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本の感想 #1 推理小説「爆弾」呉勝浩

仕掛けられた爆弾を止めることができるのか?
糸口は、ある男が語るヒントのみ。


今日の投稿は、ミステリー小説。
「爆弾」呉勝浩


手に取ったきっかけ

そもそも、この作品を知ったのは、シリーズ2作目となるこちらが本屋で平積みされていて「1巻を読まねば!」と思うほど、興味を持ったから。

法廷占拠 爆弾2

未曾有の連続爆破事件から一年。

スズキタゴサクの裁判の最中、遺族席から拳銃を持った青年が立ち上がり法廷を制圧した。
「みなさんには、これからしばらくぼくのゲームに付き合ってもらいます」
生配信で全国民が見守るなか、警察は法廷に囚われた100人を救い出せるのか。
籠城犯vs.警察vs.スズキタゴサクが、三つ巴の騙し合い!

Amazon作品紹介より

……あらすじが、もう、おもしろい。

シリーズ第一作になった「未曾有の連続爆破事件」もきっと、どこかゲームのような頭脳戦が展開されているに違いない!という期待が膨らむ。

聴く読書という選択

しかし、当時私の手元にはミステリが2冊。3作の同時読みではスピードが落ちると考え、Audibleを利用することにした。
前回も紹介したように、オーディブルは小説を聴けるサービス。

朗読はプロのナレーターや声優が担っている。性別や読みに好みがあることもあるけれど、結果的に今回はこの耳を使って楽しむ選択が大正解だったと言える。(単体価格が表示されているけれど、現在サブスクが3ヶ月で99円セール中

目玉はスズキタゴサク

まずは、あらすじを紹介したい。

些細な傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が野方署に連行された。
たかが酔っ払いと見くびる警察だが、男は取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言する。
直後、秋葉原の廃ビルが爆発。まさか、この男“本物”か。

Amazon作品紹介より

この作品の目玉は間違いなく、取調べを受けるスズキタゴサクだ。警察側の視点でストーリーは進んでいくものの、気味が悪くて、どこか楽しむような、嫌な雰囲気のこの男に、圧倒的な存在感がある。この男、言い回しや話し方が実に巧みで、警察を翻弄し、卑屈なのに得体のしれない賢さを感じさせる。一度読むと忘れられない人物なのだ。

きっとこれが、彼の声

このなんとも言えない主人公を一層引き立たせているのが「声」だ。
もう、私にはタゴサクの声や喋り方はこうであるとしか考えられない。
読みがハマり過ぎている。それにより、スズキタゴサクという男が一層、詳細なイメージを持ち、最後まで「本当に犯人?何者?」という推理にのめり込むことができた。

キャラクターが憑依したような朗読について

今回、キャラクターを存分に表現した声に楽しませてもらったものの「これは、BGMや効果音のないボイスドラマに近いかもしれない」というのが正直な感想ではある。(ボイスドラマを聞いた経験が少ないので想像の範疇)
淡々とこちらが想像して聴いていたいという場合や、イメージと違う語り口であれば、好みは分かれるだろう。
そして、ドラマと違って一人がすべてを朗読するため、男性が少女のセリフを読む、ということも当然あり、そこに違和感があるかもしれない。

まとめ 何度も続く推理対決が魅力

今作は連続爆破事件を止めるという主軸がありながら、タゴサクという男に迫っていく展開もとても面白かった。ネタバレを防ぐため詳細は伏せるけれど、怒涛の展開とタゴサクvs警察の頭脳戦から目が話せない。

残り時間が少ない緊張感で手に汗握り、何度も推理力を試される。読み手と警察は犯人との勝負に勝ったり負けたりしながら結末に向かう。
たくさんの問題に挑戦したいミステリ好きにおすすめの一冊だ。

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