ブラック飲食店ではなく、最先端なホワイト飲食店を作る方法
フードロスを活用した飲食店「Trash Kitchen」をオープンして2ヶ月、飲食業界の未来について考えてみました。
多くのお店が悩んでいることは、下記の3つだと思います。
・長時間労働
・人手不足
・低賃金
これはお客さんには関係ない「中の話」になってしまいますが、こういう問題をかかえている飲食店はそろそろ変わらないといけませんよね。だって朝から晩まで働いて、残業をして、あまり給料がもらえなくて、めっちゃ疲れるブラックなお店では誰も働きたくない。少子化で働き手がいなくなって最終的にこういう飲食店はどんどん潰れていくと思います。
これらの問題を解決するには時間とコストをおさえることが重要になってきます。他の業界でも同じことが言えますね。
「長時間労働だから従業員を増やそう!」と言いたいのではなく、問題をカバーするというよりも、根本の問題を解決していくことが重要だと思っています。「長時間労働だから従業員を増やそう!」という案は、問題の原因を解決する案ではなく、傷にバンドエードを貼っただけの応急処置なので永遠にこの問題は解決されません。なのにそういう対応しかしない経営者って多いですよね。
じゃあどうすればいいのかって話ですが、今からそれを説明していきます。
キャッシュレス・月額制
飲食店はお金のやり取りが時間の無駄です。レジのお金を準備したり、数えたり、伝票と照らし合わせたり、入金したり、これだけでかなりの時間を使います。
僕はお店の経理をやっています。最初は今まで手に取ったことない金額のお金を数えるのが楽しかったのですが、今ではマジでめんどくさくて吐き気がします。しかも数えるのとか、確認とか、お金を取り扱うことがすごく苦手なのでなおさらです。
これらをすべてキャッシュレスにしたら、上記に記載した無駄な作業が一切必要なくなります。これだけで労働時間がかなり減りますよね。これの究極体が月額制(サブスクリプション)です。月額で食事ができたりすれば、会計を伝える必要さえなくなります。サブスクにしたら売上が減る可能性もあるし、もちろんデメリットはありますが、メリットもたくさんあります。
・どれぐらいお客さんが来るか予想ができる
・毎月の売上が確定する
・仕入れのロスが出にくい
・損益分岐点に必要な登録者数がわかる
・客層がわかる(データが取れる)
などなど、飲食店の悩みをけっこう解決できます。
週4日、短時間営業
休みって週3日ぐらい欲しくないですか?
戦後は週6日も働いてたらしいです。そして、週5日営業に変わるタイミング「2日も休んで仕事ができるかぼけぇ!!」って言う人達がたくさんいたそうです。
けど今では週5日間の労働が当たり前になっていますよね。そして、これからは週4日の労働になります。そして「お金のために昼も夜も営業する」時代は終わります。これからは昼だけ営業や、夜だけ営業、というスタイルにしていかないと、長時間労働は避けれません。
一日4-5時間労働、週4日営業、そしてそれ以外の時間は副業してもらう。この自由度が高い業務形態が未来の働き方です。
「昼か夜、どっちかしか営業しないのはもったいないから昼営業の人と夜営業の人を雇えばいい」という意見もあるかもしれませんが、人が増えるほどコストとリスクが増えます。教育、人件費、情報伝達、オペレーション、保険、税金等。
これらのリスクをかかえるなら、ワンオペで回る仕組みを考えたほうが残るお金は大きいです。そして、お店を営業していない時間はシェアスペースとして活用するか、間借りでどこかを借りて営業するほうがリスクはかなりおさえれます。
シェアスペース
週4日営業して、残りの3日は別の人に貸す、という選択肢は「お店が空いていない無駄な時間」を活用する素晴らしい方法だと思っています。「3日間だけ営業したい」という需要は必ずありますし、自分のお店も家賃の負担を減らすことができます。
実際、僕の友人は週3日間だけのハンバーガー屋さんを営んでいます。ここのお店はカレー屋さんなのですが、木〜日はカレー屋さん、月〜水はハンバーガー屋さんになっています。
「自分のお店が営業していない日は別の人に貸し出す」という方法があるということは「誰かのお店が営業していないときは借りることができる」ということです。
夜しかオープンしていないバーだったらお昼を借りればいいし、昼しかオープンしていない定食屋を借りて居酒屋ができますよね。
シェアをすることでwin-winの関係を作り、リスクを減らすことが可能なのにこれを行っていない人がほとんどです。
セルフサービス
ワンオペですべてやっているお店ならわかると思いますが、一人でフードとドリンクを提供するのはとても大変ですよね。肉を焼いていて目が離せない時にドリンクを注文されたり、同時にたくさんの注文を受けたり。これを解決するのがセルフサービスのシステムです。
