ドラマ日記『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(初回)
江戸時代中期、江戸のメディア王として時代の寵児となった蔦屋重三郎(横浜流星さん)。お上に目を付けられても、面白さを追求。蔦重こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯。笑いと涙と謎に満ちた痛快エンターテインメント大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の初回。
明和の大火から一年半、蔦重こと蔦屋重三郎は、茶屋で働く傍ら貸本業を営んでいた。ある日、松葉屋を訪れると、幼なじみの花魁・花の井(小芝風花さん)から、朝顔(愛希れいかさん)に届けものを託される。しかし蔦重が、浄念河岸の二文字屋を訪れると、ひどく衰弱した朝顔の姿があった…。
昨年の『光る君へ』と同様に、初回から衝撃的だった『べらぼう』。『光る』は主人公の母(国仲涼子さん)がいきなり殺されるという展開と、朝ドラ『ちゅらさん』のヒロインとして、NHKへの貢献度の高い国仲さんがいきなり退場という驚きがありました。
今回も病で亡くなった朝顔らが、全裸で打ち捨てられるという地上波ドラマとしてはかなり攻めたシーンと、本作と同じ脚本家・森下佳子さんのNHK版『大奥』で、主人公の一人・徳川家定を好演した愛希さんが、初回で姿を消すという驚き。
森下さんの作品には、今という時代へのメッセージ性を感じるものがあり。仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌 の八つの徳目を失った「亡八」だと自嘲する旦那衆などは、低賃金で多くの人々が搾取される現代を見ているよう。
また、旦那衆の一人・大文字屋市兵衛(伊藤淳史さん)が言い放った「別に悪くないんだよ、女郎がどんどん死ぬのは。どんどん入れ替わってくれた方が、客も楽しみなんだよ」の言葉。まさに使い捨て。生活に困窮した綺麗な女性が、風俗に来ることを期待した発言で炎上した芸人みたいだなと。
幼少期に朝顔から可愛がってもらった体験が、蔦重の人格形成のベースだとすれば、田沼意次(渡辺謙さん)との出会いと、「お前は何かしているのか?」の問いが、蔦重の人生の大きな転換点となり、「江戸のメディア王」の出発点となったことが示された初回。
やはり「語り」だけではなかった綾瀬はるかさんの活用とスマホ登場。従来の大河ドラマファンからすると違和感があるかも知れませんが、自分は許容の範囲内。
初回ということもあり、横浜さんの演技については保留ながら、作品としてはバランスがいいというか、これだけの情報量をよく45分にまとめたなと。森下脚本にハズレなし。NHKクオリティ。一年間ついていきます。
余談①:酔って目覚めたら、男の部屋系ラブストーリー、しかも結婚していた設定の『いきなり婚』初回。深夜枠にしては、なかなか豪華キャストで、各キャラがこれから動いていくと面白くなる予感。齊藤京子さんは昨年主演した『泥濘の食卓』でも注目されていました。
余談②:女性の性欲がテーマの『マイ・ワンナイト・ルール』初回。冒頭、主人公(足立梨花さん)の上司・堂島吾郎(平岡祐太さん)がホテルでシャワーを浴びていて、そこに着衣のままの女性(誰?)が入ってきて…色っぽいシーンはそこぐらいで、全体にコミカルな仕上がり。