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青い時間の凝縮のような映画_『フーリガン』の感想

イライジャ・ウッドがとても好きです。

彼の出演作はいつか全て見たい。
なんて思いながら生きています。

そんなことを思いながら、
けっこう見ていないのがあります。

(一本好きなのがあるとひたすら見てしまうのが原因のひとつです。
そしてそんな好きなものができると生活に支障がでるので、
できたら増やしたくないと思ってます。
でも見ます笑)

フーリガンは、タイトルは知っていたけれどずっと何となく見ようとしてこなかった一本で、去年Amazonで中古のDVDを見つけて思わず買って、今日まで眠らせていた一本です。

あらすじは、、、

大学のルームメイトに嵌められ、
あと二か月で卒業というところで退学になってしまったマットが、
結婚してイギリスにいる姉のところに転がり込むところからはじまります。

マットの父親は記者をしていて、
世界中を飛び回っていて全く捕まらなかったために、
大学を退学になったことを言っていません。

姉はそんな父親と距離をとっていますが、
マットはずっと尊敬していて、
父親と同じ道を進もうとしていました。

大学でも真面目に勉学に励んでいたのに、
誰も彼の言葉をしんじなかったのか、
罪を着せた人物が議員の二世で簡単には逆らえなかったのか、
簡単に追い出されてしまったことにかるく失望しているようです。

父親に言わなくてはと思っているのに、
こんな時でも捕まらない父親に怒っているし、
たぶん、
がっかりされたくないと思っているように思います。

そんなマットは姉の家で、
姉の結婚相手の弟と出会います。

彼はこのあたりのフーリガンのチームのひとつのリーダーで、
最初はぶつかり合い、
馬鹿にされたり、
危ない目にあったりするのですが、
このピートという人物の魅力にいつの間にか信頼を寄せていきます。

アメリカ人であることで差別を受けることもあるのですが、
それを打ちまかしていくことで、
ピートの仲間たちにも認められていきます。

しかしひとり、
それが面白くない人物がいて、、、、

という感じの、
暴力描写多めで酒も煙草もふんだんに出てくる青春映画という感じの映画です。


見終わって気づいたのですが、
この映画は女性監督さんで、
見る人によっては
「暴力描写がきつくない」
ようです。
私は十分でした!

私、グロは全く大丈夫なのですが、
暴力は苦手です。
内臓系とかは
「上手に作ってるなぁ」
が先に立つのかもしれません。
そして、殴られるというのは身近過ぎて想像してしまうから苦手なのかも。

最初は正直これ見終えられるかな、と心配になったのですが、
マット(イライジャ・ウッド)とピート(チャーリー・ハナム)が出会って、ひと悶着あって、いきつけのバル?バー?に入る辺りにはもうはまり込んでいました。

フーリガンというものの歴史というのか、
構造をピートがマットに説明してくれる場面があるのですが、
これはちょっとよく分かりませんでした笑
誇りのために戦うんだ、という感じなのかな~というのだけ伝わりました。

最初の場面では、
頼りなくて、自分の分が悪いとなると流されてしまうところのある青年だったマットは、
ピートたちと暴れたり、飲んだくれたり、笑い合ったりしたりするうちに、
精悍な顔つきを見せるようになっていきます。

私はイライジャ君目当てで見たのですが、
この映画、
なんとなく彼が主人公というか、主軸ではないのかな、と見ながら思いました。
いや、主演ではあるし、
彼の目線で物語は進んで行くのですが、
大きな物語の波を起こすのも潜るのも、
そこで押し合う愛憎や裏切りや信頼の天秤を揺らすのも彼ではなく、
ピートと、
彼が一番に信頼を置いているけど、駄目でネジがちょっと緩いようなボヴァ―のふたりで、
マットはそれを近くで傍観する立ち位置なんじゃないかなと。

このピートという人物が、
とても魅力的で、
乱暴な面や破天荒な行動が目を引くけれど、
普段は学校で歴史と体育を教えている一面もあり、
仲間のことはできる限り信頼すると決めていて、
そんな自分をけして裏切らない人物です。
なにより一番の基礎部分にはやさしさがあるのです。
こりゃみんなついていこうって思うなぁ、と。

そんなピートの側近のような、右腕のような存在だったボヴァ―にとっては、兄の結婚相手の弟というだけでするりと彼の懐に入り込んで可愛がられているのが気に入らない、というか憎々しくて仕方がない、という感じです。
その嫉妬のような感情が、問題を引き起こしていくのですが、
最後まで屑だな、と思いながら同情もしてしまうような人物でした。

見ている間、私の中にでかなり作品の雰囲気がかぶるな、と思った作品がありました。
吉田秋生せんせいの『BANANA FISH』です。
もうマットの位置がめっちゃエイジだ、、、と思って見てました。

見終わって、
こんなにすっきりしているのが不思議で、
そこまで私は全く青春映画だとは思っていなかったのですが、
エンディングが流れはじめた瞬間、
あ、これは青春映画だったのかと気づきました。
気付いたというのか、腑に落ちたというのか。

きちんとマットの人生へと物語は流れ、
その彼の背中は最初と確かに続いているのに、
驚くほど真っ直ぐに伸びていました。

痛そうで、
何度かびくっとなりましたが、
好きな映画のひとつになりました。


そんな私は、只今絶賛、映画館で『バービー』を観るか、
『リボルバー・リリー』を観るか、
悩み中です。

とかいって、
メグザモンスター見ていそうですが、、、笑

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