従業員を1人雇うならお客さんが自分でドリンクを作れる仕組みに投資したほうがいいし、それを許してくれるお客さんだけを大事にし、コミュニティを作っていくことがお店の負担を減らします。お客さんも待ち時間がなくなるし、自分で作るのが楽しいっていう人もたくさんいます。
「ファミレスにおいてあるドリンクバーを買え!」と言っているのではなく、お店によっては冷蔵庫を買うだけでいいです。冷蔵庫の中にドリンクをストックしておくだけで、お客さんは自分で取り出せます。
極端な話、お店の系統によっては、自分で洗い物までしてくれる仕組みが作れたら最強ですし、これはぜんぜん可能だと思います。
少し極端な例を出しましたが「お店が全てやらないといけない」という固定観念を壊すことが今後の飲食店に必要です。
まかない制度
人手不足が深刻化している中、理念やミッションに共感してくれる人を集めたり、従業員の満足度を上げるために素晴らしい努力をしている飲食はたくさんあります。上記はもちろん大事なのは間違いありませんが、1つの案として「まかない制度」というアイデアを紹介します。
「人はなぜ働くのか?」を考えると、お金がほしいから、という答えが帰ってくることがほとんどですよね。では、そのお金を何に使うのかを考えると、まずは衣食住の確保です。
大事な時間を使い、お金に変え、そのお金で衣食住を確保する。
けど実は、そのお金のやりとりをすっ飛ばして「食」を提供することで、「食を確保する」というニーズとマッチさせることだって可能なんです。
現状、飲食店は長時間働ける人を探してたり、安い金額で雇える人を探すことが多いです。様々な事情はあり、それが難しい飲食店もありますが、誰でもできる仕組みを作り、短時間だけ働いてもらって、食事を提供すれば、働く人は短時間で食や経験が手に入り、お店側のコストは食材の原価だけというwin-winの関係を作れます。これから飲食店を始める方はこれが可能なシステムを設計してからお店の形態を考えてもいいかもしれません。
少ないメニュー
「メニューは多ければ多いほどいい」というのは居酒屋やビュッフェなど、特定の飲食形態のみにあてはまることです。メニューを増やすと在庫も増え、その食材を置く場所や冷蔵庫等を準備する必要があり、初期投資が多くなります。あまった食材は捨てなければならないのでロスも出やすくなります。そのぶんコストがかかるので、リスクも増えます。
それよりも看板メニューを作り、それを求めてくるお客さんを呼ぶことが様々なリスクを回避できます。「メインの料理は一つで、売上を上げるためにトッピングが数種類ある」、「Aセット、Bセット、Cセットのみ」、「日替わり定食のみ」というスタイルが理想です。
IT化
ITが発達している中で、これを活用しない手はないです。人間がやらなくていいことや、ミスが発生しやすい場面はすべて機械に置きかえるのが理想です。初期投資はかかりますが、これによって時間もお金を節約し、ストレスも軽減できます。
例えば店内の掃除機をかける時間が1日20分だとしましょう。週4で営業した場合、1週間で80分。1ヶ月で320分です。短い人生なのに1ヶ月320分も掃除機をかけることになるんです。
これ、ルンバでよくないですか、、、?
掃除機をかけてくれてる間に仕込みができます。
月額制のシステムだってアプリを使えばいいし、予約システムやシフト管理もITで解決できます。
発注もすべてオンラインで行うことができれば、かなり負担は減りますよね。例えば、「1日20食しか売らない」と決めれば週4日営業で80食。これらに必要な食材を週1回自動で発注すれば発注する工数がなくなります。
フードロス
世界中で問題になっている食料廃棄問題。食べられるのに捨てられてしまう食材がたくさんあります。これらを活用できる飲食店はかなり強いです。
何が強いかって、原価を抑えることができるし、社会的価値も上がります。
捨てられてしまうものと言っても、腐ってる物を使うとかじゃなくて、規格外野菜とか、少し傷ついているだけで店頭に置けない物とか、いろいろあります。
精肉店はロス肉を売ってるし、八百屋だってたくさんのロスを出しています。もらってもいいし、買ってもいいし、どちらにせよ値段はかなり安いので、利益が増えるし、その分を従業員に還元すれば「低賃金」という問題にアプローチできます。
そしてフードロスが大きな問題になっているなかで「フードロスを使う飲食店が増える」ことは、すごく大きなインパクトにつながるのではないでしょうか。
フードロスを取りに行ったときの動画↓↓
最後に
これらを全部おこなっている飲食店はまだ聞いたことがないし、全て行うのはかなり難しい事だとは重々承知しています。うちのお店もまだまだ出来ていないことのほうが多いです。
ただ、理想論かもしれませんが、想像できるものは創造できると信じています。
もっともっと、幸せに働ける場所が増やしていきましょう。