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140字小説 No.961‐965

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【No.961 背中の友達】
娘のランドセルが怒っていた。聞けば乱暴に扱うことが多く喧嘩したらしい。だから今日は珍しくバッグで行ったのか。「でも、娘の背中は守りたいんでしょう?」ランドセルのフタが小さく開閉する。六年の付き合いだもの。色んな思いがあるだろう。「大丈夫。娘もきっと仲直りしたいはずよ」

【No.962 裏口注文】
「焼き餃子と水餃子を二皿ずつ」「…裏カジノにご案内いたします」またやってしまった。僕の注文は意図せず合言葉になってしまう。別の日も「たこわさと唐揚げ、あと生ビー…いや、コーラをお願いします」店員さんの顔が険しくなる。「お客さん、どこでその情報を?」だから違うんだってば。

【No.963 恋の予定】
「先輩って付き合ってる人いるんですか?」バイト先の女の子から聞かれて緊張してしまう。「別に、いないけど」「クリスマスに予定とかは?」「いや、特には…」女の子の表情が明るくなった。もしかして、僕のこと――「じゃあ、シフト代わってもらえますか?私、彼氏とデートがあるので!」

【No.964 影猫】
にゃあ。と鳴き声がしてカーテンを少し開けると、影だけの猫が部屋に飛び込む。私が生きる気力をなくしてから影猫は現れた。真っ暗な部屋で終わりを待つ私に意味を与えるために。思えば、以前はカーテンを閉め切っていたっけ。窓の外の世界を思う。光の合間を縫って、影猫のしっぽが揺れた。

【No.965 世々流転】
「では、人生変更のご説明をしますね。優しさや愛情は無償ですが、面倒ならいつでも解約できますので。前世の記憶の引き継ぎはおすすめしません。寿命プランは短いほど幸せが多いです。通心量が不足している場合は人との関わりをお控えください。それと……あぁ、いや。どうか、良き来世を」

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652