「穴があるんだもん。怖いよ。」
30年近く前、療育(当時、心身障害児通園事業)で出会った女の子は、リノリウム貼りの床の印刷された木目の濃淡に脚がすくんで動けなかった。
眼圧が上がり、片目はほぼ見えていなかった。周囲を立体的にとらえることは難しく、窪みなどにつまづく経験が積み重なっていた。
片麻痺があり、身体感覚の歪みか大きかったことも影響していた。
乳児期から、自ら移動する身体と、視覚、聴覚などから伝わる環境との相互作用を通じて私たちは世界を認識し、そのイメージを作り上げている。
そのどこかにつまづきがあると、動作だけではなく行動や心のありようにも現れてくる。
あの子は、今では時間や空間に縛られず、かかわった人たちの記憶の中にいる。
砂場の陰影や木陰などを見ながら、戸惑いつつあの子とかかわっていた自分の姿を思い出す。
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