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フードテックは食料問題を解決へと導くのか?どんな企業が参入しているのか?

世界の食料ロス・廃棄の現状

近年、人口増加とともに食料に関する問題が度々、世界で議論されている。

実際どのくらいの食料ロス・廃棄が起こっているのか知るために、国連食糧農業機関(FAO)国連環境計画(UNEP)は、収穫から小売の直前段階までの食料ロスの発生量を「食料ロス指数(FLI)」、小売段階以降の小売業者や消費者による食料廃棄の発生量を「食料廃棄指数(FWI)」と位置付けている。

FLIについてはFAOによって2019年の世界食料農業白書ではじめて公表された。

食料ロス

FWIについては、2011年のFAOの発表では世界で約13億トンと推定されており、これは人の消費のために生産された食料の約3分の1だと言われている。

フードテックとは

一般的にフードテックとは「食とテクノロジーの融合」という意味で、農林水産省ではフードテックを10年後、20年後に完全資源循環型の食料供給食を通じた高いQOLを実現し、美味しく、文化的で、健康的な食生活を続けることのできる次世代のフードシステムを構築する上で、キーテクノロジーだと考えている。

【フードテックの発達によって解決を期待されている食料問題】

1)食糧不足

日本では今後は人口が減少していくと予測されているが、世界全体ではこれからも人口は増加し続け、2060年頃には100億人を超えると言われている。そのため、人口増加に伴う食料需要の増大は必然的であり、需要に対する十分な供給が出来ない可能性がある。

世界人口

2)飢餓問題

FAOの推定によれば現在、飢餓に苦しんでいる人は世界で8億人以上おり、そうした中でも、先進国での食料廃棄は進んでいる状況が続いている。フードテックの活用により、食料格差の是正を目指す。

3)菜食主義

菜食主義者については、宗教上の都合、動物愛護、環境保護の観点に加え、最近では、ダイエットを一貫として欧米などを中心に菜食主義になる人が増加してきており、フードテックによる植物由来の代用肉、必要な栄養を補える完全栄養食が菜食主義者の手助けになるかもしれない。

4)高齢社会

これは高齢社会がとめどなく進んでいる日本にとっては大きな問題である。高齢になると、病気や筋力の衰えなどの影響で、食べられるものが変化していくため、フードテックの活用により、栄養が管理された形はそのままなのに柔らかい食品の開発が今進んでいる。

5)食の安全性

食中毒、異物混入などしばしば起こるこのような問題に対して、長期保存可能な生産、梱包、流通システムの開発、完全自動の生産システムの構築などが進んでいる。

6)労働者不足

農業従事者が減っている状況に対して、工場の完全管理体制で生産、また、ドローンや自動農作気などの農業ロボットの開発により大規模な生産で対応しようとしている。

フードテックの主な領域

1)業務効率化

AI・IOT・ロボットなどの活用により、生産・製造・管理などが人の手を介さず、正確で素早い分析が可能になり、業務がより効率的になる。

アグリノート

農場を航空写真で可視化し、農作業の様々なデータ管理・作業員間の情報共有をサポート。

・ゼロアグリ

IOTとAIの活用により、農作業の自動化を実現した自動潅水装置。このシステムにより収量や品質が安定化し、土壌データや栽培データなど様々な農作業データを可視化することで生産者の負担軽減を図っている。

・ナイルワークス

近年、注目されているドローンを活用することにより自動で薬物散布や生育診断を行う。

・Indigo Agriculture

Indigo Agricultureは農産物の種子にAIで選別した有益微生物処理をすることで、成長が刺激されて農作物はより健康になる。この微生物を利用したこのテクノロジーによって出来た作物は遺伝子組み換え作物の代わりになるかもしれない。

2)生産・製造

・Miso Robotics

アメリカのMiso Robotics社が開発したCreatorはハンバーガーの調理工程を完全自動で行い、ハンバーガー1個あたり30秒で作る。

・3Dプリンター

3Dプリンターで食品を作る取り組みは様々な企業で行われている中で、オランダの大学生のエリゼリンデ・ファン・ドーリウィードさんは食料廃棄に目をつけ、バナナの皮やパンの耳などをペースト状にしたものを3Dプリンターで印刷、その後、乾燥させることで長期の保存食にすることを発案している。

3)流通

画期的な保存方法、無駄のない配送システムの構築により食品ロスを未然に防ぎ、収益を上げることが期待されている。

・Uber Eats

消費者と飲食店をプラットフォーム上で繋ぎ、最近の外出自粛ムードにより急速に普及した。

・デイブレイク

デイブレイクは「特殊冷凍テクノロジー」により、仕入れ値の価格安定や長期保存が可能になり食品ロス削減の貢献に期待されている。

4)次世代食品

次世代食品こそフードテックの中で特に注目されている領域であり、これにより食糧不足の解決やより効率的な食事が実現することが期待されている。

・BEYOND MEAT

ビル・ゲイツが投資したことで知られるBEYOND MEATは代替肉製造社として世界で初めて上場した企業である。植物由来で出来ているため、菜食主義者や健康志向の人々からの需要が見込めている。

Hargol FoodTech

イスラエルの企業であるHargol FoodTech社はタンパク質と必須アミノ酸が豊富で、持続可能な新しい栄養源と注目され始めているバッタを原料にプロテインパウダーを製造している。

・ベースフード

ベースフードは忙しい日々の中で手軽に栄養バランスの整った食事ができることを目標にして、完全栄養食の開発を進めている。