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寅子が「酒好き」キャラな理由…『虎に翼』(番外編)


朝ドラ『虎に翼』の主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉さん)は、「五黄の寅年」生まれという設定なので、1914年(大正3年)に誕生。1932年(昭和7年)に明律大学女子法科に入学し、1935年(昭和10年)には本科へと進みました。この時点で二十歳は超えていたわけです。

本科進学のお祝いで、ビールを美味しそうに飲んでいた寅子。しかも手酌。このシーンについて、堀井憲一郎さんは『昭和10年女子は本当に「ビールを飲んでいた」のか…朝ドラ『虎に翼』の根幹につながる「違和感」』という記事を書いておられました。

たしかに、昔の実家の正月を思い出すと、親戚一同が大集合し、男たちは先に用意された刺し盛やお寿司で、ビールや日本酒をガンガン飲んでいましたが、女性たちはさらなる料理の準備やら片付けやら、お燗を付けたり。やっと席についても、ビールをコップ一杯程度でしたね。

とはいえ、家庭によって差があるでしょうし、ましてや猪爪家は寅子の父・直言(岡部たかしさん)が、シンガポールやニューヨークなど海外赴任経験もあるエリートで、当時としては先進的で自由な考え方の持ち主ですから、寅子が手酌で飲んだところで、咎めることはなかったのでしょう。

想像するに、我が家もそうでしたが、大人が子供に面白がってビールを飲ませたりすることが昔はよくありましたから、それで寅子もビールの味を覚え。さらに長じては、直言の晩酌の相手として、本格的に飲むようになったのではないでしょうか。

また、本作は脚本家・吉田恵里香さんが、主人公を伊藤さんに「完全当て書き」しているそうです。伊藤さんといえば、お酒好きとして知られていますので、寅子の属性は伊藤さんそのものと言えるでしょう。

主人公の寅子という名前も、お酒に絡んだ命名かも知れません。「大虎」「虎になる」…酒に酔って怖いもの知らずになる、泥酔する、というように虎(寅)は酒を連想させる言葉だからです。

さらに言えば、いつも苦虫を潰したような表情をするものの、寅子と生涯にわたって関わってくるであろう桂場等一郎(松山ケンイチさん)を、酒好き(辛党)と真逆である「甘党」設定にしたのも、キャラクター設定の妙といえるでしょう。

直言の無罪が確定し、優三(仲野太賀さん)とお猪口で乾杯していた寅子。これまでの2例は「喜びの酒」でしたが、これからは「悲しい酒」や「やけ酒」といった場面も登場するかも知れません。

願わくば、『エースをねらえ!』最終巻のように、寅子が最高の笑顔でお酒を飲み干すシーンで最終回を終えるといいなと。

そして、朝ドラ終了後の10月。テレビCMで美味しそうにビールを飲んている伊藤さん。その傍らにいる、松山さんが今度は笑顔で乾杯、とか(笑)。そんなCMなら見てみたい。



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