「尖ったところが無い」と思っていた私ですが、SmartHRで楽しくプロダクトデザイナーやれてます
はじめまして、akasakaです。SmartHRでプロダクトデザイナーをしています。
2022年2月にSmartHRに入社して半年以上が経ったので、入社に至るまでとこの半年を振り返ってみようと思います。
この記事のテーマ
いきなりですが、私は「これといって尖ったところが無い」デザイナーです。
SaaSのUIデザインの経験はあるものの、UIに精通しているか?と問われると自信がありませんし、実装も自力では出来ません。人と関係を作るのにも時間がかかるし、話すのもちょっと苦手です。
が、そんな私でもSmartHRという組織において、プロダクトデザイナーとして機能し、一定の成果を出せているんじゃないかな?と思う場面が多々あります。
実は、SmartHRに入社してから、カジュアル面談などで
「もうかなり整っているように見えるのですが、自分が入社してやることはあるのでしょうか?」
といった質問をお受けする機会が何度かありました。
「尖ったところがない」と自認する私が、どのようにSmartHRという組織で働いてるのかをお伝えすることで、上記のような疑問や不安の解消につながれば、という思いを持ってこの記事を書いています。
自己紹介・経歴
私がデザイナーになった経緯は、ほぼ「ノリ」と「偶然」です。
大学までは企業会計の勉強などをしており、ITとはほぼ無縁の大学生活を送っていました。公認会計士の勉強に早々に挫折した後、周りに合わせてヌルっと就活を始め、たまたま受けたIT企業のインターンで内定をもらい、そのまま入社を決めました。ちなみにこの時点では、「UI」や「UX」という言葉すら認識していません。
入社時に職種は決まっていなかったのですが、初期研修時の講師がたまたまデザインチームのマネージャーでした。そこで「あ、なんとなくUIデザインって向いてるかも」と思い始め、デザインチームへの配属を希望し、そのままデザイナーとしてのキャリアを歩みはじめました。
業務システムをきちんとデザインすることの価値を最初の段階で学ぶことができたのは、今考えるととても幸運だったなと思います。
そうするうちに、toCのデザインもやってみたい気持ちが出てきて、幅広く事業を手掛けているスタートアップに1人目のデザイナーとして転職しました。
が、最終的には法人向け事業のほうが性に合っていたのか、オフィスやコワーキングスペースを管理する法人向けのSaaS・アプリを一生懸命作っていました。
そして「toBのプロダクトデザインを主軸にやりたい」という思いが大きくなってきたところで転職活動を開始し、3社目の職場としてSmartHRに入社するに至っています。
SmartHRとの出会い
一番最初にSmartHRを意識したのは、「SmartHR Design System」が外部に公開されたタイミングでした。
前職でもデザインガイドラインを作成する機会があったので、公開以来toB SaaSのベンチマークとして何かと参考にしていた覚えがあります。
また、「textlint」を使って文言のガイドラインをプロダクトに落とし込む取り組みも、課題を仕組みで解決する姿勢を強く感じたので印象に残っています。
そんな経緯があったので、転職活動を始めたときにも「toBのデザインやるならSmartHRは見ておかねば」と自然に思いました。
応募しようと思った理由
転職活動に際しては、これから進みたいキャリアや、今まで働いてきて「やりやすかった」と思えた経験をもとに
toBのSaaSを作れるか
“ソフトウェアプロダクトのデザイン” に集中できる組織か
エンジニアと協業できそうか
という軸を設定していました。
SmartHRのプロダクトデザイナーの募集要項には、「オブジェクトデータモデルへの理解や関心」が必須要件として記載されています。
その当時、かなり複雑にオブジェクトが絡む製品を開発していたこともあり、画面を起こす前にオブジェクトデータモデルを作ることで、ユーザーへの認知負荷を減らし、プロダクトの破綻を防ぐことが出来るという実感がありました。
データモデルに理解があると、エンジニアやPdMとの共通言語が生まれ、コミュニケーションも円滑になるため、ソフトウェアの開発をする上では必要な工程だと思っています。
