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女性客が押し寄せた映画『エマニエル夫人』(1974年)

最近始まった葵わかなさん主演の『年の差婚』では、冒頭から男性経験のない主人公(葵さん)が、江戸時代の書物を読みながら、「床入り(初夜)」について学んでいる描写があります。

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映画『この世界の片隅に』(2016年)では、主人公のすずが、祖母から結婚初夜の作法を教わるのですが、それは「床入り問答」の一種、「傘問答」。全国的には、他にも「柿の木問答」などのバリエーションがありますが、いずれにせよ、処女が前提の当時の女性は“受け身”な立場。

そんな“受け身”を強いられていた女性たちを、解放する世界的な運動が、1960年代後半から起こります。米国のウーマンリブ運動や仏国の女性解放運動で、日本でもピル解禁を求める中ピ連などが活動していました。

そんな時代の潮流の中で、1974年に公開されたフランス映画が『エマニエル夫人』。夫一筋だった外交官夫人が、赴任地のタイで自由な性に目覚めていくという、内容的にはポルノと言ってもいいのですが、フランス映画的な文化の香りで誤魔化せたのか、一般映画として公開され大ヒットしました。

銀座のみゆき座では、定員の倍の1500人が押し寄せ、実にその7割以上が女性。時代が、女性がそうした映画を求めていたのでしょう。1977年にテレビで放送されると、視聴率は30%超え。機内性交、自慰、同性間性交、レイプ、肛門性交など、今思えばよく放送できたなという内容なんですけどね。

主演のシルビア・クリステルの美しさと、ピエール・バシュレの甘美なる音楽に引き込まれますが、作品の出来としてはそこそこ。西欧的なオリエンタリズム、西欧人の東洋人に対する差別感も見て取れますが、まあそう難しいことは考えずに、一度どうぞ。


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