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10月8日 弊社の値決め史と反省

10月8日ですね。

値付けは経営と言う話はよく聞きます。
本当に難しいと思います。

高すぎればお客様は逃げます。しかし、安すぎたら経営が持続できません。

この単純な事実が、いざ経営をする側の立場に立ってみると、どれほど難しいものか。

私はこれまで常に値決めに苦労し続けています。そして、いまだに適正な値付けがいくらかわかっていません。

ただ言えるのは、以前の私は自分の値付けを安く設定し過ぎていた事です。
安売りによって疲弊していたのが、今までの私だったといえます。


私が法人を立ち上げる前、個人事業主の最後の時期は、2008年から2015年頃ですが、弊社の時間単価は2500円でした。今から考えるとありえない位安いです。

なぜこんな金額にしていたかと言うと、当時の私は常駐の作業をこなしていたからです。そこで自分の生活に必要な金額を確保できていたことと、土日や夜間しか仕事ができない片手間の申し訳なさから、そういう安い金額を設定していました。

法人化にあたって少しは単価を上げました。それでも2020年の暮れに人を雇い始めるまでは、時間単価は5000円でした。

私の場合、SES業界の募集単価を参考にしていたので、その金額は妥当だと思っていました。

ところがこのような金額だと人を雇った瞬間から破綻の道にまっしぐらです。

私としては良いものを安く提供したいと言う思いがあります。5000円もいただいて申し訳ないと言う感じがありました。
いわゆるお客様の立場にたったという奴です。
5000円とは、アルバイトや時給換算で考えると、最低賃金の遥かに上の金額です。


ところが人を雇うこととは、ただ単に給与を払うだけでは済みません。社会保険の負担も必要です。
そうすると5000円では到底足りないのです。自分自身の暮らしも自転車操業。それもあって時給単価を8000円にあげました。

それだと毎月赤字なく過ごせるとしても、会社に全く金銭が溜まりません。

金銭が溜まっていないと何が起こるか。
何か突発的な事故が起こったときに払う金がない事態に陥ります。
自転車創業は経営者としてはダメなのです。

正直、5000円の時期でも、私に対して安いと言うお客様からの意見はいただいていました。

ですが、私は最低賃金や実際にお客様の立場に立って調達することを考えたとき、こんな金額はとても出せないと思っていました。なので、お客様に対しても安い金額を提示していました。


個人事業主の場合であれば、雇うのは自分のみです。だから毎月数万円でも溜まっていけば経済は回ります。家計も維持できます。
さらに個人事業主であれば、生計を維持すべきは自分の家庭のみです。


ところが、大手の会社からしてみれば一人しかいない会社に何かあれば最後まで仕事を全うしてくれないリスクがあります。そのため、個人事業主には頼みづらくなるのです。


私も少しずつ案件がもらえるように、受注できるようになってきたので、人を雇いました。すると、単価か安いために経営の維持が厳しくなりました。それでさらにあげました。それが3年前。さらに、まずいと思って去年にも大幅にあげました。

今では当初の2500円の時間単価から10倍以上に金額を上げています。

ただ、今の私はその金額ですらまだ企業のもらうべき対価としては低いと言う感触を持っています。

実際、その金額、当初の10倍以上にあげた今ですら、安いとお客様から言われたことが何回かあります。もちろん、それは大手企業の調達価格の相場を知っている人からの意見であり、おそらく中小企業の立場から見るととても払えない金額でしょう。

今、世の中にはkintoneなどのノーコードツールを使っての業務効率化が喫緊の課題です。

単価が高い業者にはとても払えないから頼めない。
だから安い業者に頼む気持ちはわかります。

安い業者もその中で最低維持できる金額をもらえば両方ともにwin-winではないかとの考えもわかります。かつても私はその考えでした。
ただその場合、私が全く楽になりません。のみならず、ずっと自転車創業のように仕事を続けなければなりません。すると人は加齢します。加齢するとかつては楽にできたことがだんだん疲れてきます。

さらに、弊社のお客様が大きくなってくるにつれ、より上のレベルを求められます。例えばプライバシーマークの取得なども含めて。

するとメンバーに対してもより高い給与を払ってあげなければなりません。すると社会保険も上がります。

それを考えると、単価をどんどんどんどん上げていかないとなりません。

SES業界の相場では単価は設定しない方がよいです。

実は今でも弊社はさらに単価を上げることを考えています。特に負担の大きい開発業務において。
今の時点でも引き合いはいただけているし、受注もできています。さらに上げられる余地はあります。

世界的にもわが国の単価は安い事は常識です。

日本の価値を上げていくためにも、単価を上げていくとともに、弊社自身もより大きな価値を届けるために、さらに値付け値決めを考え抜いていきます。

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Yoshikazu Nagai(長井 祥和)
ありがとうございます。 弊社としても皆様のお役に立てるよう、今後も活動を行っていこうと思います。