり、うまくやっていかないと、いつか自分がその標的にされるのではないかと恐れ、適当に同じように振る舞い擬態していた。しばらくして、その先輩が異動になり、私がその部署の管理職に昇格した。すると、その後「上司に媚びている」などとその先輩から陰口を叩かれるようになり、さらにその取り巻きからもいじめを受けるようになった。他部署の一部スタッフにも無視されるようになり、同じ部署の後輩スタッフからも目を合わせてもらえない状況になった。部署内では周知されているはずの情報が私だけに伝わらなかったり、仕事を頼んだ際には、あからさまにに不快な顔をされるなど、次第に仕事に支障をきたすようになった。この時期は特に辛く円形脱毛が2つできた。「こんな閉鎖的な職場では、何を言ったって悪く言われるんだ」と自分を押さえ込み、どうすることもできない空虚な気持ちを抱えながら生きる日々を過ごしていた。
4.奇跡のはじまり
この頃に先述した樺沢先生著の「3つの幸福」を読み、その中で紹介されていた「アウトプット力」を磨く努力を始め、感謝日記を書くようになった。
いじめや無視は続いていたが、それでも、自分を廃人のようにしたくなかったので、心が折れそうになりながらも笑顔を心がけた。内心では苦しくても、頼んだ仕事やってくれた部下には「忙しい中、やってくれてありがとう。助かったよ。」と感謝の言葉を伝えるようにした。また、面倒そうな案件・クレーム対応は代わりに対応し、部下が困っていそうだったら、絶対助けるようにした。まだ心折れたままだったが、それでも感謝は続けた。すると、不思議なことが起こり始めた。朝、私が使う職場のPCの電源が入っていたり、部署内の1ヶ月カレンダーが1日朝には当月のものに変わっていたりした。また、誰がするとも決まっていない「浮き玉」のような仕事(名前のついていない雑務)をいつの間にか誰かがやってくれるようになったのだ。その変化に気づくたび、私は周囲に感謝の気持ちを伝えるようにした。「パソコンついてる!すぐ仕事できるじゃん。ありがたーい!」「おお!カレンダー変わってる!めっちゃありがとう!」など、些細なことでも変化に気づいたら感謝の言葉を口にすることを心がけた。
5.奇跡の変化が加速
加えて、メンバーの誕生日には、感謝の気持ちを書いたメッセージカードとちょっとした贈り物を添えてロッカーに置くことを続けていた。また、毎年末にはLINEギフトを使いコーヒーショップのドリンクチケットとともに「ありがとう」メッセージを送るようにしていた。3年ほど前に始めた当初は、反応が全くなかったり、スタンプだけのそっけない返信が多かった。それでも地道に続けていくうちに、昨年末、大きな変化が起こった。『いつも助けられています』『〇〇さん(私の名前)がいないとこの部署は成り立ちません』といった感謝のメッセージをもらえたのだ。思わず涙が出るほど嬉しかった。
まさに
6.感謝がもたらした「光」と「強さ」
この本に書いてあることを続けることで、自分の心がまあるく強くなったと実感している。それはきっと、「自己肯定感が上がった」ということでもあるだろう。イジメられた経験は辛かった。けれど、その辛さが自分をダークサイドに闇落ちさせることはなかった。もしあのとき、感謝という行動を選ばす、憎しみや嫉妬の中に沈んでいたら、危うく、私は「スターウォーズ」でいうところの“ダースベーダー”になっていたかもしれない。それを救ってくれたのはやはり”感謝の言葉“だったと思う。感謝の力が私を“スカイウォーカー”へと救い、希望へと導いてくれた。この経験が私の中に「光」と「強さ」をもたらしてくれた。
7最後に(感謝の可能性は無限大)
もちろん職場にはまだ「ダースベーダー気味」の人もいる(笑)。けれど、感謝の力には、そういった人たちをも変える可能性があると思う。本書に紹介されている、「ザッポス」や「楽天グループ」のように、いつか職場全体に感謝の文化を根付かせられる日がくると信じている。
この本は、職場や家庭など、人間関係に疲れている多くの日本人にとっての「救い」となる一冊だ。感謝の言葉は小さな一歩だけれど、その先に広がる未来は大きい。ぜひ、この本を手に取り、感謝の力を自分の人生にも取り入れてほしい。