見出し画像

12月14日 第30回 全日本自転車競技選手権大会 シクロクロス【MM40-49】レースレポート

今シーズンは、強い覚悟で挑んだ特別なシーズンだった。ライバルとの差を埋めるべくスキルの向上に注力し、クラウドファンディングを通じて遠征資金を確保。数多くのレースへの参戦を計画した。また、非公認レースではあえてトップカテゴリーに挑戦し、厳しい環境で自分を磨く道を選んだ。

幸いにも多くの方々のご支援をいただき、無事に遠征資金を調達することができた。そして迎えた初戦の辰ノ口CXでは優勝を飾り、トップカテゴリーに一発昇格。その後も白樺湖CXや土浦CXと順調に経験を積み重ねていった。しかし、平坦ではない道が待っていた・・・

10月27日の亘理CXで、肋骨2本の転位骨折、気胸、肺挫傷という重傷を負った。ベッドの上で医師と相談し、一度は全日本選手権への出場を完全に諦めた。その時は、あのスタートラインに立つ自分を想像することすらできなかった。

怪我から1週間ほど経った頃、肺から聞こえていたポコポコという異音が消え始め、次第に元通りになっていくのを感じた。そこで、低強度のローラー練習から再始動。当初は肺の回復が一番の不安材料だったが、少しずつ強度を上げることに適応し、順調に回復。一方で、肋骨の治りは遅く、上半身を使うシクロクロスで走れる状態には程遠かった。

11月下旬の上山田CXかジンギスクロスでの復帰を目指していたが、肋骨の痛みがどうしても和らがず、断念せざるを得なかった。しかし、その後、わずかに痛みが軽減した感覚があり、思い切って出場した松伏CXでは、登りが多いコース特性にも助けられ、まさかの優勝。そして翌日、全日本選手権へのエントリーを決断した。

クラファンでご支援をしてくださった皆さん、会場で大きな声援を送ってくれる皆さん、大転倒の際に救護に当たってくれた皆さん、多くの方に支えられて立てたスタートライン。

それでは、レースレポートをどうぞ。

機材

---BIKE---
バイク:TCX Pro1
ホイール:アダック謹製 手組ホイール(チューブラー)
タイヤ:Challenge GRIFO(F:1.70bar、R:1.80bar)
ギア: フロントROTOR-QRings46-36 リア11-34
チェーンオイル:EXLUB

今回は空気圧をかなり高めに設定した。
宇都宮のコースは休みどころが少ない。砂セクションからの3段坂~2段坂、ドッグラン脇のキャンバーは、フィジカルに加えてスキルも必要とされる。一方で、単純に踏むだけの舗装路やグラベル、芝区間も結構ある。
自分にチャンスがあるとすれば、このような踏める区間でいかにタイムを稼げるか、いかに温存できるかがポイントになると考え、メリットとデメリットを理解した上で、前日の試走で挙動を確認して、空気圧を高めに設定した。

---WEAR---
ヘルメット:KASK Protone
シューズ:Shimano XC7
ジャージ:オンヨネチームワンピース
インナー:アンダーアーマー長袖
アイウェア:OAKLEY SUTRO プリズム トレイル

晴れが続いたとしても、ドッグランエリアのキャンバーは掘り返されることで泥化する。それを見越してシューズにはスパイクを装着しておいた。

レース当日は晴れだったが、スタートの1時間前ぐらいから雲が覆い始めて北風が強くなり、明らかに体感温度が低下していった。昨年と同じような気象変化にネガティブになりつつも、インナーを半袖ウールから長袖のアンダーアーマーに変更した。また、急遽大腿部にホットオイルを塗布して対策した。

コース

①S/F地点を過ぎて左に曲がるとすぐに砂セクション
②休む間もなく3段坂
③林間を下ってきてからの2段坂
④ここから長めの踏み区間で記号④のストレートは舗装
⑤ドッグラン脇の泥キャンバー
⑥シケイン
⑦グラベル区間

