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なぜかゲーム系イベントに行かない個人開発者
個人ゲーム開発人口は年々増加の傾向にあるのか、全国各地でさまざまなイベントが開かれています。インディー開発者向けの展示イベントやセミナーなども盛況の様子。
しかし……私はTGSに行ったことないし、地元であるBitSummitにも一般ではやむを得ない用事で1回だけ行ったことがある程度です。比較的近所でゲーム系の交流会が毎月開かれているのも知っていますが、顔を出したことはありません。
タイムラインにはフォロワーさんの参加表明や楽しそうな写真が流れてきます。しかし、それらを見て「楽しそうだな」とは思っても「自分も行けばよかった」と思ったことは、記憶する限りありません。
イベントに行かないというと「なんで行かないんですか?」と驚かれるんですが、逆に、そういうイベントに参加している人たちがどうやってイベントを過ごして、というか乗り切って(この考え方自体おかしい)いるのか疑問です。
私は基本ゲーム開発は誰かとチームを組んだりご依頼を請けたりしますので、人と関わるのがイヤ!! というわけではありません。
ではなぜイベントに行かないか? 今まで色々お誘いいただいたのに断り続けて感じ悪いと思うので、詳細まとめてみました。
イベントで特に遊びたいゲームがない
私が「ゲームする」と言うと、なぜかほぼ作ることを指す、遊ぶことよりも開発することが好きな者です。
新作も特に楽しみにしているものは今のとこほぼありません。強いていうとDQB3ですが、例えば「イベントで発売前に短い時間試遊できる」と言われてもあまり魅力を感じないです。一般ユーザーなので、予約して発売日を楽しみに待って買って遊びます。
新作は置いといて、年齢的に昔遊んだゲームのリメイクやリマスターは楽しみではないか? というと、それも特に楽しみじゃないです。
かつて楽しみにして買った大好きなゲームのリメイク版で、大好きなキャラが仲間のことを「奴」と呼んでいた台詞が「彼」に変更されていて絶望したことがあります。このキャラは普段丁寧で物腰柔らかいのに「奴」って呼ぶことで親しさと伝法が香る、後の伏線にもなるからとっても好きだったのに何故変えたっていうかその1文字の変更に10年以上経って気づく自分キモすぎる。
マジョリティに混ざれない
私は怖くてディズニーランドに行けない者です。「みんな魔法にかかる」みたいな話聞くんですけど、かからなかったらどうしよう……という恐怖が先に立ちます。
卒業旅行先のテーマパークで、お化け屋敷をゴンドラ? に乗って移動するみたいなアトラクションがあり、友人たちが悲鳴をあげているのがおかしくてずっと笑いを堪えていた頃から、うっすら「人と感覚がずれているのでは?」という疑惑がありました。
上述の「遊びたいゲームがない」にも通じるのですが、私は多くの人が通っているであろう任天堂さんの王道ゲームラインナップであるカービィ、ポケモン、ゼルダなど一切未プレイです。避けていたわけではなく、なんかそうなりました。
もしイベント会場で誰かと会ったりしても、作ることならともかく遊ぶ話題に混ざれないことでしょう。そこで「孤高の開発者……自分カッコイー!」みたいに思えたらいいんですが、そこまでポジティブではないです。
ディスプレイとかでワクワクできない
タイムラインの皆さんがイベントで好きなゲームのディスプレイやブースの写真を撮って喜んでいるのは微笑ましい。一方で、自分はそういったものに興味が持てない、というか「これだけお金をかけたら何本売れば回収できるのだろう」「イベント終わったらバキバキにして捨てちゃうんかな」などと穿った見方をしてしまいます。作ってばかりいるので目線が主催・運営側なのかもしれません。
私は「プレゼントされて困るもの」を聞かれた時「顔がついているもの」を挙げます。捨てる時罪悪感があるからです。だから会場にもし私が大好きなキャラのパネルが飾ってあっても「これ後でバキバキに」……などと悲しくなりがちです。
グッズも「経年で汚れるのがかわいそう」「うちの部屋これが似合うわけじゃない」などと考えてしまいます。好きなゲームのグッズを買うにも、いずれ捨てることを考えると気が重い。
なお実質捨てずに済むDLCとかはめっちゃ買います。
会いたい有名人とかがいない
私はゲーム系のスクールで講師をしているのに生徒さんの名前が半年経っても覚えられません。しかし、その人の顔と過去に作った作品は概ね一致します。1〜2年経っても覚えてたりします。人間よりも作品の認識を優先しているのか?
