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都市計画研究ノート(2020.4〜6)

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With COVID-19の都市計画に関する論考集
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2020年4月の記事一覧

No.3|持続可能な都市の形態

 No.2を書いた後、もっと都市計画分野に踏み込むべきだったと思い、続きを書くこととしました。 1.分野融合型アプローチ 私が2014年4月に現職に就いて「環境負荷低減・減災に向けた都市計画、計画策定技法(方法と技術)」を研究テーマに掲げるようになったのは、前職が名古屋大学大学院環境学研究科(以下、名大環境学)(1)にあったことが大きい。2006年10月に都市計画担当の教員として着任したのは建築学コースであったが、この建築学コースは、名大環境学にある3つの専攻の1つである都

No.2|世界共通課題と「統合的空間計画」

 持続可能な開発目標(SDGs)の達成とレジリエンシーの向上が都市計画を含むプランニングの世界共通課題であるという認識を持っています。そして、こうした大きな課題に応答していくためには、狭い都市計画のマスタープランを超えて、物的環境形成に関わる複数の基本計画を統合すると良いと考えていました。このことについて、改めて整理したいと思います。 1.プランニングの世界共通課題:SDGsとレジリエンシー 2016年秋頃から、都市計画一般について書いたり話したりする際、持続可能な開発目標

No.1|COVID-19と都市計画研究

 COVID-19感染拡大の影響を受け、大学のオンライン講義・演習の準備・実施や前例のない学会委員会の運営に追われた1ヶ月でした。オンラインで研究室会議や学部4年生対象の研究室説明会も行ってきたところですが、その中で、COVID-19感染拡大によって研究のテーマや研究の進め方がどう変わるのかといった質問が学生から出てくるのは当然です。整理された回答ができないので、その時点での考えを述べ、最後は「一緒に前向きに考えていこう」とお茶を濁してZoomミーティングを終了していました。