マガジンのカバー画像

詩的散文

17
私の書く文章に、主人公は必要ない
運営しているクリエイター

#嫉妬心

恋の追憶(- 腫瘍)

それは、禁煙中のタバコのように、

それは、ネット中毒者が持つスマホのように、

それは、心が弱った時に聴くロックのように、

僕の片足を拘束している。

あの人の、抱きかかえた猫のように柔らかい肌と、

春の日差しに晒された砂ほどの体温に、

もう一度、もう一度だけ、包まれたいと願う。

それが叶わないので僕は、不思議な色をした、

明らかに毒々しい綿(わた)の思い出に、身を任せてしまうのだ。

もっとみる