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140字小説 No.-201‐250

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【No.-201 テロメア】
小学生だった私が憧れた、未来の私を諦めると楽になる。どうせ現実を知らない子どもが描いた絵空事だ。得ることで失うものがあるように、失うことでしか満たされないこともきっと、ある。それは憧れにも似た諦めなのか、諦めにも似た憧れなのか。それでも、遠くなる過去を忘れられずにいた。

【No.-202 ことばざらし】
言葉売りの少女は今日も、心の渇いた人達に感想を届けます。価値のない創作にも、形のない感情にも、必ず意味があるのだと伝えるために。「お代は要りません。あなたが幸せならいいのです」少女からもらった言葉は、きっと、誰かの心を満たすでしょう。不幸とは遠い、子どものような笑顔で。

【No.-203 ドミノ・エフェクト】
人生はドミノ倒しだ。生まれたことが最初の一押しになって、連鎖的に色んな出来事が起こる。僕の人生を騒がしくするために、どれだけの時間と他人を巻き込んだのだろう。それでも、倒れた姿も美しいと誰かが思ってくれるのならば。終わったと勘違いした人生を、また、性懲りもなく並べ直す。

【No.-204 フラワーウォール】
育ての母は私を「ひまわり畑で拾った」と話す。血の繋がらない妹の向日葵も似た笑顔が、私には眩しくてつい日陰に隠れてしまう。それでも、白菊みたいな細い腕を、妹が褒めてくれたから少しだけ楽になれた。今は花霞の向こうに消えてしまったけど。祈るように、また、夏の匂いを閉じ込める。

【No.-205 アルカレミア】
人間の自然破壊によって、私たち人魚の泳ぐ海は暮らせる環境ではなくなってしまった。逢瀬を遂げるため、魔女に犠牲を払ってまで人間になる。声や尾を失っても彼女は美しい。やっと結ばれたのに、人間は同性で愛し合うのを非難する。彼女の瞳から流れる涙を掬う。口に含むと故郷の味がした。

【No.-206 烙苑】
病院まで間に合わず車の中で産まれた私は、家より車の中が心地よかったのかもしれない。借金で何もかも失って、車の中で暮らしていたこともある。小さな箱庭が、私にとっての全てだ。意識がまどろむ。息苦しくなる。終の住処は車の中だと決めていた。窓から射し込む光を纏って、このまま――

【No.-207 狼煙】
将来は森の中に食堂を開きたい。年輪が綺麗な切り株の椅子に、春には京錦の鯉のぼりを看板代わりに飾る。甥っ子が成人したときはおいしい料理を振る舞って、一緒にお酒を嗜めるように願う。歳を重ねても全自動で未来はやってこない。だからこそ諦めない理由が如く、手動で夢を切り拓くのだ。

【No.-208 不可逆】
相手を軽んじるほど深々と頭を下げられるし、嫌いでも仲良く話すことができた。悲しいときに笑って、平気じゃない日も大丈夫だとごまかせる。心と体が一致しなくなったのはいつからだろう。別人のように振舞えば楽でいられた。きっとこの生きにくさも、感情が合っていないだけだと思い込む。

【No.-209 流転-7.5m】
飛び込み台から言葉の水を眺める。文字のフォントは尖って、荒波立つ文章には棘があった。一歩、足を進み出さなければ傷付かずに済むだろう。穏やかな揺れの日を選ぶこともできる。だけど、澱みの奥底に沈んだ言葉はきっと美しいと信じて。性懲りもなく先端を踏み込む。今、流転に向かって——

【No.-210 コリドール】
十代最後の日には劇的なことが起こると思っていた。勤務先のスーパーで廃棄弁当をもらい、疲れた体で布団に寝転がる。みんな幸せになってほしいと願いながら自分は含めない。感情がねじれた回廊を彷徨っているみたいだ。新時代は未だ遠く。それでも人生は飽き止まず、愚直にも笑おう今日を。

