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140字小説 No.-251‐255

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【No.-251 リスの恩返し】
ドングリの代わりに鉱物を溜めるリスが稀にいるという。頬袋パンパンに詰め込んだ鉱物は、リスの唾液や前歯で削る過程で色んな宝石に変わって、愛情を注いだ飼い主には一個プレゼントしてくれる。アクアマリン、スピネル、フォスフォフィライト。何が生まれるかはお楽しみのリスの恩返しだ。

【No.-252 おだんごころ】
彼女のお団子頭がヘッドフォンに変わってたけど問題はないらしい。そんなものかと笑って、たまには縁側で寄り添い合う。『あなたの隣はドキドキするなぁ』「え?」彼女の心の声と心臓の音がお団子頭から鳴り響く。「わー!今のなしなし!」気付いた彼女が顔を真っ赤にしながら髪をほどいた。

【No.-253 想い焦がれる】
昔、息子が私に白紙をくれた。炙り出しをすると『肩たたき券』の文字が滲んでくる。どうやら素直に渡すのが恥ずかしかったらしい。あの時は意地悪く笑ったっけ。なんて、いつまでも過去に縋るわけにはいかない。亡き息子の未練と手紙を燃やして、焦がす。例え、想いが浮かび上がらなくても。

【No.-254 六等星の瞬き】
今年の夏も海辺に色とりどりの傘が浮かぶ。元は亡くなった人が変化したものだ。ふと、青い星形の傘が私の側までやってくる。すぐに彼だとわかるのは、きっと、魂で繋がっているからなのだろう。涙が落ちる瞬間に傘が開く。私を慈しむようにくるりと回って、空に舞いながら悲しみと連れ立つ。

【No.-255 シ春期パノラマ】
いくつもの世界がパノラマのように流れ込む、思春期にだけ罹る症状があった。風鈴や傘に変化する魂、宝石を食むリス、海をたゆたう人魚。もう何年、私は病室で過ごしたのだろう。「またね」誰かの声が響く。繋がった手が離れる。死の間際に夢を見ていた。長い夢を、見ていたのかもしれない。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652