保育の現場にも「心理的安全性」がほしい
こんにちは、元保育士のあきです。
約20年いた保育の現場を離れるにあたって、考えたこと、感じたことを記録として残そうと思います。
今日は、「心理的安全性」についてです。
「心理的安全性」とはどんなものなのか
一般的に、ビジネスの世界で見聞きすることが多い言葉、というイメージがあります。
保育の現場では・・・どうでしょう?
私のいた職場では出てこなかった言葉です。
つまり、自分の意見や考えを口にしても、否定されたり馬鹿にされたりすることがないと保証されている場、ということですね。
間違っていれば訂正されるし、足りていないことがあれば補われたりはします。
でも、「経験がないくせに」とか「その程度のことしか言えないの」といった反応はされない、という安心感をもって発言することができる場所です。
これが保育の現場には不足していると思うんです。
若手・後輩の育て方を知らない人が多い保育現場
子どもを育てるための場所でありながら、若手を育てられない人が多すぎる・・・
ここ10年くらい、保育現場にいて感じてきました。
たぶん、育て方を知らないんですよね。
教えてもらえる場所がないし、機会がない。
そして、育て方を知ろうという気持ちがないまま管理職や先輩という立場になった人が多い。
若手・後輩指導をする立場になった、という自覚があって、自分にその能力が足りていない、という自覚がある人。
そういう人は、教えてもらえる場所や機会がなくても、自分で学んでいきます。
なにより、自分に育てる能力が足りていない、という自覚があるかどうか。
これが一番大きい。
能力というか、経験と言ってもいいかもしれませんが。
保育のプロという意識があるからなのか、若手・後輩の指導に特別な能力は必要ないと思うのか。
どこからその自信がきたの?というくらい、謎な自信をもって指導をしている人ほど、「心理的安全性」とはほど遠い指導をしているんですよね・・・
人を育てる考え方の基本は、子どもであろうと大人であろうと変わらない
新人さんが入ってきた際、誰が指導をするか決めるのは園長か主任(副園長)でしょう。
私も主任保育士だったことがあるので、ちょっと関わったことがあります。
新人を指導できるくらいの経験年数があるのはもちろん、人を育てるのに向いているかどうか、性格的なところも判断基準になりました。
ただ、難しいのはこの性格的なところ。
子どもとの関わり方や同僚との接し方などで判断すると思うんですが、後輩相手になると変わる人がいる。
これはもう、指導を始めてみないと分からないのが本当に恐いし難しいところです。
どう変わったかは、何パターンかあるんですが・・・
どの人も、子どもへの関わり方からは想像できない変わり方なんですね。
子どもに対しては、肯定的で、分からないことがあっても受け入れて、その子が成長できるように配慮して関わっている。
それが、何故か後輩にはできない。
後輩には「どうしてそうなる!?」と、頭を抱えたくなる指導になる。
新人とはいえ大人だから、という、相手を尊重する気持ちの表れと言えないこともない。
ある意味、新人とはいえ保育士として仕事をしているんだから、という気持ちもあるでしょう。
それはそれで間違ってはいない、とは思います。
でも、説明しないことを見て分かれとか、経験がないのに自分で考えて判断しろ、というのは、指導ではありません。
そして、できなかったことを後からくどくど言われたら・・・
何をするにも恐くなって、とても安心して仕事に取り組むことなんてできません。
子どもがのびのびと、自分らしく成長にできるように、保育士が意識していること。
それは大人に対しても変わらないことで、若手・後輩指導でも同じように考えれば、「心理的安全性」は確保されるはずなんです。
それがどうしてああなるのか・・・
園長・副園長・主任は絶対研修するべき!
後輩指導についてはもちろん、園内の人間関係は主任以上の役職についている人が、どれだけ采配を振るえるかにかかっています。
だというのに、そのための教育が足りていない!
園長や主任が原因で仕事を辞めた方、どれくらいいます!?
・・・ちょっと熱くなってしまいました。
自分を含めあまりに該当者が多すぎる問題なので、なかなか怒りが消化できません。
人の上に立つには、相応の知識や経験が必要です。
経験に関してはすぐにどうこうできるものではありませんが、知識は違います。
自分で学ぶこともできますし、法人であれば、研修を受ける機会を作ることができるはずです。
若手指導はもちろん必要ですが、それ以上に、上の人間を育てなくては保育園の環境は絶対に変わりません。
ちなみに、私が主任をしていた当時、主任になるための研修とかほぼありませんでした。
仕事も、前任の先生から引き継ぎは受けましたけど、短期間で覚えられるわけがない。
だというのに、園長からは放任され、法人の上の方々からも仕事は降りてくるもののフォローはない。
そんな状態で新学期が始まり、新人さんは入り、子どもたちはぎゃんぎゃん泣き・・・もう、私が泣きそうでしたね。
自分の仕事すら回せていないのに、どうやって他の先生のフォローするの!?そういうの誰が教えてくれるの!?と。
当時はずっと同じ法人内の幼稚園・保育園にいたので、他を知りません。
だから「うちってブラック!」と思っていたんですが、他もそう変わらないと知って、逆に落ち込みました。
保育業界、フォローがなさすぎる。
私が幸運だったのは、同じ地域にいた主任の先生たちが頼りになる方たちだったこと。
半泣きでメールをしたり、電話をしたりすれば、教えてもらえたのでまだ良かった。
他の先生たちへのフォローについては、自分で本を読んだりして勉強しました。
頼りになる主任だったかは謎ですが・・・
それでも、辞めるとなった時は惜しがってもらえたので、頑張った甲斐はあったと思っています。
(園長がとんでもなかったので、緩衝材がいなくなるのを惜しんだのかもしれませんが)
子どもも先生も、みんなが安心していられる保育現場がほしい
子どもにとって安心できる場所にしたい。
保育園に対して、そう考えている保育士は多いでしょう。
同じように、先生たちもみんな安心して仕事ができる場所であってほしい。
それには、知識やフォローが不可欠です。
お給料が上がるのも大事。
勤務時間が長すぎないのも大事。
でも、それだけでは安心できる場所にはなりません。
いくら保育士を増やしても、環境が悪ければどんどん離れてしまうだけ。
せっかく意欲のある新人さんが入っても、保育現場に幻滅して、絶望して、保育士を辞めてしまうのが惜しすぎる。
役職がついたら、ぜひ、保育以外の勉強もしてほしいと思います。
チーム作りとか、「心理的安全性」とか、仕事の効率化とか。
一般的にビジネスの世界で必要とされる知識は、保育の現場にも必要です。
上の人が学んで取り入れていってくれないと、環境はずっと変わらないままですから。
仕事も大変になると思います。
でも、保育士が安心して働けるってことは、ひいては子どもにとって良い環境が作れるってことでもあります。
頑張ってほしいです。