【No.-211 食材の声】
私は食材の声を聞くことができた。初めこそ楽しかったけど、仲良くなった野菜達は調理するのが憚られるし、ご飯をよそえばお米達が「たった一粒の妹だったのに…」と涙を、いや、でんぷんを流すから食べにくい。プリンに愚痴をこぼしながら「僕でも食べて元気を出しなよ」のお言葉に甘える。

【No.-212 音泳ぐ】
「今日の天気は晴れのち音でしょう」夕方から夜にかけて騒がしくなるらしい。濡れる代わりに雨の音だけが街を打つ。傘を差すとメロディーが弾けて、踵を鳴らせば雫が躍る。イヤフォンを忘れてしまったけどたまにはいいだろう。どんなに足取りは重くても、たんたんとたんと階段を駆け上がる。

【No.-213 混ぜ淀む】
湯切りの苦手な彼が、茶こし付きケトルにカップ焼きそばと水を入れて沸騰させる。注ぎ口から熱湯を捨てて、やかんの中でかやくとソースを混ぜれば完成だ。そのまま食べれば容器でゴミ袋が汚れる心配もない。「君に手間はかけさせないよ」笑う彼を無視する。ケトルを洗う私の苦労も知らずに。

【No.-214 巡礼者】
鍵のかかった檻に小説や絵が届く。誰かの物語を丁寧に解いては飲み込んで、私の感じた味を嘘偽りなく言葉に直す。閉ざした世界の外は眩しい。鉄格子の間から感想を綴った紙飛行機を投げる。例え夢半ばで塵になっても、まっしろになっても。彼に伝えるために。彼女に見つけてもらうために。

【No.-215 ゆめいっぱい】
「ちびまる子ちゃんの食卓を囲む場面って、いつも一人足りない気がする」日曜の夜にアニメを観ながら彼女が呟く。幼少の頃から側にあった光景だから、自分も家族になった気分なのだろう。幸せそうにご飯を食べる姿を見てお腹が減る。憂鬱な月曜日も笑うために。手を合わせて、いただきます。

【No.-216 ありあまる富】
一緒に買ったペアリングを眺める。同じ趣味で付き合ったなら、接点を失えば終わってしまうのだろうか。それでも人生は、続く。不安を振り払うように、二つの指輪を重ねて永遠を象った。ぽんこつな魂だって、青臭くもなれない赤い春だって、自分にとってはありあまる富だ。どうか、良い旅を。

【No.-217 スリープウォーク】
私は晴れの日が嫌いだ。どんなに未来が暗くたって、上を向いて歩かなきゃいけない気分になる。俯いても泥濘に映る青空は見えるのに。私は私に自信が持てないから、いつか、根拠のない誰かの「大丈夫」に安心してしまう日が来るのだろうか。踏み出した足を止めて、解けてもいない靴紐を結ぶ。

【No.-218 花曇り】
花農家の私達は声の代わりに花言葉で想いを交わし合っていた。けれど、一つの花にいくつもの意味があるせいですれ違ってしまったのだろう。花言葉なんて誰かが作った勝手な祈りだ。私達もそれに倣う。最後の共同作業として、新品種の花に「貴方と出会わなきゃよかった」という願いを込めた。

【No.-219 信葉】
「信じたからな」が親父の口癖だった。夢を言い訳に大学を辞めたときも、一人暮らしは楽しいか聞かれたときも、言葉を濁す俺に頷いてくれたのに。『親だから』という信頼が鬱陶しくて、あの日は感情的になっただけなんだって。だから「死ねよクソ親父」なんて冗談、信じてほしくなかったよ。

【No.-220 クオリア】
「私だって少しくらい過去を見世物にして、オイシイ状態になったっていいじゃないか」彼女の台詞からも、表情からも、それが真実であることは容易く想像できた。同時に昏い傷を雨曝しにして、創作を穢すことが許せないようにも感じた。彼女の書く物語が、どうか、未練とならないように祈る。

