格差の中で未来を探していた
焦げたタレの香ばしい匂いが、ホールの隅々まで染み渡っている。ジューッという肉の焼ける音。黄ばんだエプロンには新たな斑点が増えていく。終業の合図が鳴り、ようやくエプロンを脱ぎ捨てると、皮膚にまとわりついた油臭さを改めて感じる。
大学1年生。バイト先は、大学の寮からバスで40分かかる焼肉店。時給700円。往復660円のバス代を差し引くと、1時間目はわずか40円しか手元に残らない――そんな虚しさを抱えながらも、私はほぼ毎日のようにシフトに入っている。なぜなら、生活費を自力で捻出し