きれいであることが生々しさを下地にしている_『女に』『ふたつの夏』
まりさんのお宅で『mimoza』を追加で作っているとき、
(どんな流れでそこにながれたのだったか。。。)
谷川さんのことが私はすごく好きだ、
というような流れだったのかなぁ、
まりさんが
「素敵な本があるのよ」
と出して来て下さったのが
谷川俊太郎さんと佐野洋子さんの共作の詩画集『女に』と
谷川さんは詩を一編、佐野さんがお話をみっつという変わった形の一冊の
『ふたつの夏』でした。
なんと貸し下さると言うことで、
私はいそいそと袋にいれて、
傷まないように注意しながら帰りの自転車を走らせたのでした。
帰り着いて、すぐに読み始めたのは『女に』。
だって谷川さんの詩集だし、、、
ちょっとだけ、と思いながら読み始め、
最初の運命で結ばれることを選んでいる女性の誕生を見守るような詩からはじまり、ふんふんとよんでいると、それは「あれ?ちがう?愛するひととの娘の誕生?」と思考が揺れ出し、
進めば進むほど官能が混じり、
生々しい予感をそこかしこに鏤めているのに、
純粋だけはその深さを深くしていくという、
不思議な、大らかで、それなのにひとつのうねりの大きな波に揺られながら、最後の一編と絵にたどりついてしまったのでした。
なんて詩画集だ!!
と感動というよりも動揺しながら、
浮かんだお話をメモし、
ゆうらりゆうらりと苦しいくらいの慎重さで心拍を打つ心臓をおしながら、
手はもう一冊に伸びていました。
一気に読むのはもったいないよ、
と、
いや、私の読むのの遅さなら読み切りはしないよ、
とがせめぎ合いましたが、
それも一瞬、最初の谷川さんの詩を読んでいましたし、
それを読んだら決まり切っている動きのように次のページを捲っていました。
児童書のような文章の雰囲気がしましたが、
それよりも歯ごたえのある言葉たちの配置で、
読んでいて波の音を聞くような、
川の流れに耳を押し当てているような、
そんな気持ちの不安や安心の間を振り越しながらの読書でした。
うつくしいことに、
堂々と生々しさが下地に使われているなんて、
こんなことができるのか、
と驚きとおもに物凄く嬉しくなりました。
どちらも本当に魂がぶつかるような遠慮のなさがあって、
それが信頼であり、
情熱であり、
まるで憎むことも臆さないぞ、という覚悟を編んだような作品たちでした。
本当に読んめてよかった。
自分でも探して見ようと思っています。