【No.-221 最後の晩餐】
「くらえ!ケチャップライス!デデンデンデデン」夜は食材達の時間だ。ご主人様が眠っている間、野菜や肉がキッチンを暴れ回る。どうせ食べられるのなら、最後に好き勝手やるつもりらしい。「また散らかして!」と怒られるのは私の役目。耳と尻尾を垂らして、あなた達の責任を取りましょう。

【No.-222 行雲流水】
通勤電車の窓から覗く川がとても綺麗で、毎日「最期はここに飛び込もう」と考えていた。仕事に向かう足が動かなくなった日、初めて川を近くで見ると想像以上に汚らしい。こんなものを美しく思っていたことに苦笑するし、醜いものが誰かを生かすこともあると思えば、少しだけ元気が出てくる。

【No.-223 花を食む】
彩りのない部屋を添える為に、生花を飾るか迷ってしまう。枯れる前に捨てる事ができず、萎れていく様子を眺めながら、どっちつかずに毎日しにゆく花を眺めて生活する日が、いつか、必ず来ることなんて分かっているから。水差しの澱が剥がれた。想像で食む花が、仕様もない私の未来と重なる。

【No.-224 捨て箱】
紙に『拾ってください』と書かれたダンボールが捨てられていた。「さよなら」飼えないお詫びに餌のパルプを与えると雨がぽつぽつ降ってくる。「だーん、ぼー……」切り傷でいっぱいの体を私の頬にすり寄せた。「……さよならって言ったじゃない」まぁでも、晴れるまでは家に入れてあげるか。

【No.-225 リィンカーネーション】
風鈴が咲く時期になると、私は亡き母の言葉を思い出す。「綺麗だけど摘み取ってはいけないよ。元は誰かの命だからね」母は縁側に座りながら、寂しそうに団扇で涼ませてくれた。親になった今、家の庭先で小さな風鈴を娘が揺らす。今年は多くの命が失われた。りりん。と、追悼の音が鳴り響く。

【No.-226 恋慕喫茶】
大学の後輩に告白するため高級喫茶店に訪れる。この緊張は大正浪漫あふれる内装のせいだろう。「僕と付き合ってください」嫌いなコーヒーを飲む手が震えた。後輩がカップに角砂糖を落とす。「苦さも、パンケーキも、不安も半分こ」声が上擦る。「幸せも、お会計も半分こです」優しく笑った。

【No.-227 虹焦がす命】
人間は亡くなると傘に変化する。遺された者が涙で濡れないように、後悔で身を焦がさないように。あの日、豪雨による自然災害で多くの犠牲者が生まれた。夏になると故人の魂を弔うため、傘を一斉に飛ばす行事が行われる。色とりどりの傘がふわり浮かぶと、薄暗かった空に大きな虹が架かった。

【No.-228 人魚水葬】
人魚に恋した青年は海で暮らしたいと願います。美しい声も、鰭も、失うにはかけがえのないもの。ならば、代償を払うのは醜い自分の方。青年は魔女に祈り、感情を犠牲にして海に潜りました。人魚は悲しみます。同じ世界で生きられなくても、ありのままの青年と過ごせるだけで幸せだったのに。

【No.-229 少女琥珀】
少女琥珀展を鑑賞する。琥珀糖で模した少女は色鮮やかで、気味の悪いほど生々しかった。怒っている少女は赤、泣いている少女は青。幸せそうな少女は緑。感情が、命が、不透明な体に混ざっている気がした。会場を満たす甘い香りが饐えていく。そういえば、最近は行方不明者のニュースが多い。

【No.-230 息衝くような速さで】
誰もが当たり前にできることを『息するように』なんて例えるけど、私は昔から呼吸が下手だった。息を吸うのか、吐くのか、時々わからなくなって苦しくなる。生きる為の儀式を無自覚に行える人達が恨めしく、羨ましいと妬む。だから冬は嫌いだ。吐いた白い息が、濁った私の性根を染め上げる。

