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散歩の一枚 75

よし。目が覚めた。

時刻はまだ朝5時数分前。とりあえずトイレに行く。もう眠気はない。よし。今日は早朝散歩ができそうだ。

顔を洗って、着替えて、準備して、ある程度ルートを確認して、5時半前に家を出る。

夏の散歩は早朝にかぎる。もし朝起きれなかったら、無理せず、そのまま二度寝に入る。

最近気になるアイツ

わが家の周りは家と田んぼと畑と小さな川とたくさんの木々に囲まれている。

散歩コースは毎日違うが、今日はまた新たなルートを開拓してみよう。新たなと言っても、いくつものコースの断片を繋ぎ変えてみるだけなのだが。

そういえば、先月散歩途中で、軽トラックに乗ったおじさんが私にこんなことを言った。
「キジのつがいがあっちにおるたい。向こうの川に白鳥もおるよ」

え!?白鳥ですか!?

確かにそう聞こえた。だからもう一度おじさんの言葉を確認した。でも。おじさんはもう一度「白鳥がおったよ」と言う。

頭の中を「?」で埋め尽くしながら、家に帰る。ドアを開ける。リビングでくつろいでいた旦那に尋ねる。

「ねえ、いまこの灼熱の九州に白鳥がいると思う?」
「なんで?白鳥って冬じゃね?」
「だよね~」
「あー、でもハウステンボスとかに白鳥おったやん」
「うーん・・・夏にいたような、いなかったような」
「でもあれは羽根を切ってあったとかな?」
「うーん・・・分からん・・・」

白鳥はいずこ?

その日以来、おじさんが目撃したという白鳥がいる川の方を通る散歩コースの時は、白鳥を探してみようと思っていたのだ。

なので、今朝は地図アプリを見ながら、散歩コースを組み立てる時に、なるべく川沿いを通るルートにしてみたのだ。

まあ、川へ向かう道中も気になる道があったので、その道を通っていた。あー、もう太陽が昇り始めよるばいと思った次の瞬間。

撮った!

ガササササという草むらの音がする方にふと目を向けると、キジファミリーが!ちょうど畑で朝ごはんの真っ最中だったらしい。

ファーストコンタクトでは3羽だったのだが、二手に分かれたので、1羽は道向かいの田んぼに隠れてしまった。

今年に入って、野生のオスのキジを別の場所で何度か見かけていた。きっとその一族なのだろう。

おや?あれは?

そんなキジファミリーとの遭遇にまだドキドキしながら、やっと目的の川に出た。水を一口飲む。散歩も後半戦だ。

果たして、この川のどこに白鳥がいるのだろう?いや、いるのか?もうどこかに行ってしまっているのではないか?

そう思いながら、速度を落として、川沿いを進む。すると、前方5メートル先ぐらいに、田んぼや川の様子を見ながら、とろとろと進んでいる軽トラックが1台。少しして、軽トラの前からバササササと飛んでいく鳥が一羽。おっ!キジやん!っていうか、今日は飛んでるやん!

それにしても、この軽トラ。ひょっとして、先月私に話しかけてきた軽トラかな?先月も話が終わったあと、道を進もうとしたら、キジがずっと歩いてたから、距離を取りながら進んでたもんな。間違いない。先月会ったおじさんだ。

今日はキジ見ましたよ!

心の中で、軽トラに乗っているおじさんに言う。軽トラは川沿いの道から右に曲がって田んぼ道へと入って行った。私も同じルートなので距離を取りながら進んで行く。

やがて、軽トラは左へ曲がっていったので、少し歩くスピードを早めた。そろそろペースを上げて、家に帰らねば。

その時、なぜか背後から軽トラの音が。あれ?軽トラは右に行って、私はまっすぐ来たよね?追ってきた??

「あのキジは古くから、この辺におるもんな」
「あ、今日は〇〇方面でキジの親子を見たですよ」
「あー、あの辺もおるたいね。じゃ!」

おじさん、再びありがとうございました!今日も挨拶そっちのけで、本題から話が始まったけど。でも、今日もいいキジ日和でした!こうして、なんだかすがすがしい気持ちで家路につき、またリビングでくつろいでいた旦那に話を始めた。

「今日キジファミリーを見たとよ!しかも飛んでたし!」
「キジ?白鳥探しに行ったんじゃなかったっけ?」
「白鳥?・・・・・・・あー!白鳥!おじさーん!!!」


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