桂場の孤独と美佐江の死…今週の『虎に翼』
日本初の女性弁護士で、後に裁判官となった女性・猪爪寅子(伊藤沙莉さん)とその仲間たちが、困難な時代に道なき道を切り開き、迷える子供や追い詰められた女性たちを救っていくリーガルエンターテイメント、朝ドラ『虎に翼』の第25週「女の知恵は後へまわる?」。
「女の知恵は後へまわる」とは、「女は知恵の回りが遅く、事が終わってからいろいろと考えつく」の意(コトバンクから引用)。
崔香淑=汐見香子(ハ・ヨンスさん)が、原爆被害に遭った外国人支援を決意した月曜日。夫の汐見圭(平埜生成さん)は裁判官を辞して、香淑をサポートすることに。原爆裁判のど真ん中にいた人ですから、これは心強い。
梅子(平岩紙さん)と道男(和田庵さん)の店「笹竹」は補導委託先として、古林大五郎(増田怜雄さん)を引き受け、温かく見守ていましたが、最高裁長官となった桂場(松山ケンイチさん)は店には寄り付かないとのこと。優未(川床明日香さん)は雀荘でも働くという謎行動。
結論ありきで進められようとする法制審議会少年法部会では、寅子たちが抵抗。そんな中、星朋一(井上祐貴さん)は最高裁事務総局から家裁へ、左遷としか思えない異例の異動を命じられ…。
仕事に家庭にと様々な問題に、寅子が頭を悩ませていた火曜日。意を決して、朋一の左遷について桂場に尋ねると、あっさり自分の指示だと認め。政治を介入させないために先手を打った桂場に、寅子は反論。激高した桂場は寅子に出禁を命じました。「孤高の人」桂場の「孤立」が深刻。
最高裁調査官の航一(岡田将生さん)が、美位子(石橋菜津美さん)の事件の上告の件で、よね(土居志央梨さん)と轟(戸塚純貴さん)に直接想いを聴くシーン。よねが自分の経験も重ねた一言一言が、説得力を持っていました。まさか朝ドラで「性処理」というキーワードを聞くことになるとは。
少年法改正について、寅子が部下や家族に意見を求めた水曜日。はっきり物を言う調査官・音羽綾子役の円井わんさんは、最近売れっ子ですね。『不適切にもほどがある!』での渚(仲里依紗さん)を訴えるAP役や、『この素晴らしき世界』における若菜(若村麻由美さん)のマネージャー役とか。
香淑に触発されて、涼子(桜井ユキさん)も司法試験受験のため上京。明律大学女子部の面々が寅子宅に集まり、和やかに談笑していると、よねが後からやってきて、受験対策のプリントを配り「私らで、絶対にこいつを受からせる」と。学生時代は涼子を罵倒したこともありましたけどね。
ある日、家裁の廊下を寅子が歩いていると、新潟のミサンガ高校生・美佐江(片岡凜さん)にそっくりな少女に声をかけられます。彼女の忘れ物を届けに来た音羽には「美雪さん」と呼ばれており、年配の女性・佐江子(辻沢杏子さん)と一緒に去っていきました。
同級生を突き落とした美雪(片岡凜さん)が、嘘泣きの末に不処分となった木曜日。司法試験に受かった涼子は上京し、司法修習は受けずに、若者たちに法律を教える場を作ると。華族の身分を失った涼子への、世間の目に対する反骨心を「世の中への、私なりの股間の蹴り上げ方かしら」と(笑)。
上告の件が進まない中、山田轟事務所の居候をしている美位子に、よねは厳しくも優しさが滲んだ内容で「クソ」連発。かつて、一度だけ姉のために弁護士と寝た過去が、よねの中で許せないのでしょう。無理してポジティブに振舞っていた朋一ですが、やはり裁判官を辞めたいと航一らに打ち明け…。
航一が桂場に、尊属殺の重罰規定の憲法判断を、今再び行うよう訴えた金曜日。桂場からは「時期尚早」と突き返され、一旦は「なるほど」と帰ろうとしますが、再び熱く訴える航一。興奮で鼻血が出てしまい、桂場の膝枕で寝ているところを寅子が迎えに。
桂場熟慮の末、最高裁大法廷で憲法判断がなされることになりました。そんな頃、美雪の祖母・佐江子が訪ねて来て、美佐江の母であることを打ち明け、美佐江の遺書と思われるメモを寅子に見せ。田舎では神童と呼ばれても、大東京では普通の人、という『ハチミツとクローバー』的な話でした。
いよいよ来週が最終週。予告編を見る限り、色々と仕掛けが用意されているようですね。