ウマ娘・劇場版「新時代の扉」を見てきた感想(多少のネタバレあり)
ついに見てきましたよ、新時代の扉。
序盤からパワー全開でした。フジキセキの弥生賞から始まるんですけど、いきなり手に汗握るレースシーンで度肝を抜いてきます。
それを見ていたジャングルポケットがトレセン学園に入ることを決意しまして、トゥインクルシリーズで暴れることになります。
しかしアグネスタキオンが立ちはだかるわけですね。
この世代における最強ウマ娘です。実際の競馬のレースを見返しても、あきらかに一頭だけおかしな能力で走っている馬がいまして、こりゃあ勝てないなぁと思わせるだけの圧倒的な力がありました。
本馬であるタキオンに与えられたキャッチフレーズも強烈で「たった四戦で神話になった超高速の粒子」ですよ。なぜ四戦しか走っていないかというと、屈腱炎で引退したからです(その後種牡馬入りして実績を残すので、能力はお墨付き)
そしてウマ娘世界でも、タキオンは皐月賞を勝ったら引退してしまうわけですよ。
それは同世代のウマ娘たちにとって衝撃でした。
というのが、この映画における軸です。
主人公はジャングルポケットで、ライバルはアグネスタキオン。でもライバルは物語の中盤前に引退してしまう。
ではどうやって物語を作ろうかなと考えて、ラストシーンが「待ってくれ」「先に行くぜ」になるわけですよ。
生まれて初めて映画館で感動して泣きそうになりました。
すげーですね、脚本作った人。私もいつかこういう物語を作れるようになりたい。
もしネタバレ全開でいいなら、もっと詳しい内容に触れていくんですけど、私みたいに公開から三週間たってから見に行くスロースターターな人たちぼちぼちいるっぽいので、ネタバレを避けたほうがよさそうです。
というのが普通の感想で、もうちょい別の角度から触れるんですけど(以下ネタバレに軽く触れるので改行を多めに確保しておきます。もし映画を見ていない人がいたら、ここから下は見ないでください)
元々ウマ娘に触れてきた人、および競馬を知っている人だったら、菊花賞のシーンをあっさり終わらせても意味が通じていると思うんですよ。
でもそうではないウマ初見の人たちに、菊花賞でポッケが負けたことがどういう意味なのか伝わっているのか、ちょっと怪しいです(菊花賞はクラシック三冠のラストレースで、かつ優勝したカフェのほうが長距離適性が高くて、ポッケはそこまで長距離が得意じゃない)
なんであっさり菊花賞が終わったと思ったのかにもきちんと理由があって、その手前のシーンである夏休みの合宿シークエンスがかなり長めの尺として確保してあるからですね。
あそこはフジキセキと夏祭りを楽しむシーンが本体なんですから、その前段階である合宿シーンはもう少し短めにしてから、その浮いた分の時間を菊花賞で負けるシーンに割いたほうがよかったような気がしています
とはいえ、ポッケが菊花賞で敗北する場面の描写は、作家性が強く出たところなので、あの精神世界と混ざり合った短い描写で問題ないと判断している可能性もあります。
実際、ポッケが敗北したあと、タキオンがどういう風に菊花賞を解釈しているのか、が重要だったので(タキオンはレースを分析しながら、足はずっとそわそわしていて、いまにも走りたそうにしていた)
なので、たぶん私が長文で書いているネタバレ部分は、作家性ないし限られた時間のなかでどこを重要視しているのかの違いなので、決して欠点ではないですね(そもそも私はこの映画のラストシーンで感動して泣きそうになったので)
というわけで、ウマ娘初見の人でも、青春モノが好きな人には、お薦めできますよ。
女性の方々でも問題なく見られます。というか、むしろこれ女子スポーツにおけるスポコンモノにニュアンスが近いので(序盤のフジキセキに憧れてトレセン学園に入学して、タキオンにホープフルステークスで敗北するまでは少女漫画のノリに近いから)