コンクリィトの道で行ける幻想_『夜鯨を待って』
先月の詩学舎で、先生から
黒田ナオさんの詩を読んだことがあるかと聞かれ、
「すみません、黒田さんの詩は読んだことがありません」
と答えました。
すると他の生徒さんたちからも
「えー、絶対読んだ方がいいよ!」
「黒田さんの詩はすごいんだから!」
と口々に教えてもらい、
そりゃあ読んでみたい、と思ったのでした。
けれど詩集が私のまわりの図書館には置かれておらず、
県立の図書館から二冊取り寄せてもらうことに。
そのうちの一冊が昨日の夜読みました
『夜鯨を待って』でした。
何となく、最果さんのような詩をイメージしていたのですが、
これがまた全く違っていて、
散歩のついでにちょっと異界の方も覗こうか、
というような詩で。
おだやかで、少し寂しい言葉で、
隣にたれる膜をそっと捲る前に声をかけるような、
その向こうに居るかもしれないなにかに呼び掛けるような、
そんな詩なのです。
といっても化け物がでてくるわけではありません。
どちらかというと、
童話。
親指姫とか、蝋燭と人魚とか、しらゆきべにばらとかのような、
ふんわりと日常に不思議が溶けこんでいるような。
キリンがプールで泳いでいたり、
バスの運転手が黒牛だったり、
私の中のがまがえるがドヴォルザークで目を覚ましたり、
ミイラとしてこの社会を生きてみたり、
カラフル過ぎない、物語りの鱗を丁寧に縫い付けた詩。
それがやさしく寝物語をするように語り掛けてくれる。
そんな詩集。
おかげでいつもより一段深く眠れたような気がしました。
もう一冊も、楽しみに読もうと思います。
他の詩集も読みたいなぁ。
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