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私はAI生成画像に飽きた。(#025)

飽きたというより、食べ過ぎたチョコレートを目の前にしてムカムカしてる感じだ。

最初は面白がって使って・あんなに遊んでいたのに、だんだんみんなが使い始めて・あちこちでAI生成画像を大量にみるようになったら、なんだか吐き気がしてきた。この気持ちはなんだろう。せっかくミッドジャーニーの年間サブスク代払ったのに、しばらくは使いたくない、見たくもない。

よーく自分の気持ちを観察・分析・整理したら、単に食べ過ぎて気分が悪いだけじゃなくて、「袋小路の恐怖」に似ていることがわかった。逃げられない恐怖だ。逃げ道が探せない苦しさだ。

何から逃げられないのかがイマイチはっきりしない。

だから、

「逃げ道」に関する断片を集めて、並べてみる。いま頭にある断片だ。そこから何かが見えてくるかもしれない。

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サリンジャー著「ライ麦ばたけでつかまえて」。主人公ホールデンが「スピーチの授業」について話す。テーマから話が外れると、生徒たちがいっせいに「脱線!」と声をあげる、その「嫌らしいシステム」を描写する。気が小さくて唇のふるえがとまらないある生徒が、父親が買った農場をテーマに話し始めた。途中で彼のおじさんが42歳のときに小児麻痺になったことを興奮して話だした。とたんにクラス中の生徒が「脱線!」「脱線!」と浴びせかける。ホールデンは農場の話からおじさんの話に移っていくのが素敵じゃないかと思う。でも先生も含めて生徒たちは「テーマに忠実に!」「脱線!」をやめない。

逃げ道がない。

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ドストエフスキー著「白痴」。主人公ムイシュキン公爵は自分がフランスでみたギロチン公開処刑の光景について話した後、私見を述べる。「死刑宣告をしたうえで行われる殺人は、強盗が犯す殺人よりもはるかに残虐です。強盗に襲われて、斬り殺されるような人は、最後の瞬間に至るまで、自分はまだ助かるという望みを持ち続けてます。ところが、ギロチンの場合は、最後の望みというものが根こそぎ・確実に奪われてしまうのです。確実に死をまぬかれないというところにこそ、すべてのむごたらしい苦しみのもとが潜んでいます。人間をそんなふうに扱うのは間違っています」。

逃げ道がない。

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現在放映されているNHK大河ドラマ「光る君へ」26回。
乳母のいとがまひろ(紫式部)に助言する。   

いと:殿様にお詫びの文(ふみ)をお出しになったらいかがでございましょう?
まひろ:悪いのはあちらだけど。
いと:ご自分をお通しになるのもご立派ですけれど、殿様のお気持ちも少しは思いやって差し上げないと。
まひろ:どう思いやれっていうの?
いと:お方様は賢くていらっしゃいますので、おっしゃることは正しいのですけれど、殿様にも逃げ場を作って差し上げないと。
まひろ:何故?
いと:夫婦(めおと)とはそういうものだからでございますよ。思いを頂くばかり、おのれを貫くばかりでは誰とも寄り添えません。

逃げ道、つくれるかな。

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聖書・コリント第一10章13節
皆さん​が​受け​て​き​た​誘惑​は,多く​の​人​が​同じ​よう​に​経験​し​て​き​た​誘惑​です。神​は​信頼​できる​方​で,皆さん​が​耐え​られ​ない​ほど​誘惑​を​受ける​まま​に​は​し​ませ​ん。逃れ道を​設け​て,誘惑​に​耐え切れる​よう​に​し​て​ください​ます。

逃れ道があった。

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では、昨日の答え。

昨日描いたえんぴつ画のモデルは、AI生成画像で作った、現存しない女の子です。

おいおいおい、ここまで散々ディスって来て、とどのつまりはAIなんかい。

はい、AIです。だいぶ前に作った画像だけど。

私はドリルで穴を開けるように、丁寧に研いだえんぴつを何本も使って、カリカリと描き、突破口・逃れ道をつくったんだよ。私なりの対処法なんだ。この先、避けられない波となってやってくるAI生成画像なら、飲まれる前に乗り切る。そう決めた。まだ吐き気はするけど、袋小路に追い込まれる前に逃れ道を作る。そこをくぐり抜けて・あるいは・飛び越えて乗り切る。

基本に戻るんだ。えんぴつと紙。そして、想像力。AIが作ったフランケンシュタインを見慣れた懐かしいと感じるものに作り変える魔法だ。スキルだ。

大丈夫。しばらくしたら、私の感じ方もまた変わるだろう。あなたはどうですか?私みたいに吐き気ですか?それとも、遊んで楽しい時期ですか?


追記:
今日のえんぴつ画はスペイン映画「ミツバチのささやき」から。主人公アナ(5歳)が町にやってきた映画を公民館でみんなと一緒に観ている。出てくる大男フランケンシュタインに魅せられるアナ。瞳孔が開いてる😱

えんぴつ画・MUJI uB5 ノートブック

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