この要素が「必須要件」として明示されている点に強く惹かれたと同時に、自分も貢献できそう!と考えました。
他の要素を見ても、職種を横断し、特にエンジニアと協業しながらプロダクトを作れることが明白だったので、応募することに決めました。
(あとは、金髪のまま選考受けても大丈夫そうだったからというのもちょっとあります。)
面接〜入社までの不安
私は将来のビジョンを持つのが苦手で、「SmartHRでこれがやりたいです!」という具体的な想いを伝えることがうまくできず、少し苦労しました。また、就職のための面接というのをほぼ経験したことがなかったので、ものすごく緊張したのですが、最終的には私がプロダクトを作る上で核となっている、
"デザイン"は、デザイナーだけでなく、皆でやるものだということを伝えて実践したい。
今はUIデザインのスキルを持っているからその役割を担っているが、良いものが作れるなら手法にこだわりはない。
リリースしたものに対して、ユーザーの反応をみてちゃんと改善を回したい。
という内容を伝え、無事内定を貰うことができました。
内定後、本当に転職すべきか悩む
しかし、このタイミングで本当にSmartHRに転職すべきかものすごく迷ってしまいました。
前職に大きな不満を感じて始めた転職活動ではありませんでしたし、プロダクト開発に特化したデザインチームを立ち上げて、ちょうど軌道に乗り始めた時期でもありました。
自分よりもキャリア・スキル面で上回る人たちばかりの環境に移ることになるので、自分が貢献できる割合が相対的に減ってしまうことへの不安もあったと思います。
他にも、様々な条件を比較したのですが、結局その時点で目に見えて比較できる部分だけでは判断がつきませんでした。
それでもSmartHRを選んだ理由
ですが、悩んでいるうちに「条件は一旦置いておいて、新しい環境で力を試してみたいかも」というシンプルな好奇心が勝ってきました。
どう考えても自分の「デザイン」に対する考え方と、グループの考え方が合致しているので、開発に集中できそう
あえて「プロダクトデザイン」をグループ名に掲げている組織で働いてみたい
色々なバックグラウンドを持つ「デザイナー」と働くことで、自信の成長に繋げられそう
などのポイントに後押しされて、入社を決めました。
私、ここで成果出せるんだろうか?
分かっていたことではあったのですが、入ってみて実際に接することで、グループメンバーの凄さを実感させられることとなります。
UIへの知識、コーディング、アクセシビリティ、IA、Figma、デザインシステム、スクラムの知識、ファシリテーション、ユーザーリサーチ、面白文章、コミュ力 などなど、自分が持っていないものばかりが目につき、「私、ここで成果出せるんだろうか....」という不安や焦りに襲われました。
とはいえ、なにもせず「不安だ」ばかり言っていても仕方がありません。
先のことはよくわかりませんが、ひとまず「できそうなことは一旦やってみる」というスタンスで走りはじめました。
すると、特別突き抜けたスキルが無くても、貢献できる部分が結構あることに気が付き始めました。
走りはじめて見えてきた、出来ること、やるべきこと
スクラムチームへの参加
SmartHRは複数のプロダクトを開発しており、それぞれに担当のプロダクトデザイナーがアサインされる形が基本となっています。私もこれに倣い、デザイナーとしてスクラムチームに入り、基本的に全てのスクラムイベントに参加する事になりました。
まず日々のスクラムイベントでは、リファインメントで意見や疑問を出す他、スプリントレビューで小規模なユーザビリティテストを試したりしました。レビュー時に、Figmaのプロトタイプを用いることで、実装前に検証を回す手段を増やすことにも繋がっています。
また、プロダクトそのものだけではなく、チームの課題にもアプローチしてみました。例えば、議論を図にまとめてチームメンバーが案を比較できる状態を作るなど、認識がズレないように可視化することで、行き詰まった議論を前に進められます。他にも、Miroで実施するミーティングのテンプレートを整理するなど、細かい改善も実施しました。
