思い込みを捨てたら見えること
こんにちは。秋田県由利本荘市でごてんまりを作っています〈ゆりてまり〉です。
本荘のごてんまりは、今までずっと「御殿の奥女中によって作られた」という伝説(市の説明によると“歴史ロマン”)で語られてきました。
しかし最近になって、ごてんまりについて歴史的事実をもとにコメントしてくれる人が現れるようになりました。
ごてんまりをめぐる歴史観は確実に変わりつつあります。
本荘のごてんまりが江戸時代の御殿女中ではなく、昭和に生きる市井の女性たちによって作られたのであれば、ムリに和風なイメージにする必要はありません。
よく誤解されるのですが、ごてんまりは分類上和裁ではなく洋裁の分野に入ります。だから、洋風なものとの相性がいいんです。
それこそジャック・オ・ランタンでも黄金のサッカーボールでもOKです。
伝説ではなく、歴史的事実に目を向ければ、ごてんまりは驚くほど自由で革新的で、クリエイティブなものだということに気づくでしょう。
本荘ごてんまりを考案したのは、自由な発想を持った大変クリエイティブな女性でした。
まりの左右と下方の三方に房をつけることを思いつき、全国でここだけという特徴のまりを生み出したのは、斉藤ユキノのグループだと言われています。
昭和34年ごろからごてんまり製作に関わった斎藤ユキノと児玉八重子は、蔵堅寺にあった由来不明のまりを借りてきて、見よう見まねでまりを製作しました。そのとき作ったまりは昭和36年の米まつりに出品し、入賞しました。
まりなんて習ったこともないし、やったこともない人が、見よう見まねでまりを作り入賞するとは、すごいですよね。
素晴らしいクリエイティブ精神、もといど根性精神です。
「本荘のごてんまりは御殿女中によって作られた」というのが伝説であるのと同じように、「ごてんまりは和風」「ごてんまりは習わなければ作れない」というのもすべて幻想、ただの思い込みです。
ごてんまり、作ってみるととても面白いですよ。
思い込みを捨ててあなたもやってみませんか?