ドラマ日記『海のはじまり』(第7話)
大学時代、同級生の南雲水季(古川琴音さん)と付き合い、別れた月岡夏(目黒蓮さん)。7年後、水季が亡くなり、海(泉谷星奈さん)という娘がいたことを知り、さらにその父親が自分だと聞かされて…親子の愛を通して描かれる家族の物語『海のはじまり』の第7話。
夏は、海と一緒に弥生(有村架純さん)のマンションへ向かう。到着後、手洗いうがいで洗面台に立つ海を夏が後ろから抱える。そんな2人の姿を見て、微笑む弥生。 弥生は下準備していたコロッケを冷蔵庫から取り出し作り始める。
前回、水季と弥生の奇跡のようなつながりが感動を呼んだ本作。今回もある偶然が二人に起こっていました。海を夏に会わせようと、昔の住所に向かった水季でしたが、弥生が部屋から夏と出てきたところを目撃し、再会することなく帰路についていたことが、津野(池松壮亮さん)の言葉で明らかに。
ハッキリと水季の死が描かれた回でもありました。死期を察し、海の今後を母・朱音(大竹しのぶさん)に委ねた途端、安心からか自分の死に恐怖し、涙するシーンがリアル。十代の頃から『葉隠』を愛読し、「いつでも死ねる」覚悟できましたが、いざとなればジタバタするんでしょうね。
そして圧巻はやはり、その直後。津野のスマホに朱音から連絡があるも、その内容を察してなかなか出ることが出来ず、号泣する場面。朱音の声はなくとも、水季の死と津野の慟哭が伝わってきました。名優の池松さんを三~五番手ぐらいで使っている贅沢さよ。
津野の好意を利用していた水季、津野の遺品整理の申し出を拒絶する朱音、「母性」を巡る津野と弥生のやり取りなど、今回もヒリヒリとする人間の「毒」というか、「性(さが)」というか、「愚」というか、そんなものも散りばめられ。今回も最高でした。
最近のフジテレビ「月9」枠は全11話傾向。脚本家・生方美久さんのこれまでの作品『silent』『いちばんすきな花』も共に全11話なので、本作も残り4話と予想。
余談:17日放送のNHK『神田伯山の これがわが社の黒歴史(11)凸版印刷 うたかたの平成メタバース』。毎回面白いのですが、今回もネット黎明期の話が懐かしくもあり。「失敗」は「無駄」ではなく、令和の今につながっているという流れも見事。