ドラマ日記『3000万』（初回）

思わぬアクシデントと出来心をきっかけに、人生が激変してしまう家族を描く物語。誰もが余裕のない社会の痛みをえぐり出す“やみつきになるエンターテインメントドラマ”『3000万』の初回。

コールセンターの派遣社員として働く佐々木祐子（安達祐実さん）は、家のローンやピアノの才能あふれる息子の教育費に悩んでいる。倹約を心がけるが、元ミュージシャンの夫・義光（青木崇高さん）は、大した稼ぎもないのに「なんとかなる」と楽観的。

海外では一般的な複数の脚本家が連携して連ドラを担当する手法をNHKが取り入れた、脚本開発「WDRプロジェクト」の第1弾。第一話は映画界の「芥川賞」と言われる城戸賞で、佳作を受賞した弥重早希子さん。なお、生方美久さんも同賞受賞者。

祐子らの息子・純一（味元耀大さん）のピアノ発表会が終わり、車で帰宅中にツッコんできたバイクと接触事故になりそうになり。相手の運転手・ソラ（森田想さん）が転倒したので救急車を呼びますが、突然ソラは車を奪い、純一を乗せたまま発車。

祐子らが追いかける中、車は物にぶつかって停止。ソラは意識不明で病院へ。純一は無事でしたが、ソラが所持していたバッグも持って帰っていて、その中には3000万円の札束。

当初は警察に届けようという話になり、義光が親しい間柄のベテラン刑事・奥島誠吾（野添義弘さん）を訪ねて警察署を訪れますが、お金が惜しくなった義光は持ち帰ってきて。

その後、広域強盗事件の合同捜査本部から出向してきた刑事の野崎春奈（愛希れいかさん）が奥島と、事故の様子を訊きに来て。そこで、ソラが強盗事件に関与している可能性を知り。反社も関わってるかも知れないお金に怖くなった祐子は、義光と事故現場にバッグごと捨てに行くのですが…。

現場ではチンピラ風の蒲池（加治将樹さん）と長田（萩原護さん）が何かを探していて。隠れようとする祐子らでしたが、あっさり見つかり、バックを開けさせられ万事休すかと思われましたが、義光が中身をすり替えており、事なきを得ました。

車のガラスを割られた祐子は腹いせに、蒲池らを轢き殺さんばかりの勢いで車をバック発車。「あー、すいません。ギア入れ間違えました」（笑）。雄叫びを上げ、3000万ネコババする気満々の二人。そして、意識不明だったソラが目を覚まし…。

パワハラ上司の初山（持田将史さん）に頭を下げ、家のローンや純一の教育費に悩みながら、表面上はおとなしかった祐子でしたが、3000万円が手元にやってきたことで徐々に変貌。上司にも物申し、チンピラにも仕返しするなど、彼女の中で何かが覚醒する姿を安達さんが見事に演じ切っていました。

ストーリー展開が二転三転する脚本も素晴らしく、オリジナリティ溢れるというか、今までにない手触りの作品に仕上がっています。バッドエンドになるのか、それとも何かしらの救いがあるのか、土曜ドラマとしては長めの全8話ありますから、たっぷりと楽しめそうです。

YUMI ADACHI A to Z