『いとけない』(詩)
とし総子
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【いとけない】
とにもかくにも 美しいんだ
うつせるものすべてに うつしこんでしまいたい
瞳に 湖に 月面に
夜の海 あの暗闇に浮かぶぽっかりとした明りにも
白百合を貼り合わせ
若木の露をあつめあつめ
経った今生まれたばかりの血を
小指にすくって
春のなだらかさを肩に
夏の生々しさを首裏に
深い深い黒の影を通して
身をきしませる寒さで
線を整えて
世界の決まりを 胸に縫い合わせよう
何ともからまりいかれない 美しさだ
たちどころにうつろう あらゆるもののなかで
かきけせない哀れな
この手を走り出した いとけなさ
とにもかくにも 美しいんだ
うつせるものすべてに うつしこんでしまいたい
瞳に 湖に 月面に
夜の海 あの暗闇に浮かぶぽっかりとした明りにも
白百合を貼り合わせ
若木の露をあつめあつめ
経った今生まれたばかりの血を
小指にすくって
春のなだらかさを肩に
夏の生々しさを首裏に
深い深い黒の影を通して
身をきしませる寒さで
線を整えて
世界の決まりを 胸に縫い合わせよう
何ともからまりいかれない 美しさだ
たちどころにうつろう あらゆるもののなかで
かきけせない哀れな
この手を走り出した いとけなさ
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