昔知り合いが嬉しそうに、ファンミーティングか何かで小島秀夫監督と撮った写真を見せてくれたんですけど、どう反応したらいいのか分からず申し訳なかった。「有名人に会えた」ことの何がいいのか全然分からなかったんです。それがもし「安否不明の小島監督と無事に会えた」「小島監督と仕事をすることになった」写真だったら一緒に喜んだと思います。
私はDQB2のシナリオがめちゃくちゃ好きですが、シナリオライターさんに会いたいかというと、そうは思いません。憧れてる=会いたい、とはならない。無名の私と会って話したところで先方の利益にはならないし、もし話そうものなら絶対キモくなって帰り道一人反省会をして落ち込むのが分かりきっているからです。ちゃんとファンだと伝えたほうが良いのでは? という考え方もあるでしょうが、そういうのはnoteとかで書いています。この記事以上のことは言葉にできないし、これでDQB2が一本でも売れてくれたほうが嬉しいし、もしこの記事がご本人に届いていないならその程度なんです。
知り合いのゲームを遊んで面白くなかったらどうしようという強烈な不安
昔、知り合いの知り合いが作ったというゲームを遊ばせてもらったのですが、あまりのつまらなさに失笑してしまったことがあります。申し訳ない。
自分もゲームを作る者ですので、プレイしてくれた人が楽しめなかったらどうしようという恐怖はあります。一方プレイヤー目線では、知り合いがイベントにブースを出展していたとして、そのゲームを遊んで私が「面白い」と思えるか、「面白さが分かる」かは不安です。
私のストライクゾーンは極めて狭い。例えば「ホラーが苦手なので、最後まで遊べるかわからないです」といった特定のジャンルについて伝えるのと異なり、「私の好きなゲームの範囲は極めて狭いのでこのゲームが刺さらなかったらすみません」とか断るのは失礼過ぎる。
「短い試遊時間で魅力的なゲーム体験ができるか」は本編の面白さと違うものですから、仮に成立してなくても即ちダメというわけではないのですが、遊んで面白さが分からなかった場合「何て言ったらいいのか分からない」問題はでかい。これが企業ブースなら何も言わずゲームを終えても変じゃないですが、個人ゲーム開発の場合は開発者本人がブースにいるケースが多く、しかも相手が知り合いだった場合、感想を言わないのは不自然だと思ってしまう。
タイムラインを見る限り、知り合いの開発者同士がお互いのブースで試遊して相手のゲームをかなり褒めているのに、検索しても第三者がそのタイトルを話題にしてないケースが多いです。私も「知り合いだという理由でゲームを買われた」と認識できることが何度かあり、ありがたいとは思いますが友人知人の家に、本来好きでも遊びたくもないものが義理であるのだとしたら申し訳なくてつらい。
知り合いを応援する名目で買われると「その人には必要ないものが家とかPCの中にある状態にしてしまった」罪悪感がすごいので、私がゲームとかグッズ出しても興味があるとかお好みとかじゃなければどうかお気遣いなく
— kawanaka (@intheriverJP) September 5, 2023
もし自分が出展する側で、無理に遊ぼうとされるとほんと辛いんで、どうかお気遣いなく。
多人数の交流会つらい
人と話すのがそんなに得意じゃない……大体いらんこと言って帰り道一人反省会になる。ライブでまともに失言なく喋れる人すごい、尊敬します。話すの得意じゃないからこそ代わりにテキスト書いたりしている者です。テキストなら推敲できるからまだまともっぽく見せられるのに。
お酒好きで食いしん坊なら会食付きの交流会も楽しめそうなものですが、私は外食で食べられないものが多く(アレルギーあり、外食の生野菜はなぜかお腹壊しがち)、これ中に◯◯入ってないか? って避けながら食べる緊張感たるや。お酒も別に好きではなく「万一二日酔いになったらゲーム作れないからほどほどに」などと思っているし、酒に関してはバカ舌なうえ紅茶が好きすぎるので「これ飲むくらいだったら紅茶飲みたいな」とも思っています。しかし周りに悪いので美味しそうに振る舞うことが多いです。
居酒屋でも遠慮なく紅茶頼めばいいのでは? とお思いの皆様もいらっしゃるかも知れませんが、自称専門店でもなんかすごい不味い紅茶出してくることはあるくらい、難しくて好みの分かれるものなのです
そして意味不明なことに、私は交流会でぽつんと寂しそうにしてる人を見かけると「楽しい会なのに寂しい思いをして帰る人がいてはいけない……!」という謎のホスト側目線で、その人に話しかけなくてはという使命感に駆られ立ち回りがちです。
作ることが好きならゲームジャムは?
私は極めてわがままなので、お仕事でない限り自分が作りたいゲームを作れないのは割とストレスになります。申し訳ない。ノベルゲームジャムとかなら行ってみたいかも。
あとゲームジャムって金土日なことが多いと思うんですが、私のクライアントは兼業クリエイターさんが多く、打ち合わせは週末に入ることが多く、そちらが優先になりがちです。
勉強会は必要でしょ?
私のゲーム制作環境は割とマイナーで、勉強会でメジャーなUnityやUEなどの技術的情報は関係ありません。AIの使い方とかイラストは割と学びたいことがあるのですが、ゲーム系じゃない。マーケティングなどはプラットフォームにより異なりますし、日進月歩だとわかっているので、私がいざ売る時になれば状況も変わっているだろうと想像できます。アイディア出しやモチベーションで困ることもあんまりない。
そして何よりアホなので、講座や勉強会で聞いたことを活かすタイミングまでに内容を忘れてる自信があります。
あとこの「アホなので」、先述の人の名前が覚えられないにも繋がるんですね。1回会っただけで1〜2年経ってても覚えてる人すごすぎる。そしてこちらが覚えてない時の申し訳なさ。
勝手ながら限定的なお誘いはありがたい
そんなわけで多人数の会などにこちらから参加することはありません。こうして年々減る人脈よ……ふだんから交流を避けていると、いざというときお仕事などお願いできる人が見つからず困るのですが、それはそれ、自業自得です。
一方で、自分ではオンラインもくもく会を開催したり、リアルで会ったことがない人と一緒にイベント出展する計画を立てたりしますし、コロナ禍以前は100人以上来場者集めるイベントを年に何回か主催していた者ですので、人見知りというわけでもありません。特に少人数の会や作る系のことは積極的に参加したいですし、お誘いいただけますと嬉しいです。