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ん?と感じるような素材を集める(#106)

朝、出勤のため私が運転していると、左側の歩道にジョギングする男性が見えた。ちょうど私の車が彼と並んだ時に彼は横断しようと向きを変えた。私の車を見て止まり、その場で足踏みを始めた。きっと私が通り過ぎた後に横断するのだろうと思い、バックミラーで確認したが、姿が見えない。「あれ?考えを変えたのかな?」と思った。

その後すぐ、私はT字路で左折しようと一旦停止し、右から来る車を確認して、今だと思って左折しようとした瞬間、さっきの男性がまた私の車の前を横断しようとしていた。車が動き出すのを見て、また足踏みしている。「な、なんだこの人は?」と思わず声に出しそうになった。「タイミングが本当に悪いし、なんで毎回私の車の前に出ようとするんだ?」「ダサいな」と思った。いや、これって「ダサい」とは違うな。なんて言うんだろう、こういうの。ちゃんと相応しい言葉があるはずだ。何でもかんでも「かわいい」と言うのと似て、何でも「ダサい」で片付けるのはいかん。もっと適切な言葉があるはずだ。

その日ずーっと、頭の隅であの男性の行動を表す言葉を考えていた。やっとみつけた。「野暮(やぼ)ったい」だ。私の感覚では、「野暮」にはどこか田舎臭さがある。たぶん「野」という字が入っているせいかもしれない。その人自体は悪い人ではない。ただ、いつもタイミングが合わず、スマートに行動できない。リズムに乗って前に進めず、足踏みしてしまう、野暮ったい。ああ、まさにあの男性はそんな感じだった。

普通に見過ごしてしまうような・細かい行動や、それに対する感想をこつこつ集めている。きっとそれらは私の小説でイキイキと物語るはずだ。どうでもよくて・細かくて・ん?と感じるような、そんな素材を集めている。

いつものノリで、ChatGPTに「この文章を使って、Ako Lambleが書きそうなエッジの効いたサスペンスの小説を作ってくれ。」と頼んだ結果・今回は全然ダメ・ド下手・ホープレスな出来だった。どんだけダメ出ししてもひどくなるばかり。実際のところ、私は少しほっとした。けっ、AIもまだまだだな。

あなたが最近、野暮ったいな〜と感じた出来事はなんだっただろう。あなたの想像力が私の武器。今日も読んでくれてありがとう。

えんぴつ画・MUJI B5 ノートブック

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