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毎週ショートショートnote 参加作品

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たらはかにさん主催の『毎週ショートショートnote』に参加した作品を集めています。原則410字以内!お気軽にお立ち寄り下さい~。 (上の画像は、たらはかにさんからお借りしています)
運営しているクリエイター

記事一覧

この中にお殿様はいらっしゃいますか?【毎週ショートショートnote】

「殿は何処じゃ!」 ――またか。 幼い頃から乳兄弟として育った右近には判っている。書物蔵…

秋田柴子
3週間前
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それでも地球は曲がってる【毎週ショートショートnote】

「おい、地球! 今度こそヘマすんじゃねえぞ!」 木星のダミ声に地球は縮み上がった。 しま…

秋田柴子
1か月前
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人生は洗濯の連続【毎週ショートショートnote】

やたらとお漏らしする子供だったらしい。 「ほんとにあんたは、小学校上がってもしょっちゅう…

秋田柴子
1か月前
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夜からの手紙【毎週ショートショートnote】

夜の海辺で一人の女性が涙にくれていた。 大事な恋を失くしでもしたのだろうか。 月明かりに光…

秋田柴子
1か月前
46

バンドを組む残像【毎週ショートショートnote】

これは驚くべき事実なのだが、ホラー小説の帝王スティーブン・キング氏は、作家仲間とバンドを…

秋田柴子
1か月前
29

ときめきビザ【毎週ショートショートnote】

『ピッツェリアときめき』は、街はずれにある小さなお店です。 でも客足は今ひとつ。そこで店…

秋田柴子
2か月前
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モンブラン失言【毎週ショートショートnote】

「失礼ですが、大臣は学生時代からモンブランの万年筆をご愛用とか」 質疑応答で切り込む議員の口調は、ひどく刺々しかった。 対する大臣はまだ若い。過去に総理も輩出したというエリート家系の四代目だ。 「お若い身で平然とそんな高級品をお使いの方に、庶民の暮らしの苦労が判るものでしょうか」 そのとおりだ! と無責任なヤジが飛ぶ。してやったりとほくそ笑む議員に向かって、大臣は穏やかに口を開いた。 「仰るとおりです。実はこの万年筆、今は亡き恩師より当時頂いたものでして」 途端に議

誘惑銀杏(イチョウver.)【毎週ショートショートnote】

「……それ、なに」 グラス越しに訊ねると、相手はそれを口に咥えたまま、ふふふと含み笑いを…

秋田柴子
2か月前
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誘惑銀杏(ギンナンver.)【毎週ショートショートnote】

「私を食べて」 ずいぶんと率直な売り文句だ。 俺は無造作にひとつ摘まむと、口の中へ放り込…

秋田柴子
2か月前
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鋭利なチクワ【毎週ショートショートnote】

「のりふみ君。今度の我が社の創立記念で配るちくわノベルティ、何か考えておいてね」 女性の…

秋田柴子
3か月前
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無情会館【毎週ショートショートnote】

栄光の陰には必ず涙がある。 名も知れぬ街のその会館では、いつも不思議な写真展が開かれてい…

秋田柴子
3か月前
18

非情怪談【毎週ショートショートnote】

「それではこれより『非情怪談百物語』を開催致します」 陰鬱な司会の言葉に、暗い部屋に集ま…

秋田柴子
3か月前
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一方通行風呂【毎週ショートショートnote】

「大浴場内は一方通行でお願いします」 訳がわからん。帰りどうすんだよ、着替えとか。 まさ…

秋田柴子
4か月前
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三日坊主のクレーター【毎週ショートショートnote】

「よお、五郎さん。何やってんだ、もうすぐ日が暮れるぜ」 雨上がりの田んぼの畦道に座って煙草をふかしていた五郎は、ひょいと振り返った。 「何だい、五郎さんの田んぼ、あちこち穴だらけじゃねえか。猪が山から下りてきて掘りでもしたか」 五郎はぷっと煙草の煙を吐き出した。 「いや、猪じゃねえ。うちの孫だ」 「孫? ああ、都会から遊びに来てたっちゅう坊主かい」 「田んぼが珍しいのか、散々泥遊びしよってな。ちっこいスコップで穴掘ってこのザマよ。まあ子供のことだ、すぐに飽きちまったが