特に差が出やすいのが①~③。去年は村田さんがここで毎周回3~5秒ぐらいは速かった。また、⑤~⑥に掛けてのキャンバー処理からのシケイン、ここも泥の処理を誤ると地味に差が出てくる区間。
それ以外はイージーなので、自分向きなコースとも言えるのだが。

目標

・全日本チャンピオン

今日の課題や狙い

レース展開

・村田選手に喰らい付く
・村田選手が先行した場合は追走集団に踏みとどまるように

テクニック(意識すること)

・平坦で踏み直すところでは、ダンシングで短時間で加速して速度維持
・2段坂は、自分の場合は乗車と降車でタイムが変わらないので、リスクのない降車で行くことに
・3段坂は、かなり泥化していてどのカテゴリーも乗車で行った選手が居なかったので、ここも降車と決めていた。どのラインで登るかは現地判断にした。

コンディション

体重57.5kgぐらい CTL86 TSB 前日比+2 前々日比+6

松伏CXと時と同じような調整にした。火曜日に2分だけ頑張った後は、徹底的にレストにして木曜日までL1で流した。金曜日は試走で60Tssほど走った。

体重は、松伏の時よりかは増加したが、登りが僅かしかないので問題にはしていなかった。それよりもしっかりと糖質を食べて、エネルギーを充填しておくことに重きを置いた。

一方、トレーニングボリュームを抑えているにも関わらず、安静時心拍数が高い状態が続き、睡眠の質も悪い状態だったが、カルシウム摂取を控えた翌日から少し改善した。

体調が改善基調になったと感じていたが、試走を終えた金曜日の夜、なぜか寝付くことができずにウトウトな長い夜を過ごした。いままでの大きな大会の夜は普通に寝れていたけど、今更ながら緊張が要因かなと思っていた。
だが、これはレースパフォーマンスを確認してから思ったことだが、出発当日にムスメ2号が手足口病に罹患して高熱を出していて、自分は症状は無いけど保菌した結果、体調に影響したのかなと。まぁこの辺は検証のしようもないのだが。

レース

ゼッケン7番でスタートグリッドは1列目。スタートして最初が右コーナーなので左側のレーンに入りたいと思っていたら、左レーン2つが空いていて左端をチョイス。どんどん体感温度が下がってきていて、スタートギリギリまでダウンジャケットとオーバーパンツを羽織って待機した。それでもちょっと震えるぐらいの寒さ。(アメダスを確認すると1時間で2度ほど低下し、一気に北風が強まっていた)

@MasaoSida

チーム新潟のナオコさんにウェアを受け取ってもらっていざスタート!

@MasaoSida

クリートキャッチが成功し、加速していくぞというタイミングで、後輪に横からの荷重を感じて、直後にガシャンという音。振りむくことは出来なかったが、位置から隣のイトーちゃんというのは分かった。

インフィールドに入ったタイミングでは3~4番手ぐらいで、良いスタートを切れた。砂セクションは良い感触を掴んだ試走通りに問題なくクリア。ここは去年から大きく改善した。村田選手に続き2番手で3段坂を乗車でクリア。

@MasaoSida

続く2段坂は予定通り降車で・・・と思った目の前で村田選手は乗車でスマートにクリア。これには驚いた。

@MasaoSida

2~3秒のハンデを負ったが、その後の平坦で問題なく追い付いた。空気圧を高めにしているので、平坦、特に舗装路でアドバンテージを感じた。

キャンバーを慌てることなくこなし、シケイン、グラベルを走って、メイン会場に戻ってきてからは先頭を走るタイミングも。そうした中で1周目を完了。

@MasaoSida

ここまでは、イメージしていた中では上出来の展開で、手ごたえを感じる走りだったが。

2周目に入って以降、どんどん余裕が無くなってきて踏めなくなってきた。

@MasaoSida

去年と同じ感覚。とにかく先頭パックに喰らい付かない事には話にならないので、がむしゃらに頑張るのみ。全く余裕が無い。

@MasaoSida

確か2周目完了ぐらいまでは先頭パックにいたと思うが、その後に少しずつ順を落としていった。レース展開がほとんど頭に残っていない。後半は、田辺君や白石さんと走る時間が多かった。

