ここが好きだよ、劇団四季『ゴースト&レディ』②〜キャストさん雑感〜


ゴースト&レディ配信おめでとうございます!!



ということで、ネタバレ有りでゴスレの好きポイントを語る第二弾。キャストさんについてです。

地方民ですので、どうしてもキャス変を見てから遠征するのは困難で…。
そんな中でも開幕後しばらく様子を見て狙ったことにより、プリンシパルはジョン・ホールの野中さんとアレックスのペジェヨンさん以外は拝見できました!!

いやーーー、ツイてた〜〜!!!

ちなみに組み合わせとしては、「谷原さん×萩原さん×岡村さん」と「真瀬さん×金本さん×宮田さん」でした。スタンダードな組み合わせですね。

フローとグレイはそれぞれのペアでも印象が変わるかと思いますが、この組み合わせで見た時の印象や感想を書いていきます。

(追記)
のんびり書いていたのですが、先日3ヶ月ぶりに観に行けたら、もう全然皆様演技変わってました!笑 出遅れた!
これは開幕直ぐの感想ということでよろしくお願いします。


【フロー】
フローは、ラストの激しい歌唱だけでなく、音域の高い歌が多いです。というか、めっちゃ歌難しくないですか???
また、台詞も専門用語こそ少ないですが、看護婦としての職務にまつわる長い台詞や単語も多く、めちゃくちゃ大変そう…といつも思ってます。何より分量が多いし…。
谷原さんも真瀬さんもそれぞれに違った方向性のフローで本当に大好きです!

●谷原志音さん
まずはなんと言っても迫力と声量を兼ね備えた圧倒的な歌唱。♪偽善者と呼ばれてもは、あの音圧だけで反射的に涙が出てしまう…。全く苦しそうに見えないので、フローの神々しさが内面から弾け飛んでいるように感じます。谷原さんって何であんなに軽々と歌っているように見えるのでしょう…背筋なのかしら、本当にすごいです。

あとサウンドトラックを聴いていて思ったのですが、谷原さんってソプラノの高音でもすごく子音が立って聞こえてきません?一般的に高音部って、母音が響く歌い方の方が多い気がするんです。でも谷原さんは音の頭からスコン!と抜けてくる。聞き取りやすさだけでなく、強さが内包されて聞こえます。私は素人ですし、それが技術的に優れているのかとかは分からないのですが、何か強い意志というか特別なモノを感じて、本当に好きな歌声なのです。

お芝居は、意外と感情を爆発させるというよりは繊細な感じ。ミステリアスな魅力があって、「グレイからみたフロー像」というよりは、「周囲から見えていたフロー像」寄りなのかな。どこか人とは違う、というイメージ。神秘性というか、まさに神の啓示を受けた存在といいますか。
個人的に真瀬さんフローとの違いを結構感じるのが、♪あなたの物語なんです。真瀬フローがどちらかと言えば「どうにか息を吹き返してほしい」という不安感や自分自身に言い聞かせる印象も感じるのに対し、谷原さんフローは「絶対に引き戻せる」と強い思い。丁寧な口調ですが「物語をつづりなさい」とか、命令形なのが最大限に活かされているような。正に天からの声、、と言いますか。
それだけの才能や力を持つが故の孤独を感じます。一見、一人でも大丈夫なように見えても、本当に一人で立てる人なんてこの世にはいないはず。そういう繊細さ感じる谷原さんフロー、大好きです!

●真瀬はるかさん
谷原さんとはかなり印象が違う真瀬さん。開幕ダブルキャストでここまで違う方向性なの、すごく面白いですよね。

真瀬さんのフローは、使命感によって己を奮い立たせている印象で、少し弱い部分もあるイメージ。こちらは谷原さんのフローと比べて「グレイだけが見ていたフロー」なのかなと。

自分が選ぶ道がどれほど孤独かも理解していて、傷つきながらも進むしかない。だって、神様にそう言われたから、自分にはそれしかできないから。
♪絶望のどん底での、もし挫折したらという不安感は真瀬フローのほうがしっくりくるのかもしれないなと思いました。
だからこそ♪偽善者と呼ばれてもの絶唱のメリハリが本当に印象的で、もう本当に虜になってしまいます!
どちらかと言えば、最初は"神に啓示を受けたから"使命を果たそうとしていたけど、『私が死んでも誰かが歩くでしょうこの道を』で本当に心から自分の道を進む力が覚醒したかのような。あの瞬間、フローの中の生気が爆発したような、そんな印象。グレイとの出会いがフローを変えたのだと思わされる歌い方でした。