【No.-231 星天前路】
婚姻届は夫婦になるためのラブレターかもしれない。彼とは短冊に願って付き合えたから、入籍は七夕の日と決めていた。窓口預かりで受理は次の日になるけど。他人や家族じゃない今に不安を覚える。それでも、目が覚めれば天の川を超えられるはず。灯りを消して、運命の赤い短冊を握りしめた。

【No.-232 ザザ降り、ザザ鳴り。】
運動会のリレーでバトンを落としてから、私の心には雷雨が降り続く。乾いた地面を歩けば水音がして、生きづらさを感じる度に雷鳴が落ちる。雨なんか降ってないよ、雨なんか降ってないよ。そう言い聞かせても、あの日の後悔は止まないのだ。傘を差す癖が抜けない。雨なんか降っていないのに。

【No.-233 喝采】
大学時代、主役を務める演劇で浴びた拍手喝采が忘れられない。それから、呪いのようにぱちぱちと響く音を求め始めた。爆ぜる焚き火、弾ける綿菓子、部屋の家鳴り。人生を間違えなければ、僕は今でも主役でいられたのだろうか。パチンコを打つ音が拍手と重なって、未だ見せかけの輝きに縋る。

【No.-234 夢の粒】
散った夢の欠片はこんぺいとうになる。小説家、イラストレーター、美容師。粒は職業により色も、味も、大きさも千差万別だ。口に含むとパティシエになって洋菓子を作るイメージが膨らむ。私の諦めた夢も、誰かの救いになってほしい。もう一つ食べると懐かしい味がする。そうだ、私の夢は――

【No.-235 恋琴術】
高校の修学旅行で沖縄に訪れる。泳げないので砂浜で休んでいると、委員長が頬にペットボトルを当ててきた。「炭酸、苦手なんだけどな」「知ってるよ」いつもは暗い表情なのに、熱に浮かされてか意地悪く笑う。体が火照る。海がさざめく。嫌いだった夏から、彼女が恋とキラキラを生み出した。

【No.-236 しによん!】
彼女のお団子頭がチョコミントアイスになっていた。どうやら食べたもので変わるらしい。エスカルゴなら紫陽花、おにぎりならサッカーボールといった具合に。疲れた顔で就活に向かう前、彼女がポンポンに変わった髪を揺らして応援してくれる。そういえば、昨日の夕ご飯はトンカツだったっけ。

【No.-237 青春を描く】
砂浜にイーゼルを置いて、キャンバス代わりの海を眺めた。修学旅行中の高校生のために『青春』を描く。水彩絵の具でさざ波を、雲形定規で入道雲を現実に生み出す。どこかで風鈴が鳴った。私自身が美しくなくても、私の描いた物語が誰かの光になれたら。そう信じて、今日もまた絵筆をふるう。

【No.-238 さやかな、ささやか。】
「『さやかな』と『ささやか』って、言葉は似てるのに意味は正反対なのね」彼女が夜空を見ながら話す。「『サイレン』と『サイレント』もか」そう思うと不思議な気分だ。「あ、流れ星」ささやかな時間に、さやかな光が降り注ぐ。僕達の日々だって似てるけど、退屈とは程遠いのかもしれない。

【No.-239 凪晴るる】
家も学校も辛いとき、私は岬に住む魔女の元を訪れる。「昔は人魚だったけど、人間のせいで汚れた海を捨てて魔女になったのよ」お姉さんはいつも色んな話をしてくれた。庭に咲く風鈴のこと、散った夢は金平糖になること。「逃げてもいいなんて綺麗事だけどね、苦しくなったらいつでもおいで」

【No.-240 ワープカーテン】
毎朝、カーテンを開ける度に窓越しの景色は変わる。水族館、小宇宙、白亜紀。入院生活が長い僕にとって楽しみな瞬間だった。ある日、僕の通う小学校が映る。仲の良い友達、優しい先生。この部屋にいればどこでも冒険できるけど、僕が本当に行きたい場所は、やっぱりみんながいる教室なんだ。

