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ドラマ日記『新宿野戦病院』(最終回)&『あの子の子ども』(第11話)

新宿区歌舞伎町の「聖まごころ病院」に、突然アメリカ国籍の元軍医であるヨウコ・ニシ・フリーマン(小池栄子さん)が降臨。美容皮膚科医の高峰享(仲野太賀さん)と出会い、歯車が動き始める救急医療エンターテインメント『新宿野戦病院』の最終回。

ルミナウイルスに感染してしまった高峰啓三(生瀬勝久さん)は一命を取り留め、生還した。ルミナウイルス感染拡大の影響でNPO法人『Not Alone』は解散。南舞(橋本愛さん)は消息不明となり、高峰享(仲野太賀さん)と岡本勇太(濱田岳さん)も連絡が取れなくなってしまっていた。

怒涛の最終回だったので、流れだけまず振り返ると、ルミナ第一波収束→浮かれた若者たちで賑わうクラブの床崩落→大勢の患者を受け入れた「聖まごころ病院」とヨウコらが注目される→テレビに出演したヨウコらが、川島官房長官(羽場裕一さん)に直言。

ヨウコの予言通り第二波到来→舞の父親で風俗王の南錠一郎(松尾スズキさん)が風俗店を病棟に使うよう申し出→ヨウコの評判が高まる中、自身も感染→舞のリークにより、かつて日本の医師免許を持たずに治療したことが発覚し逮捕→数年後、亨は院長に、ヨウコは国境なき医師団で活躍していた。

小ネタも相変わらず多かった回。病棟に転用するソープランドに「スケベ椅子」が登場したのは、さすが宮藤官九郎さんだなと。クドカンは『ビートたけしのオールナイトニッポン』のヘビーリスナで、当時たけしさんが「スケベ椅子」の話を良くしていたんですよね。今では介護にも転用されているようで、恐らくは風俗店→病棟のアイデアもこの椅子なのかなと。

名作映画ネタもこれまでいくつか出てきましたが、最後は『エマニエル夫人』(笑)。ただ、ナレーションで解説しないとわからない世代も増えているんでしょうね。親切ではあるけれど、余計でもあるなと。

国境なき医師団でヨウコが布教していた、カップ麺のソース焼きそば「ペヤング」。堀井しのぶ(塚地武雅さん)が病院に備蓄していた「ペヤング」を盗まれる騒動から始まり、何度も登場していましたが、最後のオチに使ってきましたね。

ドラマ終了後は、エンディング曲「恋のブギウギナイト」を歌うサザンオールスターズが登場し演奏を始め、出演者たちとと共も歌うというお祭り演出。『紅白歌合戦』時の桑田さんとユーミンコラボを思い出しました。

作品としては粗削りでしたが、メッセージはしっかり伝わりましたし、何より面白く、最後まで楽しめました。宮藤さんによれば、しばらくは配信中心の仕事だそうで、地上波ドラマは当分先みたいですね。

余談ながら、ヨウコが手錠をかけられ、その手を高らかに掲げるシーン。感動的でしたが、既視感もあり。何かの映画だったか、抵抗運動で逮捕された活動家の写真・映像だったか。詳しい方がおられれば、ご教示ください。

高校2年生の川上福(桜田ひよりさん)と、幼なじみの恋人・月島宝(細田佳央太さん)が避妊に失敗し、福の妊娠が発覚。決してなかったことにできない現実に悩み、葛藤する2人を描く、“ラブストーリーの一歩先”の物語『あの子の子ども』の第11話。

「妊娠しました」――。教え子の突然の報告に、担任の沖田(橋本淳さん)は驚きのあまり言葉を失うが、このままここで高校を卒業したいと言う福の思いに、「頑張ったんだな」と涙を流す。しかし、話を聞いた生活指導の山田(松角洋平さん)は、福が学校に残ることに猛反対。

序盤は、福の妊娠を知った沖田と山田と保健室の足立先生(菊池亜希子さん)が、それぞれの考えをぶつけるシーン。現実的なリスクを突き付け、中絶を勧める山田に対し、沖田と足立は福の意思を最優先し、寄り添う姿勢を見せますが、福を守り切れるかと言えば、不安が残るところ。

一方の宝は、退部届を提出。それを後から知った親友の隼人(前田旺志郎さん)は憤りますが、宝が隼人だけ部室から連れ出し、他の人間には秘密にしている福の妊娠を打ち明け、今も変わらない陸上への想いを涙ながらに吐露するという、熱い青春友情シーンでしたね。

何者かにより、福の妊娠がSNSに拡散され、翌日教室に福が入ると、机の上にはコンドームが置かれ「避妊してね」という、悪戯にしては悪意があり過ぎる言葉。思わず教室を飛び出した福でしたが、親友の矢沢(茅島みずきさん)にもスルーされてしまい…。

未成年の妊娠を描いたドラマでは、割と序盤に周囲に知れ渡ることが多いのですが、本作は福と宝の二人の想いと家族の受け止めまでを丁寧に描き、第11話にしてやっと学校側に広まるという異例の展開。次回、最終回で全てを回収できるのでしょうか。

余談:「NHKプラス」で配信中の『氷室冴子をリレーする 少女たちよ自由に!没後15年・ベストセラー作家の人生と作品』を視聴。そういえば、姉の本棚にも『なんて素敵にジャパネスク』があったなと。なかなか見応えがありました。制作陣の熱意が伝わる力作。


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