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Photo by
tetotuti
オープンは、月に一度の水曜日
彼女のお宅にお邪魔するのは、決まって水曜日だ。
月に一度、「今度の水曜どう?」と声がかかる。
時々、私も誘ってみるが、お邪魔する側である以上、なんとなく誘いを待っている立場だ。
彼女とはご近所さんで、お互いの子供が同じ幼稚園に通っている。
気取らなくて、博学で話が面白い。
がははと笑うその姿は、周りの人を安心させる力を持っているように思う。
ご自宅には、彼女と旦那さん、息子、旦那さんのご両親、そして旦那さんのおばあちゃんが一緒に住んでいる。
いつもお邪魔すると昔懐かしい匂いがして、落ち着く。
ストーブの上に乗せられた年季の入った鉄瓶を見た時には、なんだかうらやましくなった。
「おじいちゃんが二十歳の時にお祝いでもらったんだって」という。
物を大切にする人は、人の心も大切にできるのだと思った。
お邪魔する水曜日は、幼稚園が午前保育で、12時にはもう子供達が帰って来る。
だから、朝子供達を見送ったら急いでゴミを捨てて、彼女の家へと向かう。
行けばいつもお菓子とコーヒーを用意してくれていて、
私もちょっとしたお菓子を持っていく。
9時前には席について、「それでさぁ」が始まる。
家族の話、映画の話、本の話、子育ての話、芸能人の話。
本当に毎度毎度色んなジャンルの話をする。
その中でも、彼女が義両親と本当の親子のようであるエピソードを聞くと、
毎度頬が緩む。
私も、夫の家族が好きだ。
だからこそ、お互いのそういう話は聞き心地もいい。
そんな話をしながら飲むコーヒーは、どんなお店で飲むものよりも
各段に美味しい。
窓の外に広がる見晴らしの良い景色も、一層コーヒーを美味しくさせる。
あっという間に時間は過ぎる。
全然話し足りないけど、続きはまた来月の水曜に。
徒歩30秒、月に一度だけオープンする私のお気に入りの珈琲処にて。