短歌2
魔法
ほんとうの水中扉を開ける時
魔法を使わなくては一人
存在を未来へ飛ばす魔法とは
僕のベッドと月の満ち欠け
本心は掘削しても反射のみ
ジャングルジムに囚われ一人
大きめのコップを右に回したり
がっかりするのはあざやかですから
熱気球から
背も細くなる寒空に待ちわびて
豪速球の風で揺れるよ
霞むとは もしかしたらと目を擦り
また熱気球から後続へ
歩道橋 横断歩道 沈む町
少し上昇するあったかさ
なんか今日飛行機多くない?と言う
蝶々の羽根が落ちていたから
車
いくつかのサイドミラーが写す夜
家出少女もコーラで澄ます
5円玉 握りしめ産声塞ぐ
コンビニ横のタンデム自転車
差し出した地中深くのロボットも
ビタミンDが必要らしい
公式の涙 ひらがなで強さに
アルミニウムとその松葉杖
星
少しだけ星が見えるブランコに
鉄の匂いを敷き詰めてみる
きっと手は冬のためだと思うんだ
おまけ以外の時間の中で
君のしゃがむ段差の上のストライドには
つま先を広げて待ったり
アイランド 手相に意味が無いのなら
君とナンバーワンの約束
僕もおなじように息をしていたい
襖につもる雪なぞる向き
真っ二つにはならないよ
法則を教えちゃったり 片耳貸したり
なんとなく一応笑うけど
星座占いだけの占い師かよ?
20億光年前の光でも
さすがに消えてきた頃の端