また、真瀬さんのフローは演技や表情がすごく細かくて。くるくる変わる表情がこれまたキュートです。漫画の表情と似てる!と思う瞬間も多かったです。

【グレイ】
グレイは難しい役だなぁ、という印象。所謂、"推しに演って欲しい役"だと思います。
とにかく求められるものが多い。ミュージカル俳優はもともと必要なスキルが多いですが、それにしたって難役すぎますよね。
歌いこなすのが難しいリズムの曲が多く、上手いだけでなく卓越したリズム感も備えた高い歌唱力。ダンスパートも多いし、デュエットダンスも華やかに。狂言回し的な台詞を聞かせるための存在感と声の良さ。かつ、恋愛モノなので演技力はもちろん必要。さらに、人ならざる者としての説得力を与えるための佇まい。そもそも舞台上に傍観者として立っている事も多いので、体力と集中力も必要。
本当に、この役を一体どれだけの人がこなせるのか…。グレイの良さがそのまま作品の満足感に繋がるぐらい重要なキャラクターだと思います。

●萩原隆匡さん
萩原さんと金本さんは、フロー役のお二人と同じぐらい正反対で、でもどちらも本当に素晴らしいです。

萩原さんのグレイは、「若く見えるけれど実際は百年以上生きているゴースト」というイメージ。どことなく老成しているような雰囲気があります。
これが個人的に大好物でして…。もともと人外×人間っていうのは好みなのですが、特に人とは違う時間で生きている存在が好きなのです。一見すると若いのに実際は人間の何倍も生きている長命種とか、人と同じ姿をしているけど実際は神様とか。そういう個人的な好みにドンピシャでした。好きすぎる〜!!!!

そして何より好きなのが、歌声の圧倒的なドラマティックさ!なんだろう、一曲の中のストーリー性と言いますか、あの表現力は本当に素晴らしい。萩原さんのグレイは、芝居好きの設定を踏まえてか、どことなく芝居がかった話し方で、それが狂言廻しとしての彼の役割とマッチしていて本当に引き込まれます。
二枚目としての圧倒的な存在感にもかかわず、ギャグ的な部分も非常に魅力的でチャーミング。時々、原作の藤田先生のギャグ作画だ!!ってなる声出してますよね!?絵が頭に浮かびます。

あと、萩原さんといえばダンスの人でもありますが、どのダンスナンバーも超〜〜〜〜良いですよね!デオン様とのシーンもめっっっちゃ好き。あと、ダンスの上手さって身体コントロールの良さにも繋がって来ると思うのですが、ゴーストとしての立ち方、歩き方が最高。原作の描写では浮いてるけど、それをイメージされられます。普通に歩いていないですよね。はーーー、好き。

あとは芝居心と言いますか、、間の取り方が個人的に物凄く好みです!
とにかく、もう全女子好きやん!?という圧倒的なカッコよさ…最高です…。

●金本泰潤さん
金本さんは以前他の役で拝見していた時から「少年性」が持ち味だなぁと思っていました。歌声も台詞も、ある種のピュアさを感じるのです。だからか、感情の動きに共感したくなるようなグレイかな、と。感情の起伏にすごく真実味を感じると言いますか、本心だなぁと思えると言いますか、、、上手い言葉が思いつけないのですが。

金本さんと言えば、歌のイメージなのですが、グレイでももちろんそれは健在。あまりザラつきがなく、特に高音での響きの良さが大好きです。声を張るような部分でもキツく聞こえにくく、優しさを持っているように聞こえるのが好きですね〜〜!
割とフローに対して、好きな子ほど冷たくしちゃうような子供っぽさがあるんだけれど、あの歌声で本心の優しさを感じるからかチャラですわ…。

コメディにするべきところは、とても大胆に。決めるところはしっかり格好良く。
所謂、少年漫画のヒーロー感のある造形が愛しいグレイですよね。その分、フローだけでなく、グレイも大きく変わっていくように見えるのかなと思います。