【No.-241 想い編む】
半年に一度、人類は選んだ一つ以外の言葉を忘れてしまう。その度に僕は恋を、彼女は愛をお互いに教え合う。好きだから一緒にいるのが恋で、嫌いだけど一緒にいたいのが愛だそうだ。言葉足らずで傷付けてしまうかもしれない。でも、思い出せるならきっと僕達は大丈夫なはず。

【No.-242 在りし夏】
匂いの記憶と言うけれど、人が最後まで覚えている五感は嗅覚らしい。蚊取り線香の煙、夕立の香り、手持ち花火の匂い。幾許の年月を一緒に過ごしただろうか。病室で眠る妻の走馬灯が、僕との在りし夏であってほしいと願う。人生最期の日に思い出す妻の記憶が例え、薬品の臭いしかしなくても。

【No.-243 トマトマト】
カロリーを気にする僕のために、小学生の息子が料理を作ってくれた。ご飯をカリフラワーに、鶏肉ではなく大豆ミートを使ったオムライスは格別においしい。お皿まではみ出した『けんこうになりますように』という無邪気な願いが沁みる。まぁ、ケチャップの量が多いのは見なかったことにして。

【No.-244 摩天楼エレベーター】
最近はビルの育つ速度が早い。至る場所で生えてくるため、解体士の数が足りずに放置されることが多かった。立地が良ければそのまま利用できるけど、日照権や航空法など問題の方が山積みである。ただ何十年も昔に生えたビルは、地球と宇宙を繋ぐ超高層建築物としてその成長を見守られていた。

【No.-245 サマーレコード】
小学校の自由研究で『夏を壊そう』をテーマに、僕はペットボトルロケットを作った。大人になった今でも、病院沿いの砂浜に行くと思い出す。空に飛ばして、太陽を割って。届くはずなんてないのに。子どもとはいえ本気だった。彼の余命である夏を壊せば、友達を助けられると思っていたんだよ。

【No.-246 青と夏】
バス停で雨宿りしながら俯く。昔は泣き虫なので『雨女ちゃん』と馬鹿にされていた。そのせいか天気の悪い日は憂鬱になる。でも泣いたあとの笑顔はとびきり素敵だって、幼なじみの男の子が慰めてくれたっけ。「あ」バスから彼が降りてきた。「お」雨が止む。私の心と空に、大きな虹が架かる。

【No.-247 命浮かぶ】
私が落ち込んでいると祖母はシャボン玉を吹いてくれた。ストローから生まれた泡がぬいぐるみ達に弾けて、楽しそうに部屋を動き回る。今にして思えば、あれは祖母の命をおもちゃに込めていたのかもしれない。悲しむ母を余所に私は無邪気だった。歳以上に老いている、祖母の優しさも知らずに。

No.-248 熱を生む
呼吸がどれほど難しいことか、焦燥を堰くように海岸を走り出して気付く。私の幸せも、将来の夢も、喧嘩したあの子との関係も、今はまだ凪いでいるだけだ。陸風から海風へと変わる合間に佇む。息を吸って、澱を吐いて。水平線の向こうには必ず道があると願う。途切れても、風はまた吹くはず。

【No.-249 ふれる】
カラカラ軋む音に俯いた顔を上げると、老夫婦の押すベビーカーには赤ちゃんの人形が座っていた。一瞬、気色悪いと思った自分を呪う。偽物の光だからこそ、救われる人はきっといるはず。「どうか、抱っこしてあげてください」人形の体にふれる。僕の左手も作り物だけど、この温もりは確かだ。

【No.-250 静かな寄る辺】
深夜二時のファミレスはどこか寂しい。小説家になるのが夢で、時代に合わず筆と原稿用紙で物語を書いていた。有名になれば何者かになれると信じて。ふと、辺りを見回す。遅くまで働く店員さんも、長距離ドライバーも、誰かを救う何者かだ。昏い光かもしれない。だけど僕の小説も、きっと――

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652