危機の本質、外食業界が抱える隠れた課題。:『外食を救うのは誰か』 著者 鷲尾 龍一(2022年)
外食は私たちの生活に欠かせない存在で、家族や友人との思い出を彩る場所として、特別な価値があります。しかし、新型コロナウイルス禍で多くの外食店が苦境に立たされ、その未来が不透明な状況に陥りました。本書『外食を救うのは誰か』は、こうした外食産業の現状に真正面から向き合い、隠れた課題を浮き彫りにしています。
2024 年の飲食店の倒産が過去最多となったことが象徴的です。倒産件数(負債 1000 万円以上、法的整理)は 894 件で、前年(768 件)比で 16.4%増加し、2020 年(780 件)を上回って過去最多を更新しました。こうした状況を背景に、本書の重要性が一層際立ちます。
外食産業の多面性に迫る
外食産業は一見単純なビジネスに見えますが、実際には非常に複雑です。マクドナルドのような工業化されたファストフードから、個人経営の高級レストランまで、多様な業態が存在します。さらに、生産性向上を追求する製造業的な側面と、接客や空間の価値を重視するサービス業的な側面が入り混じり、こうした多面的な構造が外食産業の課題をより難解にしています。
コロナ禍が暴いた構造的問題
「低採算」「ブラック職場」「閉店ラッシュ」といった課題は、実はコロナ禍以前から外食産業に存在していた問題でした。これらの表面的な問題の背後にある構造的な課題があり、コロナ禍がそれを顕在化させただけであると指摘しています。また、郊外型店舗やデリバリー業態の台頭が、新しい消費者ニーズに応える形で外食産業を変革していることにも注目しています。
未来を切り開く挑戦者たち
外食産業を立て直すためには、既存の慣習を打破する必要があります。革新的なアイデアで新たな市場を切り開こうとする挑戦者たちの取り組みを詳しく紹介し、彼らの行動からは、単なる問題解決にとどまらず、外食の未来に向けた希望を見出すことができます。
外食産業の未来を考え、可能性を最大化するために何が必要なのかを知ることができるので、ぜひ手に取ってみてください。