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『おむすび』が震災朝ドラの集大成になりそうな件

朝ドラ『虎に翼』が終了し、橋本環奈さん主演の『おむすび』が始まります。PR番組などを見ると、前作とは対照的に明るいというか、軽いというか、そんな朝ドラを想像しますが、実際には『あまちゃん』『おかえりモネ』と同じく、震災がテーマの朝ドラであることが明らかにされています。

2025年1月17日、阪神・淡路大震災発生から30年を迎えるにあたり、今作では、阪神・淡路大震災が起きた瞬間とその後を正面から描く。

福岡出身の橋本さんが、福岡で生まれた主人公・結を演じると思い込んでいて、緒形直人さん演じる妻を亡くした(恐らくは震災で)神戸の靴職人・渡辺孝雄と出会い、震災を学び、成長していく物語と想像していましたが、違いました。あらためて確認すると、結自身が被災者でした。

青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結。

結は平成元年(1989年)生まれ設定。阪神・淡路大震災が1995年ですから、6歳ぐらい。言語化はできなくても、その記憶はあるでしょうし、8つ上の姉・歩(仲里依紗さん)なら、もっと鮮明に覚えているでしょう。

父・聖人(北村有起哉さん)は、祖父・永吉(松平健さん)の息子で元理容師ということですから、関西の専門学校で学び、資格を取り、妻・愛子(麻生久美子さん)と結婚。理髪店を営む中、二人の子供が生まれた後に被災し、福岡に帰ってきた、ということなのかな。

物語は2004年(平成16年)からスタート。福岡県糸島編の後は、兵庫県神戸編になるようですから、結が高校卒業後に進学ないしは、就職で関西に行く展開が濃厚。

現代劇の朝ドラの多くがそうであるように、放送時点ないしは少し先の未来まで描かれるでしょうから、2024年までとすれば、結は35歳ぐらい。その間には東日本大震災(2011年)や熊本地震(2016年)もありますので、それをスルーするとは思えず。

結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。

過去にも『甘辛しゃん』(1997年)や『わかば』(2004年)など、阪神・淡路大震災を描いた朝ドラはありますし、東日本大震災を描いた『あまちゃん』『おかえりモネ』もあります。

それらを経て、あらためて阪神・淡路大震災をを取り上げるのは、そこでの学びが、後の震災対応に活かされていったということを描くためではないかと。震災大国・日本では、今後も大地震は必ず起こるだけに、阪神・淡路大震災を教訓にした平成以降の震災の学びを振り返ることには意義があると。

大ヒット中の映画『ラストマイル』は、過去のドラマと世界線を共有した「シェアード・ワールド」作品といわれており、これからのトレンドになるともいわれています。

願わくば、結が神戸で学んだことをその後の被災地で活かす中で、『あまちゃん』や『おかえりモネ』の登場人物と出会うというような、サプライズがあると盛り上がるんじゃないかな。

序盤は恐らく、ギャルとかパラパラとか、『虎に翼』とのギャップもあり、つまらないと感じる方も少なくないでしょうが、全ては震災朝ドラという真摯なテーマのための「前振り」と考えて、しばらくは我慢していきましょう(笑)。



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