あと、殺陣!!!早いし、上手い!!
段取り通り感がなく、ちゃんと殺陣の動きに心情の変化を感じて見応えがあるんですよ!殺陣中の芝居が細かくてずっとみていたくなります。

あと、背の高さや体格にも恵まれていらっしゃるので、黙って立っているだけでパッと目を引くのも素敵です。

【デオン】
デオン様も美味しい役どころ…!
初めてみた時は原作未読だったため、あまりにも属性の大盛り状態で、原作でもこうなのか?とちょっと焦ってました。四季側が突然に性癖を爆発させたのかと思って…笑。設定はかなり変わってますが、原作デオン様もまぁまぁ属性てんこ盛りでしたねぇ。

複雑な事情はあれど、ヴィランとして立ちはだかるデオン。カッコイイ女性の悪役って今の四季演目だと意外と貴重です。

●岡村美南さん
もともと大好きなんです、美南さん!もーーー、ほんとにハマり役すぎですよぉ!
まず圧倒的な声の良さ……!1幕ラストの高笑いなんか、本当に格好良くって…。

美南さんのデオンはどちらかと言えば、宝塚男役のようなハッキリとした「男装の麗人」感。所作も大ぶりで、舞台に立つだけで華やかさでパッと目を引きつけられます。

歌も当たり前にお上手すぎてメロメロなのです。ほんっっとうに上手いしか言えなくて歯痒い、、。
そして、特に好きなのはやっぱり♪呪いと栄光のダンスシークエンスですねぇ(エスメラルダのダンスも最高ですよね……)
あのシーン、結構チャレンジング。ダンス中心の作品ならともかく、突然長尺で挟まる台詞以外での表現シーン。実にミュージカルらしいシーンだと思います。
手で顔を覆う振り付けがあると思うのですが、美南さんのあそこの一連の表情がハチャメチャに良くて……。このダンス、言語化するにはまだ私の中の解釈が定まってないのですが、考察しがいがあります。

●宮田愛さん
愛さんのデオンは、なんていうのでしょうか…シャープな感じ、、といいますか。動きもダンスも、役作りも鋭い感じです。
どちらかと言えば、狂気に寄っている感じで、よりヒールっぽく見えるのかな。原作寄りなのかもしれない。嫌味っぽく煽るようなイメージもあります。

本当にうまく言えないのですが、いわゆる男役の型っぽい男性っぽさをあまり感じないのかな。普通に女性らしさを感じるときと、男性らしさを感じるときの両方があって、そのグラデーションがすごく面白いし好きだなと思います。

殺陣は、金本さんとのペアだったこともあるかもですが、めっちゃ速い、、というか鋭い。どちらにせよ少し現実離れした雰囲で、本当に素敵です!


【ペアのイメージ】
●谷原さんフロー×萩原さんグレイ
初見ペアです。物凄く大人っぽい恋愛。
バディ感の延長線上に恋愛があり、グレイの静かに燃える愛で救われていくフロー、、というイメージ。
「そばにいてほしいのは、前に進む勇気、私にくれる人よ」の歌詞がピッタリ合うような、そんな2人。昨今、恋愛物語の要素も多様化していますが、たとえそれがふれあいを伴うものでなくても、やっぱり人間の根源的喜びに、だれかに必要とされて認めてもらえることがあると思うのですよね。たまたまその形が、フローとグレイの場合は恋愛感情だった、、そんな風に見えました。
ゴースト&レディは、作品として物凄く要素が多い作品なので、恋愛に振り切り過ぎず見られるこのペアは、バランスが良いと思います。

●真瀬さんフロー×金本さんグレイ
しっかりとラブコメの波動を感じるペア。
金本さんのグレイは、まだ死んだときのままの気持ちを残していて、すなわち癒えていない傷があり(萩原さんグレイも傷ついてはいるけど、もう諦めてしまっている印象)、それが確かにフローによって癒やされたのかな感じられます。
明確に気持ちを伝える事も無く、触れ合うこともできないけれど、お互いがお互いよって救われていくように見えて、より恋愛感が強まったのかもしれません。

ラストシーンまでの2人の感情の流れがよりドラマティックに見えました。



以上!
また、直近観た感想なども書いていきたいと思います。配信までには、なんとか、、!

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