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読書感想 Humankind 希望の歴史 上人類が善き未来をつくるための18章ルトガー・ブレグマン著 を読みました!

この本は一言でいうと、
「ほとんどの人は本質的にかなり善良」
だというのが本書の主張です。
人間の本質は暴力的で利己的ではなく、暴力が嫌いで利他的で協力的なのだそう。
どーしても私たちはネガティブな情報に対して敏感になるし、記憶に残りやすいので、人間の嫌な部分ばかりをクローズアップしてしまう性質があります。

幽遊白書でてきた黒の章のビデオテープみたいなもんです笑

過去の様々な心理学者とか科学者とかがそういう主張をしてきたこともあり、現実よりも人間の本質を悪い方に捉えてしまっているので、それについて正しい認識をしてみましょうというのが、詳しく書かれていました。

ある意味で、正しいデータに基づいて、今までの知識をアップデートしよう!という本書の方向性は、以前読んだファクトフルネスという本とも近いものがあるのかな、と思います。

面白いのが、過去に心理学の実験としてすごく有名な「ミルグラムの電気ショック実験」や「スタンフォード監獄実験」といった、人間の本質は恐ろしい!みたいな内容の実験結果は、実施した科学者による様々な操作が多くあって、後に再現実験を行おうとしても、発表された論文と同じ結果にならなかったそう。ある意味、小保方さんのスタップ細胞論文と同じようなもんですね。

あと、例えばタイタニック号の沈没の際とか、飛行機事故などで緊急避難をしなければならないとき、映画などだと、人々は皆パニックになり、誰もが自分のことしか考えないで大変な騒ぎとなり、子供や老人や障害者は、倒されて踏みつけられることをイメージしてしまいます。
でも、本来そんなことはないらしく、実際のデータを見ると、避難は極めて秩序正しくなされた。パニックやヒステリーの基調さえ見られず、恐怖のあまり泣き叫んだり、走り回ったりする人もいなかったという。

例えば大災害が起きたときも、私たちは映画で見るような大規模なパニックが起きて、殺人や強盗やレイプなどの犯罪が多発するイメージを持ってしまいますが、実際は大半の人は助け合うし、大きなパニックは起こらずに、それぞれが冷静な行動をとるといいます。

結局、人類は数万年の間、いい人ほど多くの子供を残したし、人間の進化はフレンドリーな人ほど生き残りやすいと言うルールの上に成り立っていたはず。だから人間は進化の過程で、非暴力的で優しくなっていったと考えるべきなのだそうです。
だから私たちは基本的に善良で利他的でいることに心地よさを感じるようになっている…と。

どうしてもニュースとかで、繰り返し繰り返し人間の悪い部分がクローズアップされてしまうし、SNSとかでも悪い情報のほうが注目されて拡散されるし、宗教や政治も、人間は基本的に利己的で悪であるという仕組みで作られているので、それが常識と思ってしまうのですが、本当にそうなのかな?と一度立ち止まって考えてみるのが必要だと思いました。

あなたは性善説より性悪説を信じていますか?

あなたは、人間の本質は善であり、利他的で他人と協力して助け合うことを喜ぶ本質があるからこそ、他の動物より人類がここまで繁栄し、さまざまな危機を乗り越えたことを信じられますか?

あなたは、有名な心理学実験や人類学は、再現実験に失敗していることもあることを理解しましたか?

あなたは、様々な知識や常識を最新のデータでアップデートすると、今までの常識が覆されていることを知っていましたか?

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