そもそも、スクラムチームに「専任デザイナー」が存在するだけでも意味があるのかもしれません。開発中、デザインに関するちょっとした疑問が生じたときに、「忙しそうだから...」などと後回しにせず、気軽に相談・議論ができるという価値はかなり高いのではないかと感じています。
モブデザイン
スクラムチームでは、通常のスクラムイベントに加え、モブデザインを定期開催する形にしました。デザインするときの思考や使える情報を開示する機会が増えるのはもちろん、UIデザイン・文言・実装を分断せず、一連の流れとして捉えられるようになりました。
また、プロダクトデザイングループ内でもモブデザインやレビューを実施しています。まずは自分が担当していないプロダクトに対してフィードバックする、という働きが可能です。プロダクトに対する知識が浅かったとしても、「プロダクト初心者」目線でのフィードバックは可能なはず、という心持ちで参加しています。
そして、ここで仕入れた情報をスクラムチームで活かしたり、逆にスクラムチームでの取り組みを共有したりすることで、組織知を増やすという貢献に繋げられます。
ユーザーリサーチやヒアリングの実施
また、スクラムチーム以外での活動として「ユーザーリサーチ推進室」に参加しました。ここで得た知見をスクラムチームに持ち帰り、実際のユーザーを対象として、プロトタイプを用いたユーザビリティテストやヒアリングも行いました。デザイナーはユーザーの声を通して、開発サイドと、ビジネスサイド(PMM、CS、サポートなど)のメンバーを繋ぐ役割をリードしやすいと思います。
半年を終えて今思うこと
前述した内容は、特別なスキルが必要なものではありません。
やってきたのは、リソースが足りない、きっかけが無い、など何らかの事情で着手できていなかった取り組みを試しながら、発生した課題に対して都度改善を行う、というとてもシンプルな動きです。
例え個人のスキルが追いついていなくても、日々変化する状況や課題に対峙する主体性があれば、やることは自ずと生まれてくると思います。そのときにどうしても足りないスキルがあれば、周りが助けてくれるはずです。
SmartHRの文化に助けられた半年間
ちなみに、この半年で実行してきた内容は、SmartHRの文化に背中を押されて遂行できたものがとても多いです。
まず、開発体制として個人が複数の職能を持つ「クロスファンクショナル」が推進されているので、他職能を交えたモブデザインをすぐに始めることができました。(参考:SmartHRにおけるクロスファンクショナル実践例)
また、ビジネスサイドのメンバーと会話するハードルが組織体制的にも心理的にも低く、ユーザーの状況をリアルタイムで拾いやすいです。
そして、ユーザーと一緒にプロダクトを成長させるための「Senseiプログラム」が進行しているので、ユーザーと直接話したり、テストに協力していただいたりする機会を作れます。
特に、周りの人を巻き込みながら新しいことを始めるフェーズは、私が苦手とする部分なので、職能や組織を越境しやすい文化にはとても助けられています。
入社当時は、できないことばかり目についてオドオドしていた私ですが、最近はデザイナー固有のハードスキルを活かしつつ、イチ開発者として目の前の状況に柔軟に対応できるという持ち味に気づいてきたので、前向きに元気に楽しく働いています。
これからどうしたいか
まずは今担当している機能をもっと使いやすく、世の中に誇れるプロダクトにしたいです。
そのために、「プロダクトデザイナー」とスクラムチームの良い関わり方を模索しながら信頼関係を築きつつ、「私はこのプロダクトをどうしたいのか」という意思を恐れずに表明していくつもりです。
と同時に、チームメンバーへのスキル移譲や、良いプロダクトを素早く作るためのハードスキル(実装とかヒアリングとか)獲得にも挑戦し、貢献の幅を広げていきたいです。
また、この記事は「尖ってなくても大丈夫!」というテーマで書いてはいるのですが、ここで「意外となんとかなる」に甘んじず、チーム・グループをリードできる存在になりたいと思っています。
元来私はめちゃくちゃ自己肯定感が高く、一番であることが大好きで、親にも呆れられる程の人間なんです。
自分のありたい姿に追いつけるよう、精進します。
一緒にデザインしませんか?
SmartHRのプロダクトデザイングループでは、一緒にプロダクトを作る仲間を募集しています。
もしご興味があれば、一度お話しましょう!