@MasaoSida

4周目だったかのグラベル。シケイン後の右コーナーで気を付けていたつもりだったが、フロントを滑らせてしまって落車。田辺君と白石さんにパスされるが、すぐに再スタートしてしばらくして追い付いた。空気圧を高めにしたメリットとデメリットを享受。

そのまま3人で最終周回をこなし、最後は白石さんに差し込まれそうになったが、なんとか先着した。

@MasaoSida

順位は去年と同じ6位だった。

今日は、ゴール後に笑顔で、そして笑おうと考えていた。だけど、苦しさで仰向けになったタイミングで涙を抑えきれなくなった。

@MasaoSida

スタートラインに立てただけで優勝と知人友人に言っていた自分だが、スタートラインに立てただけでは満足できない、そして負けた悔しさで一杯になっている自分がそこにいた。

総括

レース後、パフォーマンスを確認して失敗レースだと悟った。

苦しさを感じる一方で、全力を出し切れていないため、後半にかけてwbalが回復基調

平均心拍数151bpm、最大心拍数157bpm、ほぼ全ての時間帯がL4ゾーン。
平均パワーは208w、NPは238w。
勝負以前の問題。今シーズンのレースで一番のバッドデーだった。

寒さが原因だったのか、ムスメの風邪の影響だったのか、それとも別の要因があったのか。検証は難しいが、調子が悪かったのは事実だ。

機材も過ごし方も、いつも通りのルーティンを徹底して臨んだ。それでも全日本に合わせることができなかったのはなぜだろうか。悔しいが、これもまた実力なのだろう。

結果が全てとはいえ、全日本選手権に向けて積み重ねてきた努力は、決して無駄ではなかったと信じている。
多くの遠征を実現するために挑戦したクラウドファンディング。退路を断つ覚悟で取り組んだだけに、最後までやり切るかどうか悩む日もあった。けれど、結果的には挑戦して正解だった。それは資金面だけでなく、多くの方々から寄せられた応援を直接感じられたことが何よりも大きな財産になったからだ。
大怪我の後のリハビリは、無理が出来ない中で綱渡りのような取り組みだったが、自分の身体に慎重に耳を傾けながらやれることに集中して、怪我前よりも強くなったと感じられる部分さえある。

上手くいかなかったこともあるけど、この9月からの4ヶ月間は、間違いなく人生で忘れられない日々となり、これからの人生の糧になると確信している。

最後に、クラファンでご支援をくださった皆さん、会場で大きな声援を送ってくださった皆さん、そして大転倒の際に救護に駆けつけてくださった皆さん。本当に多くの方々に支えられたからこそ立つことができたスタートラインでした。
結果は伴いませんでしたが、また諦めずに挑戦していこうと思います。

Sidaさん、いつも素敵な写真をありがとうございます。

どうもありがとうございました!! Tzaki

#wahooligan
#ZENNUTRITION
#MAGMA
#EXLUB
#imeZi
#AATH
#ONYONE
#EYECUE
#cxnatsjp

ここから先は

0字
意識の仕方、ちょっとの工夫、継続、そんな少しずつの積み重ねで、同じ練習内容でも得られる結果は変わってきます。沖縄4位、ニセコ総合優勝、国体ロード7位、乗鞍2位、Mt.Fuji優勝、数々の戦歴を残してこれました。いまは年齢に抗いながら、新たな工夫や意識を加えながら日々努力。一緒に頑張りましょう!!!

40代半ばのサラリーマン。そんな筆者が、家庭と仕事のバランスに苦悩しながら、ツールド沖縄、ニセコクラシック、マスターズ全日本選手権で上位を…

頂いたお金はバイクやランの活動費として使わせていただきます!