「息をしてきた」（詩）

わたしは　あなたに　息をしてきた
くりかえし　星が降り
くりかえし　大地は織られ
彼方はやがて　瞼のうらへ消えていく

わたしは　あなたに　生きてきた
つつがなく　足を折り
つつがなく　この髪を広げて
くつがえされる　おそれのない路をゆずってきた

わたしが　あなたの息を受けたこと
たとえようもなく　心は整い
たとえようのないほどに　色は増えていく
つながっていく雨たちに　祈りはやわらかく橋になる

やがて　開かれる
その瞳が明かされるときは
いったいいくつの　喜びが
いったいいくつの　手と手と手が
与え合うことを　伝えられるでしょうか

分からずも　深く　そして　潔く
あなたは　息を　灯すのです